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日本は韓国との「子供のケンカ」に付き合うな~田原総一朗インタビュー

2019年が始まって1カ月が経とうとしているが、日本の内政では厚労省の統計不正、外交では日韓関係の混乱と、問題が起きている。それぞれについてどう考えているのか、田原総一朗さんに話を聞いた。【田野幸伸・亀松太郎】

自民党が厚労省をとことん追及すべき

写真AC

いま日本のメディアで大問題になっているのが、厚生労働省のインチキだ。賃金や労働時間の動向を把握する「毎月勤労統計」で不正調査が行われていて、実態とかけ離れた統計となり、失業保険が過小に給付されていた。2000万人もの国民が損害を受けたとされている。

厚労省はいわばサボタージュをした。誤った調査のために結果的に過小給付が多くなったのか、それとも過小給付を多くするために意図的に不正な調査をしたのか。そのあたりはまったく明らかになっていない。

僕は何人かの自民党幹部に「こういう問題を追及するのが自民党の責任だ」と指摘した。いまのままだと、まるで自民党が厚労省を守っているかのようにみえるので、国民の自民党への信頼はどんどん失われていく、と。

野党はこの問題については蚊帳の外で、自民が追及すべきだ。根本厚労大臣がこの件について謝罪したが、まったくナンセンスである。根本大臣は謝罪ではなく、「原因を厳しく追及する」と言うべきだ。現段階で謝罪するのは、ゴマカシにすぎない。根本大臣は自分が言っていることがゴマカシだとわかっているのだろうか。

自民の何人かの幹部にこのように指摘すると、「田原さんのおっしゃる通り。正直に言って、いままで我々の姿勢は少し間違っていた。なんとなく省庁を守るのが自民党の役割だと思っていた」という政治家もいた。

「田原さんの指摘を受けて、よくわかった」という声もあったが、僕は「わかったら変えるべきだ」と伝えた。自民党こそが、厚労省の問題をとことん追及すべきなのだ。さもないと、自民党は国民の信頼を失う。いわば、森友・加計問題の二の舞になる可能性がある。

文在寅政権も本当は日本の協力が必要なはず

昨年の後半から、元徴用工やレーダー照射の問題で、日韓関係が大きくこじれてしまっている。これに対して、日本はどう対応すべきか。

韓国の文在寅大統領のやり方は大いに問題があると思う。それに対して、日本では多くのマスコミが韓国をボロクソに非難しているが、いまの状態は子供のケンカではないか。もっと冷静に対処すべきだ。

かつて小渕恵三首相のとき、日韓首脳会議が開かれた。1998年の小渕・金大中会談だ。

このとき金大中大統領は、日韓両国が過去の不幸な歴史を乗り越えて、和解と善隣友好協力に基づいた「未来志向的な関係」を発展させるためにお互いに努力することが重要である、と表明した。僕は、これで新しい日韓関係が始まるものだと思っていた。

それがなぜ、こんなふうになってしまったのか。率直に言って、韓国が日本を敵視することで、文在寅政権にどんなメリットがあるのか、よくわからない。

AP

文在寅政権は南北の関係を修正したいと願っている。だとすれば、北朝鮮が本格的に経済復興をするために、日本の協力が不可欠なはずだ。このことはトランプ大統領も何度も言っているし、金正恩・朝鮮労働党委員長もよくわかっている。

実は、文在寅政権が反日的姿勢を強めることに、北朝鮮も困惑しているのではないか。僕はそう考える。

だが、こういうことを言うと、「とんでもない」「反日的だ」と批判される。

思い出すのは、戦前の日本国内の空気だ。そのころは、日本中がアメリカやイギリスのことをボロクソに言っていた。それに対して、アメリカやイギリスを擁護するような意見を表明すると「国賊だ」と決めつけられた。下手をすると、再びこういう時代になるのではないかと心配している。

ところで、なぜ、韓国の文在寅政権は反日的な姿勢を強めているのか。

一つの原因として考えられるのは、いま韓国経済の調子が悪くて、文在寅の支持率が落ちている。そこで、一番てっとり早く支持率を回復するための施策が「反日」ということではないか。

だが、結局のところ、反日では支持率は回復しない。本当の意味で支持率を回復するためには、韓国の経済を良くしないといけない。そのためには日本の協力が必要なはずだ。

日本は、文在寅政権との「子供のケンカ」に付き合う必要はない。もっと冷静に対処すべきである。

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