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中国の「アフリカ豚コレラ」続報 - 澁谷 司

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 今年(2019年)の干支は、「イノシシ」(亥)である(猪は中国十二支の最後の動物)。日本では猪と書くとイノシシだが、中華文化圏では猪と書けば、ブタの意味となる。従って、猪肉は“イノシシ肉”ではなく“ブタ肉”である。その「イノシシ」年に、“ブタ肉”をめぐり、中国大陸では深刻な事態に陥っている。

 よく知られているように、中国が豚肉の最大生産国であると同時に、最大消費国でもある。ところが、既報の通り、同国内では「アフリカ豚コレラ」(人間には無害だが、致死率はほぼ100%。以下、ASF)の拡大が依然、続いている。

 今年の春節は2月5日から始まる。昨年、中国31省市のうち、23省市でASFが蔓延していたが、旧正月を前にして、その猛威が止むことはなかった。

 まず、1月13日、甘粛省が“陥落”し、次に、同19日、寧夏回族自治区も“陥落”している。全部で25省市が“陥落”した。実に、全体の8割を超える省市にASFが拡がっている(中国当局は、ASFに感染した豚91.6万頭をすでに殺処分にしたと発表しているが、本当の数は不明である)。

 昨年(天津宝迪農業科技股份有限公司傘下にある)「天津恩彼蛋白質公司」の豚飼料の中にASFウイルスが含まれていた事が知れた。

 更に、年明けに、(福建安井食品股份有限公司の子会社である)江蘇省泰州安井食品有限公司のミートボールにASFウイルス混入の疑いが持たれている。そのミートボールは、2017年には9000千トン販売され、グループ全体の2.56%の売上にのぼるという。

 仮に「米中貿易戦争」の影響で、習近平政権がブタ肉の輸入先を米国からロシアへ切り替え、そのロシアからASFが侵入し中国全土に蔓延したとすれば、何と皮肉な事か。

 同様に、昨2018年、中国共産党は、「米中貿易戦争」下、対米ブタ肉関税を62%にまで引き上げた。昨秋来、その高いブタ肉を米国から輸入せざるを得ないというのも、皮肉以外、何物でもない。

 一方、周知の如く、大豆は豚の肥料に欠かせない。昨年7月、中国は大豆に関しても25%の対米追加関税をかけた。そのため、ブラジル産大豆をはじめ、大豆が値上がりしている。

 実際、中国では、昨年通年の消費者物価(CPI)は、前年と比べて2.1ポイントも上昇した。因みに、一昨年(2017年)通年では、前年比1.6ポイント上昇である。

 近年、中国では、投資・消費が落ち込んでいる。その中で、物価が上昇するのは、典型的なスタグフレーションの兆候ではないか。

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