- 2012年03月30日 19:55
日本が北朝鮮の人工衛星を打ち落とす目的は軍事大国化(新華社の報道)
中国国営の『新華社』が「日本放言打卫星的背后」(日本が人工衛星を打つと言っている背景)という記事を配信しており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。
1 記事の紹介
この「人工衛星」は言わずと知れた北朝鮮のミサイルのことですが、これは孔祥龍新華軍事評論員が書かれた記事ですが、明らかにミスリーデングを誘っております。何にしろ最初に記事の紹介をさせていただきます。
北朝鮮が衛星を発射するにあたって、最も「興奮」しているのは、アメリカでも韓国でもなく日本だ。
田中防衛大臣はパトリオットで迎撃できる可能性を調べさせ、野田総理は積極的に迎撃を準備するよう自衛隊に命じている。
北朝鮮の人工衛星が日本にどのような関係があるのか?もし北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射したのなら、国連安保理の決議に従い、打ち落とせばよい。しかし、日本に向かって来ないのなら、見てれば良いだけではないか。
1978年の「日米防衛協力のための指針」では「極東」には中国も北朝鮮も入っていなかった。ところが1997年の「新ガイドライン」では、「日本周辺地区」という用語を用い、なおかつこれは国際情勢により変化すると言っている。
何にしろ、日本は領空内だけでなく、周辺地域にも関与しようとしており、北朝鮮の人工衛星の発射が日本領空を通過しようがしまいがあまり関係ない。
日本は人工衛星を打ち落とすと言って何がしたいのか。戦後日本は「平和国家」として、「正式な」軍隊を持たず、「平和憲法」を堅持してきた。
しかし、近年日本は軍事方面に力を入れており、様々な武器分野でアジアトップとなっており、ある分野ではアメリカ軍より先進的なところまである。
注意しなくてはならないのは、日本は44年間堅持してきた「武器輸出三原則」をゆるめ、武器の共同研究を始めたことである。
日本が人工衛星迎撃を言い始めた背景には、以下のような3つの「日本の夢」がある。
(1)「隠れた軍事大国」から「目に見える軍事大国」になること。
日本には正規軍は存在しないが、「自衛隊」があり、世界最強の軍の1つだ。しかし、これは長きに渡り隠された形となっているので、これを目に見えるようにしたい。
(2)地区軍事大国から世界軍事大国になること。
日本がアジア地区の軍事大国であることは疑いがないが、日本はそれでは満足できない。「周辺事態法」を改正し、「周辺地区」の範囲を拡大している。注意が必要なのは、日本の領土の追求で、尖閣諸島だけでなく沖ノ鳥島を補強したり、韓国やロシアとも領土でもめている。
(3)「敗戦国」から「正常な国」になること。
「敗戦国」の身分から抜け出し、国際的地位を高めようしている。2007年に防衛庁は防衛省になったし、自衛隊は海外任務をこなしており、既にイラク戦争やインド洋での軍事行動に参加しており、「平和憲法」は既に名前だけになっている。
2 軍事専門家の功罪
さて、はっきり言ってどこの国でも軍事方面の専門家には、軍人の地位を上げるために戦争をすることだけを考えているのではないかとしか思えない方がおられますが、この方もそうした方の1人のようです。
日本が打ち落とそうとしているのは、日本領内にミサイルの一部が落ちてきた場合で、「軍事専門家」なら間違いなくそのことは知っているはずなのに(実際この記事に添付された絵はそうなっています)、「周辺地域」云々という言葉を持ち出し、「日本の野心」みたいなことを提唱しております。
3 日本の軍事大国化?
最後の、「日本が軍事大国になる望みをもっている」云々という話はいきなりされても、普通の日本人は何を言っているのだという話になるわけですが、歴史的要因もあり、中国から日本を見るとこのように見えるようです。
実際、小泉首相の靖国参拝を巡っては、日中関係がギクシャクしていた時は、「日本の右傾化」、「日本の軍事大国化」という記事が至るところに目につきました。
本当馬鹿げた話としか思いませんが、日本人が中国の軍事問題を論じるときに、結構同じようなことを考えている方が多いのは否めません。
日本人が他国を侵略すること等考えていないように、一般の中国人も普通他国を侵略することなどは考えておらず(それよりは自分の仕事や家庭など日々の生活が大事)、そうした記事を見ると、何を馬鹿なことをという発想しか浮かばないはずです。
そのため、こうした記事は結果として悪循環しか生まないと考えます。ブログを書くためだけに愛読している中国の愛国主義者の大好きな『環球網』ならまだわかるのですが、『新華網』がこうした記事を配信していたので、すこし考えてもらいたいと思った次第です。



