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イスラエルがイランと国境を接するアゼルバイジャンの飛行場の使用承諾を得たという報道の意味するところ イラン核兵器開発問題と絡めて

アメリカの雑誌、『フォーリン・ポリシー』はアゼルバイジャン政府がイスラエルに対してアゼルバイジャンの飛行場の使用を許可したと報道しました。

アゼルバイジャン政府はこの報道を強く否定しています。

イスラエルにとってアゼルバイジャンの飛行場を使用出来るという事は戦略的に大きな意味を持ちます。なぜならアゼルバイジャンはイランと国境を接しており、テヘランから最も近い外国だからです。

若しイランの地下核施設を空爆するという決断を下した場合、ロジスティックス面での最大の問題は爆撃機や戦闘機の燃料補給でした。

そこでアゼルバイジャンの飛行場が使用できるのならその問題は解決しますし、一旦基地に帰って爆弾を装填し直し、再度出撃することも出来ます。

アゼルバイジャンは歴史的にイランと近かったですが両国の関係は必ずしも温かいものではありません。

アゼルバイジャンはペルシャ、トルコ、モンゴル、ソ連などに支配された歴史を持ち、昔から外敵からの脅威に晒されやすい土地でした。

バクーは地下から噴出する天然ガスの焔が絶えることなく燃え続ける、いわゆる「永遠の火」が発見された土地であり、これがゾロアスター(拝火教)の生まれるインスピレーションの源泉になりました。

バクーの石油開発は1859年から開始され、ノーベル賞で有名なノーベル兄弟(=彼らが最初に手掛けたビジネスはダイナマイトではなく石油開発)がバクーに来たのは1873年です。

ノーベル兄弟は石油の輸送のためにタンカーを発明しました。(最初のタンカーの名称はゾロアスター号)

こうしてアゼルバイジャンのバクー油田は19世紀終盤にはアメリカのペンシルバニアと並んで世界最大の油田地帯となったのです。

その戦略的な重要性からアゼルバイジャンはソ連の支配下に置かれます。

アゼルバイジャンはソ連支配の期間が長かったので、宗教こそイスラム教シーア派が多いのですが国民の気持ちの上では必ずしもイランとは近くありません。

また隣国アルメニアとの戦争で国内外に複雑な人種・政治問題を抱えています。

それらの事から隣国の大国と等距離を保つ「バランス外交」をする必要があるのです。

さて、イスラエルとアゼルバイジャンは貿易関係があります。実際、イスラエルはアゼルバイジャンにとって3番目に需要な貿易パートナーです。具体的にはイスラエルはバクーから産出される石油を買っています。

これらの事からアゼルバイジャンがイランを牽制する目的でイスラエルに便宜を図ったとしても決して唐突ではないのです。

イスラエルによるアゼルバイジャンの飛行場の使用許可取得といい、米空母エンタープライズのホルムズ海峡への回送といい少なくとも状況証拠の上ではイランに対する攻撃の準備が着々と進められている印象は拭えません。

さらに最近活発化している戦略備蓄の使用の議論は現時点では緊急性に乏しいのですが、若しホルムズ海峡が封鎖されたときには極めて重要になります。

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