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ネットに掲載された「震災瓦礫PR記事」を考える

興味深い記事を見た。

環境省が推進するがれき広域処理の意味――前編:大量のがれき

これは「はてなブックマークニュース」に掲載されている記事だが、タイトルの下に小さく「PR」と入っており、編集部の書いているリードには、「こんにちは。はてなブックマークニュースはこのたび、環境省の広報業務をお手伝いすることにしました。」と入っている。

また、本文に入る前にも(※この記事は環境省の提供によるPR記事です)というクレジットが入っているので、まぎれもなく環境省からカネの出ている記事で、厳密にいえば広告、それも純広告ではなくタイアップ広告と見ていいだろう。

であれば、これは形としては私が先日誌面を紹介した、浅草キッドを起用した「週刊現代」の東京電力タイアップと同じ構図だ。

「福島第一原発破局事故の直前に掲載された東京電力のタイアップ広告を発見!」

となると私としても非常に気になるので、以下、少しばかりこの「記事」について考えてみたいと思う。

まずこういうPR記事が出るということは、環境省が広報予算を立てて、どこかの広告会社に発注していることになる。
そこで環境省HPの調達情報→「14.過去の企画競争公示一覧」を見ると、11月9日に、「平成23年度東日本大震災に係る除染等広報業務」「平成23年度東日本大震災に係る除染等に関する普及・啓発業務」という二つの企画競争公示が出ている。
他にこの記事に該当しそうな企画競争公示は見当たらないので、ここから捻出された可能性はある(朝日新聞に掲載された見開きの瓦礫処理広告もここからの予算?)。
ただし除染と瓦礫は違うので、ひょっとして随意契約の可能性もあるかもしれない。今回の記事掲載は3月29日。平成23年度内におさまっているが、記事中に4月上旬に後編が掲載されることが予告されているのも引っかかる。

さて、私の予想では、広告会社は事前に、はてなに対して、環境省の予算が取れた場合、どのようなタイアップ企画が立てられるかどうかのヒアリングをしたと思う。
そこで、はてなはいくつかの企画をたて、ライター候補も立てる。
その中でこの企画が選ばれて予算がついたという流れだろう(私の雑誌広告での経験からだが)。

次のステップとしては、環境省、広告会社、はてな(ライターが入る場合もある)の打ち合わせとなる(広告会社の営業担当者がクライアントの意図を代弁して説明することもある)。
ここで記事の方向性や取材日程を話し合って決めていくわけだが、ライターである津田大介氏のtweetを見ると、「環境省批判もOKという条件で受けた」そうだ。

ということは、環境省としては、そもそも「厳しいことも言っていただくこと」が今回の広告の意図だったわけである。ただし読み終われば「やっぱり広域処理は必要だな」と読者に思わせたいわけで、その意味では津田氏の原稿も非常にうまい。そして、この記事のコメント欄やソーシャルメディアへの波及度(ツイート数やいいね!の数)を見ると、環境省の意図はうまく当たっているように見える。

しかし、繰り返しになるが、この記事はあくまでPR、つまりクライアントがカネを出しているのであり、さまざまなデータ提供や取材のコーディネートもすべてクライアント側の設定で行われており、掲載前にはクライアントによる原稿チェックもしているはずだ。
したがってそこに書かれた情報は中立ではあり得ないのである。

いま、読者(あるいは視聴者)に求められているのは、そこを見抜く力なのだが、これがなかなか難しい。なにしろ、いろいろなメディアを見ていると、広告業界にいたことのある私にだって判別することができないケースも多々あるのだから。

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