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戦後70年を経て疲弊したシステムを日米両国が再構築し、 主権国家としての責任を果たす局面に ~「日米対話」第1セッション報告~

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 言論NPOは1月17日、東京・港区の国際文化会館で、「米中の対立と北東アジアの平和」を全体テーマに、米中の経済対立の行方と、それが、北東アジアの安全保障や、さらに北朝鮮の非核化や朝鮮半島の平和プロセスに与える影響などを議論する、「日米対話」を開催しました。

戦争を起こさず、持続な平和の仕組みを北東アジアにつくるための対話に


 言論NPOは1月17日、東京・港区の国際文化会館で、「米中対立の行方と北東アジアの平和」を全体テーマに、米中の経済対立の行方と、それが、北東アジアの安全保障や、さらに北朝鮮の非核化や朝鮮半島の平和プロセスに与える影響などを議論する、「日米対話」を開催しました。

戦争を起こさず、持続な平和の仕組みを北東アジアにつくるための対話に

 日米対話には、日米13人の識者が出席しました。米中の対立と北東アジアの平和課題について意見交換しました。開会に先立ち言論NPO代表の工藤泰志は、北東アジアに平和秩序を実現するために、危機管理の問題として、戦争を起こさないこと、そして、持続的な平和の仕組みをこの地域につくることが必要であるとの見解を示しました。

その上で、①北東アジアに平和秩序をつくるための中核となる日本とアメリカが、この地域の安全保障の現状を分析し、平和な環境を維持するための課題を明らかにすること、さらには新しい仕組みの方向性や骨格、原則を日米で考え、すり合わせること、さらに、②多くの市民の理解に支えられた強い日米関係をつくる。そのためにも日米両国が共有する課題に取り組み、幅広い人たちが一緒に考える仕組みをつくりたい、と今回の対話の目的を語り、今回の対話への意気込みを示しました。
 
 そして工藤は、2つのテーマをパネリストに投げかけました。

 1つは米中対立の本質とその行方。ワシントンでは、40年に及んだ対中国のエンゲージメント(関与)政策は終わり、戦略的競争に変わったという見方が支配的になっている状況を指摘し、「こうした対立が、この北東アジアにどのような影響をもたらすのか。

 さらに、米中の貿易戦争は90日間の休戦状態にあるが、事態はさらに通商面での対立だけでなく、AIや第五世代移動通信システムといわれる5Gなどデジタル面での競争が強まり、ルールや規範がないまま、覇権争い、あるいは新冷戦になっているとの見方が強まっている中、「国家が経済を主導する中国にどう向き合うのか、アメリカの同盟国である日本はどのような立ち位置を取るべきなのか」と。こうした問いかけに対して、日米各2人が問題提起しました。



中国の揺れ戻しと、国際機関の軽視が国際秩序に与える影響が今後のポイント


 まず、日米協会会長で元駐米大使の藤崎一郎氏は、トランプ大統領の政策についてアメリカの中でも中国に対してやや乱暴ではないかとの意見がある一方、これまで中国は増長し過ぎていたので、丁度いいのではないか、という考え方もある。さらに、知的所有権などについては、長いものに巻かれろで、言うことを聞くのではないかと思っている人もおり、「毀誉褒貶(きよほうへん)の状態だ」との現状認識を示しました。

さらに、トランプ大統領が国連やWTOなど国際機関へ十分な配慮がないことで、そのすきをついて、中国が自由貿易の旗手の振りができることを挙げ、「今の中国に対してのアメリカの強行的な対応はアメリカ全体のもので、共和党の穏健派や民主党も根底から変わってきているのではないか」と、アメリカの姿勢の変更に不安を隠しません。

 さらに藤崎氏は中国についても、「鄧小平氏は"韜光養晦"(とうこうようかい)といって、自らの力を隠し蓄えるまで静かにしようと言っていたが、今の中国は、そうなってはいない。アメリカは、昔の対日以上の警戒心を持っているのではないか」と指摘しつつも、「しかし、本当にそうなのか。3年ほど前から中国に警鐘を鳴らしていた人もいて、多くの人がエンゲージするべきと議論していた。では、中国に対する揺れ戻しは本当にないのか」と疑問を投げかけました。

 その上で、国連の代表権問題、ニクソンの訪中ショック、台湾海峡危機、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)などを巡って揺れ動いた当時の米政権、そして、オバマ前大統領を、「全ては間違いだった」と全否定しているトランプ大統領を見ると、将来への不確定要素も多く、これからの米中は「関与」でなく、「対立」でいくのか、中国の揺れ戻しはないのか。そして、国際機関の軽視は、国際秩序に悪い影響を与えないのかが重要なポイントだと語りました。



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