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市長の「思い」よりも、行政と議会として検証を

松阪市の山中光茂市長が28日、市議会の場(環境福祉委員会協議会)では初めて、「松阪市における『がれき受け入れ』のあり方について」という方向性を示し、「徹底的に正確な情報提供」を行ったうえで、さっそく4月から市民レベルのさまざまな場で意見交換会やシンポジウムを行うことで、「受け入れ」か「受け入れしないか」の結論を見出していきたいと方向づけました。

これを受け、議会としては、責任ある対応が求められます。
わたしは、もっとも重要なことは、情報の検証だと思っています。
28日の委員会協議会でも述べましたが、市長も、「(受け入れたいという)思い」はひとまず置いておき、行政官として、市民の安全安心を基準に、受け入れが可能か可能でないかの検証にあたる姿勢を示してもらいたいと思います。

市長は、環境福祉委員会協議会だけでなく、全員協議会を開いてほしいとも言いました。
しかし、全員協議会では30人の議員全員が発言する場となるので、議論はできても、数値の厳密な検証の場としては適切ではないという弱点を持っています。
もちろん、全員協議会を開くこと自体は否定しません。
しかし、全員協議会という場は、どちらかといえば、検証というよりは、議会のコンセンサスを形成する場となりがちです。
そこで、わたしは、全員協議会は開いたとしても、議会内の常任委員会である、環境福祉委員会(8人)という委員会機能と権限を最大限に活用し、市長が期限は決めないが「半年間」という目安を設定したうえ、議会、行政双方が国が示すデータや考え方が正しいかどうかの検証を進めていくべきであると考え、28日の委員会協議会の場でもそのように主張しました。

なぜ、検証にこだわるかと言えば、議論を通して相手を説き伏せることよりも、最大の懸念事項が放射能という問題にある以上、搬入、一時仮置き場、焼却、作業員の安全の確保、焼却灰の埋め立て、住民への影響、食などさまざまな環境影響評価、受け入れという「入口」はあっても「出口」のない問題の有無についての事実認定というプロセスを抜きに、結論は見出せないと考えるからです。

市民からの意見の聴き取りは行政が行政の責任において行うとしても、議会としてもパブリック・ヒヤリング(公聴会)の実施や、外部の専門家からの参考意見の聴取も必要になってきます。

かりに、市長が「受け入れ」と決めた場合、議会にはそれに伴う関連予算案(国から補助を含む)が出てきて、最終的に受け入れに賛成か反対かを決めるのは議会の判断となります。

残念ながら、従来の市議会の議決を見る限り、ひとつひとつの議案に関してどこまで厳密な審議が行われてきたかというとその不十分さは否めません。
しかし、今回の問題に対する議決責任の重さを議員一人ひとりが受け止めた場合、従来、議会としてはやってこなかった質の検証に取り組んでいかない限り、市民に対する責任を負う議会にはなりえないと考えます。

そこで、環境福祉委員会では、行政(市長部局)に対して、「徹底した正確な情報」の提供を求めるのは当然のことながら、行政は、受け入れにおけるすべてのプロセスでの安全性について検証していくフローを作成するとともに、行政自体が国が示しているガイドラインや基準に対して厳密性を検証、それらのプロセスを議会と共有したうえで審議を継続していくべきであると考えます。

このような考え方を示さなければならないのは、前述したような議会自体の問題とともに、「徹底的に正確な情報の提供」といいつつ、市側の議会への説明資料の中に「放射能が検出されない被災地のがれきの受け入れ」という不正確な表記を用いたことに対する警鐘でもあります。

わたしは、行政がウソを付くことがあるのを知っています。
わたし自身が原告となって、市民病院の増築工事の随意契約の違法性を問う住民訴訟を行いましたが、その過程の中で、事実とは異なる証拠に基づく主張を繰り返してきたのが行政でした。
今回、国(環境省)が示す「災害廃棄物の広域処理」という冊子の中にも、国の政策を推進することだけに都合のよい記述が多数あります。
直接に住民の安全と環境に対して責任を負う自治体としては、国が示す指針を「住民を説得する道具」として使うのではなく、情報を精査、検証していく作業が必要です。
たとえば、28日の環境福祉委員会協議会でのわたしの質問に対して、環境省の「災害廃棄物の広域処理」に書かれている想定問答の通りの答弁がありましたが、行政が議会側の質問をかわすことを考えるあまり、本質を見失うことがあっては住民の安全は確保できません。自治体としての責任放棄ということになります。

そのために、市長には「ひとまず、自分の『思い』は置いておき、政治判断ではなく、検証を」と求めました。

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