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- 2019年01月29日 06:30
履歴書に空白を作ろう - 野口俊晴(ファイナンシャル・プランナー)
2/2■キャリアの断絶とならない工夫
寿命が今より延びればなおさら、一度もキャリアを中断しないとなると50年も働きづめになる。それによって自分の知識や技能は古くなって使い物にならなくなるし、なにより頭脳や精神が疲弊してしまう。それを補うための時機が定年とするならば、年齢的にもう遅いのである。もはや1つの会社に40年も50年もいること自体が時代の流れに沿わなくなっている。知識や技能アップ、経歴の方向転換、学術・芸術活動への参加、執筆やボランティア活動、家族と過ごすための時間、一時的にせよそこにつぎ込む期間を「キャリアの断絶」としない社会の工夫があってもいい。
2~3年の履歴の空白期間など会社は普通のこととして評価を下さずに(プラスもマイナスもしない)、空白期間の前と後のキャリアをそのままつないでくれる寛容さであってほしい。
前述した資格試験のことで言えば、そもそもの前提として試験の難関さで人をふるうより、資格取得後のマーケットで能力差がふるいにかけられるという考えを社会全体で持ちたい。そういうことであれば社会人にも利がある。司法大学院制度などはもともとそういう創設理念があったはずだ。
資金面で言えば、退職年金の掛金積立は確定拠出年金(DC)では経歴を中断しても次に移った会社に引き継ぐことが可能となっている。それに加えて積立期間を現行60歳から70歳以上まで引き上げ、積立期間を増やすことも必要だ。これだけで当人の経歴空白による収入減、あるいは厚生年金加入中断による受給額減少の埋め合わせが十分であるかは別として、1つの支えとなる。
■定年での一息では遅い
もともと人間は、よほど好きな仕事でない限りぶっ続けで何年も働き続けることはできない。40年も50年も働きづめであることは、考えてみればすさまじいことだ。まして昨今のように、長時間労働が何何ヵ月も続いたりする会社があること自体が異常だ。かつて55歳定年の時代では、55歳という年齢がちょうどいい人生の休みどきであった。今ではその歳でセミリタイアしようものなら、よほどの能力と経験がない限り、元の収入レベルでの会社復帰は難しい。そのこと自体が、定年まで経歴中断のない働き方をせざるをえずにきてしまった遠因かもしれない。
70歳以上になっても働く時代になると、定年前のどこかで一息二息入れることは普通になるだろう。定年時では、もはや遅い。世間では、定年はその人のキャリアの「中断」ではなく、「終了」とみなされてしまうからだ。
働く人が履歴書に空白をつくることを気にせずに、経歴を中断できるような時代はまもなく来ると思う。その時、その空白期間をどういうふうに生きるかが問われてくる。ただ無為に近いスカスカの空白では意味がなくなってしまう。30代、40代からの準備が欠かせなくなる。
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