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若い世代に先送りされる「ツケ」とは何か

『日経新聞』の3月30日付の記事「消費増税 避けられない選択」には、「先送り 若い世代にツケ」という表題が付けられています。消費増税を避ければ、若い世代にツケを先送りすることになるというわけです。
 しかし、本当に先送りされる「ツケ」とは何でしょうか。それは、消費増税によって、かえって増えてしまうようなものではないでしょうか。

 この記事の執筆者である実哲也編集委員は、「世界で最悪レベルの財政状況に加えて、世界最速で進む人口の高齢化。増加が避けられない医療や年金の費用を誰かが負担しなければならない」と書いています。だから、消費増税は「避けられない選択」なのだというわけです。
 財政状況の逼迫はその通りですが、でも、その「誰か」がどうして庶民でなければならないのでしょうか。なぜ、消費税だけが「負担」のための税制なのかが、全く説明されていません。
 それ以外の「選択」、たとえば金持ちが株で儲けた金融資産への課税、大企業への優遇税制の是正や課税強化などが完全に「選択」肢から排除されています。「負担」可能な人々を除外したうえで、どうして負担することが難しい庶民に幅広く押し付けようとするのでしょうか。

 もう一つの大きな問題は、消費税を増税すれば必ず税収が増え、財政状況の悪化を防ぎ、社会保障を安定させることができるかのように書かれていることです。まるで消費増税は「打ち出の小槌」のようなもので、これさえあれば全ての財政問題が解決できると思い込んでしまっているかのようです。
 しかし、同じ日の『朝日新聞』3月30日付に掲載されている記事「教えて! 消費税 国の赤字はなくなるの?」では、「野田政権が考える消費増税をすれば、日本の財政は安定するのだろうか」と問い、赤字はなくならないと答えています。
 財政の安定度を測るのは「基礎的財政収支」(プライマリーバランス=PB)で、国の借金が減れば「PBが黒字化」することになります。しかし、「PBは今回の消費増税でも黒字化はせず、借金残高は増え続けていく」というわけです。

 つまり、今回の消費増税によっても『日経新聞』実哲也編集委員の言う「ツケ」は減らないのです。ですから、「消費税は10%に上がった後、さらに増税される可能性もある」というのが、『朝日新聞』の見通しです。
 野田政権が消費増税法案に「さらなる税制改革を実施するため、16年度をめどに必要な法制上の措置を講じる」という一文を入れようとしたのは、まさにそのためだったのです。具体的には、さらに7%引き上げて消費税を17%にしたいということでしょう。
 これこそ、「若い世代にツケ」を先送りすることにほかなりません。今回の消費増税法案によって、将来的には消費税を5%から17%にまで引き上げる道筋を付けようというのですから。

 今や若者の貧困化が進み、バイクを買えずに暴走族にもなれない(だから、暴走族は減少しています)というご時世です。もし消費税が上がり続けたら、若い世代の生活はさらに苦しくなり、消費は停滞し、不景気になって税収はますます減少するでしょう。
 今でも消費税分を価格に転嫁できない業者などは消費税を払えず、滞納率が増えています。今後、税率がアップすれば、もっと滞納は増え、消費税を負担できない業者は廃業せざるを得なくなるでしょう。
 こうして、小規模の自営業者は壊滅状態に陥り、購買力のある中間層は縮小していくにちがいありません。このような形で破壊された日本社会を「若い世代」に手渡そうというのでしょうか。

 それこそが、本当の意味での「ツケ」の先送りなのではないでしょうか。「消費増税教」によってマインド・コントロールされている『日経新聞』の編集委員には、このような厳しい現実も眼に入らないのでしょうか。

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