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貧困は自己責任?お金優先で人権に興味を持たない人に、格差解消の重要性を伝える方法を考える/関西学院大学でのビッグイシュー出張講義レポート

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自己責任論を主張する人に貧困問題の実情を理解してもらうアプローチとは?


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関西学院大学の阿部潔先生


世間には「私は成功者だ。私は自らの努力で成功した。だから努力すれば、たとえ貧困だとしても誰でも成功できるはず。できないのは個人の自己責任だ」「貧困状態の人がいるのは仕方がない」「支援など、本人のためにも甘やかすのは良くない」「自分で決めたことならば、自分で責任を取るべき」などの“貧困問題の自己責任論”を唱える人は少なからず存在しています。

しかし、貧困を自己責任論で放置することは、社会のどの階層にも強いストレスを与えることとなり、さまざまな社会問題として現れてきます。

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では、自己責任論を主張する人に貧困問題の実情を理解してもらうには、どのようにアプローチすればよいでしょうか?

編集部注: ここで問題となる貧困については「相対的貧困」を念頭において話を進めることにしました。相対的貧困とは、先進国における貧困問題で、所得による格差のことです。例えば「学校の給食費が払えない」「修学旅行に行かせてあげられない」といったものも含み、特に子どもたちに破壊的なダメージを与えるとされます。
関連記事:
相対的貧困率とは何か:6人に1人が貧困ラインを下回る日本の現状(小林泰士)

自己責任を論じる際、自己責任を問われる人々に、どれだけ公平で豊富な選択肢が用意されていたのかを無視してはなりません。例えば「生きるか死ぬか」のような場面でなされた選択は、たとえその時点で自分が決めたことであっても、自己責任を問うことはできないのです。
参考:“貧困”の問題は「絶対的貧困」からスタートし、現代では「社会的排除」の考え方へ。「社会的排除」に対抗する「社会的包摂」の考え方

その前提を無視しがちな人々に対する有効なアプローチを探ってみました。

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・数字、データを提示して理解してもらう

生活保護を受給する水準以下で暮らしながら、生活保護を受給していない世帯数は500万世帯。同じくニートは200万人、ひきこもりは70万人以上と言われています。個人の問題ではなく、貧困に陥るリスクの高い人々の規模を示すことで、コトの重大性を理解してもらう方法があります。

・近現代史を正しく学び、正しく伝える

日本の学校教育で見過ごされがちな「近現代史」を学習することも重要です。近現代史を学ぶことで、人権問題を含む社会課題がどのような理由で現代まで続いているのかを深く理解することができます。

編集部のオススメ:
「選挙で勝ったから、それが民意だ」という独善的な考えがなぜ現代にまかり通るのか?を理解するには、「民主主義の死に方:二極化する政治が招く独裁への道」がオススメです。


・当事者から語ってもらう

社会課題を画面の向こうにあり消費する「コンテンツ」として捉えると、他人事になり「自分に影響や問題はない」と見過ごしてしまうことがあります。社会課題の当事者に直接その人が経験したことを語ってもらうことで、共感や当事者意識を刺激するという手段もあります。

編集部補足: 今回の授業には西宮北口の販売者・近藤さんも参加。 学生のみなさんに向けて、ホームレスになった経緯や、ビッグイシューの販売者としての現在のお話をしました。 和歌山県で生まれた近藤さんは、大学卒業後、大阪で三田工業(現・京セラドキュメントソリューションズ)に就職し、製造部で勤務。1998年、三田工業が会社更生法の適用を申請。しばらくして近藤さんは退職。電機メーカーの子会社の工場でピッキング作業など、さまざまな職場を転々とするうち、だんだんと生活が苦しくなり、家賃も払えない状態が続き、路上に出ることになります。

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そして事務所ビッグイシュー日本の販売者となった近藤さんは、現在ステップハウス(※)に入居しながら販売に従事しています。

近藤さんのお話には、学生のみなさんから「これまでホームレスの方に対して持っていた、自分の“ホームレス像”といったものが完全に取り払われました」といった感想もありました。

最後に、どのように自己責任論を覆すか?「お金優先で人権に興味を持たない人たちに向けて、どうやって人権の重要性や必要性を伝えればよいか?」をテーマに、レポートを作成。「様々な立場を体験できる教育の機会、利益追求とともに人権教育の重要性を伝える教育の機会の提供」「人権問題について娯楽なども含めたメディアでの露出を増やす」など、難しいテーマについてそれぞれの立場で取り組んでいました。

阿部先生「学生は身近に・実感を持って考えることができて初めて学ぶことができる」

「"働くこと"と人権の現在」という統一テーマのもと、「生活と人権」について学生たちに考えてもらうのに、関係者/当事者から話を聞くことが必要だと判断してビッグイシュー日本を選んでいただいたというコーディネーターの阿部先生に、授業の感想をお伺いしました。

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「今の学生が『人権』を考える上で、身近に・実感を持って考えることができてはじめて、より大きな/マクロな視点から『人権』それ自体について学ぶ/考える力を育むことが可能になる、と授業を通して実感しました。

その点では「ホームレス」という言葉から何かしらのイメージを持ってはいても、実際に当事者から話を聞いたり問いかけたりしことがなかった学生にとって、ビッグイシューの関係者と販売者の「生の声」を聞く機会を得たことには、大きな意義があったと感じています。」

取材協力:都築義明

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