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ゾーニングから排除へ

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いや、問題はある。それは「類似図書の取扱いを批判してきた人たちの存在」である。

コンビニで類似図書が扱われることに対する批判は根強くあった。

だが、そうした批判はとてもまともな批判であるとは思えなかった。

それこそ「成人向け雑誌が子供向けの漫画などと区別されずに置かれ、立ち読みができるような状況はおかしい」などという、少なくとも大手コンビニではありえない話がまことしやかに語られ「成人向け雑誌に無くなれとは言わないが、私はそれを見たくないので目につかないところで細々とやってほしい」などと〆られるのである。(*5)

前者がありえない状況であることはわかるとして、問題は後者である。

「あってもいいが、私は嫌いなので、私に見えないところでやってくれ」という考え方は、いわゆる「ゾーニング」とは少し違う。

ゾーニングは「こっちにあなたにふさわしくないものがあるので、こっちに来ないでください」と告知ことが前提である。ゾーニングにとって重要なのは「何がゾーニングされているのかが明確にわかること」である。

ゾーニングが明確にされるためには、何がゾーニングされているのか告知されなければ、各自の選択の自由を奪ってしまう。コンビニにおける仕切りや青テープによるゾーニングも、これに当たる。

しかし昨今の批判では「私にふさわしくないものがあることの告知自体も、私の目に見えないところにゾーニングされるべきだ」という形の批判が多い。

かつて記事(*6)にもした「太もも展」は、入場料を取る展示、つまりゾーニングされた展示であったにもかかわらず、イベントの存在自体や告知のポスターなどが「女性軽視である」として批判された。

こうした「私に告知自体も見えないところでやってくれ」という形は、ゾーニングではなく「排除」である。

今回、類似図書が排除されたことにより、これを成功体験として、他のところでも排除の要求がされることを、僕は懸念しているのである。

例えばホームレス。「私が見たくない」「子供に見せたくない」「安全性に懸念」「諸外国に恥ずかしい」そのいずれも当てはまる。

他にも酒、タバコ、パチンコ屋、葬儀場、風俗街、ラブホテル、飲み屋街、中国人街、韓国人街、ドヤ街、ヤクザの事務所、そして児童相談所。そうしたある種の人たちにとっては目にもしたくない迷惑な存在など、日本に山程ある。

こうした存在が「私が目にするのも嫌だから」という理由で排除されうる未来。それは決して類似図書排除から遠い場所にあるとは、僕にはとても思えないのである。

*1:日本のコンビニ、成人向け雑誌の販売中止へ(BBCニュース)https://www.bbc.com/japanese/46968827
*2:コンビニに「成人向け雑誌」は存在しない セブン、ローソン、ファミマの報道巡って議論(KAI-YOU.net)https://kai-you.net/article/61293
*3:そもそも「成人誌」って何? 「anan」の特集は大丈夫? 疑問をぶつけてみた(BuzzFeed)https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/seijinshi
*4:この写真には成人向け雑誌が大々的に売られているように見せるための「トリック」が含まれているのだが、それは自分で探してほしい。ヒントとしては、この写真に写る類似図書はわずか「左側2列」でしかないにもかかわらず、さも書棚の半分位が成人向け雑誌であるように見えるようになっている。 *5:「誰かを傷つけていることを、知ってほしい」成人誌がコンビニから消える意味(BuzzFeed)https://www.buzzfeed.com/jp/bfjapannews/seijinshi
*6:フェミニズムの目的は女性の人権抑圧か?(赤木智弘 BLOGOS)https://blogos.com/article/283234/

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