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生前退位問題で左派が沈黙した背景に天皇の存在感の変化

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【作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏】

【思想史研究者で慶應大学教授の片山杜秀氏】

 終戦まで現人神(あらひとがみ)だった天皇は畏怖の対象だったが、人間宣言の結果、いまでは天皇は身近な親しみやすい存在となった。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏と思想史研究者・慶應大学教授の片山杜秀氏が、皇室と日本について語り合った。

片山:どんなに近づいても親しみを覚えても、日本人にとって天皇は神であることに変わらない。天皇をただの人間と捉えるのは、あまりにも原理主義的な考え方でしょう。神だったはずの存在が、人間のなりをして手を振ってくれるから、日本人はありがたがるわけです。

佐藤:だから、神がより身近になったわけですね。

片山:そう思います。ただの人間なら愛新覚羅溥儀のように1人の人民になればいい。でもそうはならなかった。そこに天皇制を廃して、共和制に移行しようという議論に進まない鍵があるような気がします。

佐藤:もしも60年代、70年代なら生前退位が問題になったとき、左派の論客や政治家は間違いなく共和制への移行の議論を行ったはずですからね。

片山:でも今回は誰も共和制に触れようともしなかった。それはご指摘のような天皇の存在感に変化が起こったからと言えますね。

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