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【読書感想】残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?

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残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? (光文社新書)

残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? (光文社新書)

Kindle版もあります。

残業学?明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?? (光文社新書)

残業学?明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?? (光文社新書)

内容紹介
超高齢化社会を迎え、あらゆる仕組みをアップデートする必要に迫られている日本。女性やシニア、外国人をはじめとした多様な人々の力が鍵となる中、それを拒む最大の障壁が、日本独特の働き方「残業」です。
政府も企業も「働き方改革」を叫ぶ今、本当に必要なのはそれぞれの「持論」ではなく、客観的なデータを基にした「ガチ」な対話。

一体なぜ、日本人は長時間労働をしているのか? 歴史、習慣、システム、働く人の思い――2万人を超える調査データを分析し、あらゆる角度から徹底的に残業の実態を解明。仕事と人生の「希望」は、ここから始まります。
パーソル総合研究所×立教大学・中原淳の共同研究「希望の残業学」プロジェクトを書籍化!

 なぜ、われわれは「残業」してしまうのか?
 「残業」=「悪」という考えは世の中にだいぶ浸透してきていますし(とはいっても、それは「ネットの中だけ、という気もするのですが)、職場での「上司との半強制的な飲み会」も、僕の周囲では、かなり減ってきています。

 しかしながら、「残業は悪」と言う人たちがこれだけいるにもかかわらず、残業が撲滅されたわけでもないのです。
 それは、いったいなぜなのか?
 誰にも利益がないことであれば、わざわざ残業をする必要はないわけで、どこかにその理由があるはずなんですよね。
 この新書は、「残業は悪」で思考停止せずに、「いま、そこにある残業」について分析し、それを減らしていくためにはどうすればいいのか、について書かれたものです。

 残業学は、次の3つを探究する学際的な研究です。

 (1)残業がどこでどのくらい起こっているか(Whatの探究)
 (2)残業が起こってしまうメカニズムと功罪(Whyの探究)
 (3)残業をいかに改善することができるのか(Howの探究)

 本書では、私たちの知見をあますところなく紹介し、残業削減にモヤッとした違和感をお持ちの人や、残業削減に取り組んでもなかなか成果が現れない人にヒントを提供することを目的としています。
 本書をしたためるにあたり、私たちは次の3点に配慮しました。

 (1)データとエビデンスに基づく分析
 (2)具体的な解決策の提案
 (3)わかりやすい講義形式

 ひとつめの特徴は、すでに述べたようなしっかりとした大規模調査のデータに基づいて、長時間労働の議論をなすことです。巷には「長時間労働の是正の本」や、「職場の生産性に関する本」があふれていますが、これらの中にはデータやエビデンスを示していないものが散見されます。長時間労働の是正という「とてつもない難問」を、「私の残業論」という「個人の経験談」だけで解決しようとする書籍があとを絶ちません。本書を通読すればおわかりいただけると思いますが、長時間労働は構造的に生まれているものであり、こうした付け焼刃な方法では、決して問題を解決することはできません。これに対して本書は、前述の通り大規模調査に基づいたデータやエビデンスによって構成されています。

 労働問題については、「自分基準」で語りたがる人が多いというのは僕も感じます。働く、ということには個人差がありすぎるのも事実なわけで。
 この新書では、きちんとしたデータをもとに、残業の功罪の「功」の面についてもきちんと語られているんですよね。
 現実問題として、残業代がもらえないと食べていけない、という人も少なくないのです。
 残業なんてしなくても、十分な収入が得られる世の中であれば、そのほうが良いに決まってはいるのだけれど。

 そもそも、なぜ、残業は悪なのか。
 もちろん、それぞれの労働者が「自分の時間」を持てなくなる、というのは大きな問題なのですが、これからの日本の社会にとっても、「脱・残業」というのは、重要なことなのです。

 日本の2016年の高齢化率(総人口に対して65歳以上人口の占める割合)は27.3パーセントで世界一です。しかも、これは今後も上昇し続け、50年後の2065年には38.4パーセントとなる見込みです。一方、少子化により、増え続ける高齢者を支える働き手の割合は減少しています。2015年は、1人の高齢者を15~64歳2.3人で支えていたのが、2065年には1.3人となる見込みです。

 労働人口による圧倒的な人手不足の中で、この「超高齢社会」をなんとかソフトランディングさせるには、なんとしても「働く人」を増やしていく必要があります。高齢者も共働き夫婦も外国人も、育児や介護、病気などによって様々な制限のある人も、とにかく「誰もが働ける」社会へとシフトしなくてはならないのです。

「働く人」を増やすにあたって大きな障壁となっているのが、当たり前に残業をする「長時間労働」スタイルです。これがスタンダードである限り、「働く人」=「長時間労働が可能な一部の人」となり、いつまでたっても「働く人」の数を増やすことはできません。つまり、長時間労働の雇用慣行が、共働き夫婦、外国人、高齢者などの「長時間労働ができない人」の労働参加を大きく「阻害」しているということです。

 高齢化・少子化がすすみ、長時間労働ができない人の割合が増えていくなかで、社会を維持していくには、「みんなでうまく時間をやりくりして、働くしかない」ということなんですよね。
 「残業しない」=「働かなくていい」ということではないのです。
 むしろ、時間をより効率的に使わなければならなくなるのです。
 世の中そんなに甘くない、ということなんでしょうね。
 AI(人工知能)の発達などで、ラクになるところも少なからずあるのだとは思いますが。

 著者は、日本企業で残業が多くなってしまった歴史的な背景として、終身雇用。年功序列型賃金など、組織の内部で人を長期で雇用してきたことを挙げています。
 欧米では、人を入れ替える(クビにしたり、新たに雇ったりする)ことによって、景気の波を乗り切って来たのに対して、日本企業では、労働時間を調整する(残業を増やしたり減らしたりする)ことによって、景気の変化に対応してきたのです。
 逆に言えば、日本型の終身雇用が成り立っていたのは、残業という仕組みのおかげでもあるんですね。
 そういう雇用制度は、日本の強みでもあったのです。
 ところが、現在は、それが通用しなくなって、終身雇用や年功序列が失われても、残業という慣習は残りつづけています。

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