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働き方改革、品質偽装、〇〇ハラスメント…「平成」が企業経営者に残した宿題と解決の道

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年も新たまり、平成も残すところ3か月余りとなりました。国内の企業経営を巡って、ここ2、3年様々な業界で噴出している品質偽装やハラスメントの問題は、日本経済における「失われた20年」を丸々含む平成30年間の歴史が積み残した大きな宿題であるかのように思えています。

「働き方改革」の嵐到来による品質管理へのしわ寄せは”必然”

写真AC

まず品質偽装問題。これはなぜ起きたのか。日本の製造業は復興からの次なるステップで、世界一をめざしました。そして、自動車産業をはじめとして世界の製造業を次々席巻したのは、勤勉で几帳面な国民性に裏打ちされたその圧倒的な製品品質の高さでした。

経済が基本的に右肩上がりに成長を続けた高度成長からバブル期までは、なんの問題もなくやり過ごしてきたこの品質管理は、バブル経済崩壊後に吹き荒れたコストカットの嵐の中で効率化、高収益化の名の下に次々行われた人員削減に翻弄されることになるのです。

そんな流れにとどめ止めを刺したのが、「働き方改革」という企業経営にとっての新たな嵐の到来でした。

それまで企業への忠誠心を示す象徴として美徳視された残業や休日出勤は、一転悪者扱いされることとなり、さりとて引き続く効率化の中で人員が増えることなど期待すべくもなく、品質管理へのしわ寄せはある意味で必然であったと言えるのではないでしょうか。

世界水準と比べて高みに達していた製品品質は、手抜きによるリスク意識を麻痺させるという付随効果まで持ち合わせていたということに、平成が終わりを告げつつある段階まで気がつくことがなかったというのは、なんとも皮肉な話です。

セクハラやパワハラの芽となったバブル崩壊後のリストラ

次に、昭和の時代にはまだ日本ではその概念すら存在していなかった各種組織内ハラスメントの問題。セクハラに端を発しハラスメントに対する問題提起がされ始めたのは、平成もごく初期のことではなかったでしょうか。

その後セクハラに続いてパワハラが問題視されはじめると、アルハラ、マタハラ、アカハラ…等々細分化された種類も増え続け、解決に向かうどころか平成の末期に向かっては一層大きく社会問題化するに至っています。

この問題の根源もまた、明るくおおらかだった昭和の高度成長時代終焉により高効率、高収益追求に転換した、平成の日本企業の風土変貌に端を発したと捉えることができます。

バブル経済の崩壊によって、効率化の名の下にすすめられたリストラは、セクハラやパワハラの芽となるに十分な役割を果たしました。そしてこちらの問題もまた、近年の「働き方改革」が輪をかける結果に。

ワークライフバランスの改善を掲げた「働き方改革」がなぜ、と思われる向きもありそうですが、減らされたままの人員体制下において「休め!」「早く帰れ!」と強制されることは、職場にストレスをもたらすもの以外の何者でもなく、蔓延したストレスがハラスメントを生み出すという悪循環に陥っていると私は見ています。

経営者に求められる重要な資質「フォロワーシップ」とは

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さて、日本経済はバブルの頂点であった平成元年からまさに坂を転げ落ち、て低成長期に移行して今に至るわけなのですが、この30年間に何を間違えて上記のような問題が発生してきたのか、平成の間にそれを終わらせるためには何が必要なのか、そこはしっかりと押さえておきたいところなのです。

私はこの問題に関して、一番の責任は時代の流れに飲み込まれた企業経営者たちにあると思っています。すなわち、日本の主だった企業の経営者たちが、平成の「失われた20年」を「失われた経営者魂」のまま過ごしてきたそのツケが、品質偽装問題やハラスメント問題となって現れているのではないか、と思うのです。

企業リーダーたる経営者に求められる重要な資質として、言わずもがなではありますが、リーダーシップがあります。これは大半の経営者がその必要性を理解するであろう、リーダーが自発的に組織の先頭に立って引っ張る力のことです。

実はリーダーシップには、これと対をなす経営者に求められる重要な資質があるのです。「フォロワーシップ」です。

これは忠誠や献身といった姿勢のことで、リーダーに従属する者たちにのみ求められると思われがちなのですが、実はリーダーにこそ求められるべき資質なのです。具体的にはリーダーが、メンバーたちがより円滑な活動ができるように、彼らの状況をよく知りその上で献身的にそれを支える気持ちを持って行動をする、ということです。

昭和の高度成長の時代、企業は家族も同然であり、終身雇用、年功序列を原則としたピラミッド構成は平和で飲み会や運動会、職場旅行等を通じて経営者も社員の日常を知りつつ、可能な限りの配慮をして組織運営をすすめてきたと言っても過言ではありません。

しかし、バブル経済崩壊後の企業はリストラに次ぐリストラによって、効率化、高収益化の旗印の下、人は極限まで減らされ、旅行や運動会等組織内リクレーションは軒並み廃止され、期初や期末の職場での公式な飲み会すら存在しないのが当たり前になってしまいました。

このような時代の流れの中で経営者たちは、自ら意識して自発的な努力をしない限り、社員が何を考え、何を欲し、何を悩んでいるのか正確にはつかめない、そんな状況に追い込まれていったのです。

しかし大半の経営者はそんなこととははつゆ知らず、ここに特別な努力をすることなどなく効率化、高収益化優先姿勢の時代に流されていった、これもまたもうひとつの「失われた20年」であったとい言えます。すなわち、リーダーシップと対をなすべきフォロワーシップがあえなく失われていったのが、平成の企業経営の流れでもあったとい言えるのです。

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