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空間線量と個人線量計の測定値

空間線量と個人線量計の測定値

東京電力福島第一原発事故の影響を受けた福島県などでは、住民の生活環境を安全に保つため、放射線の外部被ばく線量(体の外から受ける放射線の量)が把握されています。この際、主に2つの方法がとられています。

(1)1人ひとりが身につける「個人線量計」を使う方法

(2)モニタリングポストやサーベイメータ、航空機などを使って計測した「空間線量」を使う方法

(1)1人ひとりが身につける「個人線量計」を使う方法

個人線量計とは、ガラスバッジ(個人の外部被ばく線量を一定期間積算する測定器)やD-shuttle(1時間ごとの個人の外部被ばく線量を記録する測定器)など、1人ひとりが身につけて、個人の外部被ばく線量を測定するものです。

個人線量計を使うと、屋内外を移動しながら生活する個人の外部被ばく線量を測定することができます。なお、福島県では、住民に個人線量計を貸し出すサービスを提供している市町村もあります。

(2)モニタリングポストやサーベイメータ、航空機などを使って計測した「空間線量」を使う方法

放射線の空間の中での強さを「空間線量」といいます。原子力規制委員会などでは、役所や学校、公園といった複数の地点に設置された固定式装置(リアルタイム線量測定システムや可搬型モニタリングポスト)や航空機を使い、定期的に福島県や近隣県の空間線量を計測しています。

避難指示が出ているなど、住民が生活しながら個人線量計で実測することができない場合、住居のそばの屋外(玄関先や前庭)の空間線量をこれらの装置で計測し、それを計算式にあてはめて、個人の外部被ばく線量を推計します。

なお、航空機モニタリングの計測値(航空機で計測した半径300mほどの範囲当たりの平均の空間線量)は、原子力規制委員会のホームページ(http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/list/362/list-1.html)で、固定式装置での計測値は福島県の福島復興ステーションホームページ(http://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/ps-kukan-monitoring.html)で公開されています。

空間線量から個人の外部被ばく線量を推計するため、原発事故後、福島県内で複数の研究グループが調査を継続しています。その結果、個人線量計による測定値は、国がこれまで避難解除の検討の際使用した式に基づく推計値より低いということがわかっています。

産業技術総合研究所は、飯舘村の住民等38人に対してD-shuttleで個人線量を測定し、同時に住民の実際の生活上の動きをGPSで正確に把握しました。そして、飯舘村で生活する住民のD-shuttleに記録された1時間ごとの個人線量と、GPSの記録などからわかる1時間ごとに住民が滞在していた地域周辺の空間線量(このときは航空機モニタリングから得られた値)を比較しました。

この研究では、実際に飯舘村で生活する住民等のD-shuttleに記録された測定値は、同地域の航空機モニタリングから得られた値に比べ、一人ずつの平均で屋外では8~36%程度、屋内では6~27%程度だったことがわかりました。

参考

Naito et al., “Measuring and assessing individual external doses during the rehabilitation phase in Iitate village after the Fukushima Daiichi nuclear power plant accident”

Journal of Radiological Protection (2017)


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