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ポンペオ国務長官「上院議員選出馬検討」で懸念されるトランプ大統領の「独善性」 - 足立正彦

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信頼と影響力

 ポンペオ国務長官は、トランプ政権が発足するとともに中央情報局(CIA)長官に就任し、ティラーソン国務長官が2017年3月にトランプ大統領により更迭されると、後任に指名された。トランプ大統領に対する機密ブリーフィングを通じて、国際情勢や外交のみならず、元下院議員としての経験に基づき内政面でも助言を行うことで、トランプ大統領から絶大な信頼を獲得するに至っている。

 トランプ大統領からのそうした信頼を象徴するのは、上院外交委員会での次期国務長官指名承認公聴会が開催される直前の2018年4月に、CIA長官の立場のまま復活祭(イースター)休暇を利用して北朝鮮の首都・平壌を極秘訪問し、同年6月のシンガポールでのトランプ大統領と金正恩・朝鮮労働党委員長との史上初の米朝首脳会談の地ならしをしたことである。

 対中東政策では、トランプ政権はイスラエルやサウジアラビアとの関係強化を図っているが、その背景には、中東地域において覇権を拡大しつつあるイランを封じ込める狙いがある。

 オバマ前政権下で、イラン核問題を巡りイラン政府と交渉を重ねた結果、P5+1(国連安全保障理事会常任理事国の米英仏中ロ5カ国と独)はイラン政府との間で、イランがウラン濃縮活動を凍結する見返りとして対イラン経済制裁を解除する「イラン核合意」に調印し、翌2016年1月に「包括的共同行動計画(JCPOA)」が発効した。だが、JCPOAは米国が締結した最悪の合意であるとして、2016年大統領選挙キャンペーン中から同合意の破棄を訴えていたのがトランプ氏であった。ティラーソン国務長官(当時)はマティス国防長官(当時)らとともに、米国がJCPOAから離脱することに対して慎重な立場を示していたが、ティラーソン氏が更迭され、後任の国務長官にポンペオ氏が就任した翌月の2017年5月、トランプ大統領はJCPOA離脱と対イラン制裁措置の再発動を決定している。

 こうした対イラン強硬路線を、ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)とともに推進したポンペオ国務長官の役割は非常に大きなものであった。

魅力的な転身

 任期4年の折り返し地点を過ぎたばかりのトランプ政権の不安定さを考慮すると、ポンペオ国務長官も遅かれ早かれ政権から離れて上院議員を目指すのではないかと憶測されるのは当然である。

 実際、ポンペオ長官は現在55歳であり、将来を見据えると、共和党支持が強固な「レッドステート」のカンザス州選出上院議員として6年間の任期を確保することは魅力的に映る。

 だが、トランプ大統領が絶大な信頼を寄せているポンペオ国務長官が政権を離れる決断をした場合、対北朝鮮政策や対イラン封じ込め政策といったトランプ外交全般に多大な影響が及ぶと予想される。

 加えて、極めて忠誠を尽くしている主要閣僚をトランプ大統領が失う結果、トランプ大統領の独善性にさらに拍車がかかることが懸念される。

 そうした観点からも、ポンペオ国務長官の今後の去就をよくよく注視しておかなければならない。(足立 正彦)

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