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「NGT事件」なぜ秋元康は謝罪しないのか

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■AKB商法の「闇」の一部があらわになった

おかしな事件である。

一見、単純なストーカー事件のように見えるが、秋元康がプロデュースしてきたAKB商法なるものの「闇」の一部があらわになったと、私は思う。

週刊文春(1/24号)によれば事件のあらましはこうだ。

新潟県を中心に活動をしているNGT48というグループがある。AKBグループには日本国内6グループ、日本国外6グループがあるが、NGTは5番目にできたそうである。

事件が起きたのは12月8日夜。新潟駅の近くで、すべての窓にフィルムを貼ったフルスモークの小型バスが停車した。

「バスから降りたのはアイドルグループNGT48のメンバーD子。劇場公演を終え帰途につくところだった。バスが発車すると熱心なファンであるC(20代の大学生=筆者注)がなれた調子で声をかけた。

『まほほん、バスにまだ乗っているの?』

D子がうなずくと待ち伏せる仲間に、今まさに山口(真帆・23=筆者注)が送迎バスに乗車している旨を報告」(文春)したというのである。

2018年1月8日、NGT48劇場2周年を記念したコンサートで歌うメンバー(写真=時事通信フォト)

■山口が無事だったのが“奇跡”という事件

Cから連絡を受けたAとBは、メンバーの1人が以前住んでいた寮(単身者向けのワンルームマンション)の対面の部屋で待ち構えていた。山口が帰宅して部屋のドアを開けたところで、Aが声を掛けた。

驚いた山口が悲鳴を上げた。するともう一人のBが慌てて出てきて、山口の口をふさごうとしたそうだ。山口はスマホで助けを呼んだ。数分後、親しいメンバーが駆け付けてくれた。

パニック状態になっている山口と、襲った男2人を外に出し、近くの公園へ移動したという。

「公園でも山口は興奮状態にあった。Cも連絡を受け、公園に駆け付けた。しばらく口論が続き、ようやく警察と今村支配人(悦朗・運営会社AKS=59)がやってきたそうです」(文春)

A、B、Cの3人は警察に連行された。被害届が出され、翌9日に、暴行容疑でAとBは逮捕されたのである。この記述が正しいならば、彼らのやった行為は明確な犯罪である。山口が無事だったのが“奇跡”というべきであろう。

だが、ここから事件は不可解な様相を呈するのだ。

■警察とは思えない「配慮」の仕方

新潟県警は、この事件の広報文を出したが、内容は県警記者によるとこうだったという。

「新潟市内在住のA(25・無職)とB(25・大学生)が、市内在住の女性(23・自営業)に暴行し逮捕された」

これでは記者たちの関心を引くわけがない。なぜ、県内トップの人気を誇るアイドルグループの1人が暴行されたと発表しなかったのだろう。

しかも、後述するが、アイドルグループを狙う半グレ集団のような連中なのである。一罰百戒をモットーとする警察とは思えない「配慮」の仕方だ。

その上、AとBを20日間拘留していたのにもかかわらず、検察は「不起訴」にしてしまうのだ。

これだけの事件が起き、彼女たちの管理体制に問題があったのは明白なのに、今村という支配人らは、ダンマリを決め込むだけだった。

■なぜ被害者である女性に謝罪させたのか

事件が明らかになったのは1カ月もたってからだった。しかも当人の山口がツイッターに、

「私は先月公演終わり男2人に襲われました。あるメンバーに公演の帰宅時間を教えられ、またあるメンバーに家、部屋を教えられ、またあるメンバーは私の家に行けと犯人にそそめかしていました」(原文ママ)
と窮状を訴えたのである。

事件直後から不仲と噂されていた太野彩香(21)と西潟茉莉奈(23)をツイッターのフォローから外したため、2人の関与が疑われた(文春によると、2人は県警に事情を聞かれたが、事件とは無関係だったという)。

NHKをはじめメディアが一斉に報じ、取材に動いた。

だが、AKS側は「担当者が不在」だとして、何も説明しなかったのである。多くの10代、20代前半の女の子を抱えている事務所とは思えない無責任で当事者意識の欠如した対応だ。

1月10日、公演で山口自らが、「たくさんお騒がせしてまことに申し訳ありません」と謝罪したが、当然ながら、なぜ山口に謝らせるのだ、彼女は被害者ではないかという批判が巻き起こった。

仕方なく、ようやく14日になって、AKSの松村匠運営責任者兼取締役と、今村ではなく、新たに支配人になった早川麻依子が謝罪したが、AとBはすでに不起訴になっているのに「警察の捜査」を理由に詳細な説明を拒み、今村の交代は「引責ではない」といい放ったのである。

■「根源的に生身の少女たちを危険に晒す危うさを内包」

松村は会見で、秋元康から「メンバーをケアすることを考えなさい」と叱責されたと明かしたが、冗談ではない。

「そのビジネスモデルは根源的に生身の少女たちを危険に晒す危うさを内包している」(文春)のである。「秋元、出てきて謝れ!」という声が出て当然だろうと思うが、新聞やスポーツ紙、テレビ、週刊誌からもほとんどそうした批判は出てこなかった。

絡まった事件の謎を解いていくことにしよう。

まずは、Aたちが所属していたグループとは何か。文春によれば、NGTメンバーの中井りか(21)が、20代のZという男と半同棲生活を始めたそうだ。

このZという男、「もともとZは大阪のNMB48を振り出しに名古屋のSKE48.そして中井目当てでNGT48へと拠点を移した。最終的には新潟に移住した、筋金入りのアイドルハンターなんです」(古参ファン)。Zはパチスロやチケットの転売で荒稼ぎして、仲間と組んでライブで最前列を確保し、自分を「推しメン」に認知してもらうというやり方で、獲物を物色するという。

Z軍団と呼ばれる彼らの悪質なやり方に、もともとのファンからは煙たがられていたが、今村支配人は、Zらがたくさんのカネを使う「太い客」なので黙認していたという。

■彼女たちを「カネ儲けの手段」としか考えていないのか

山口を襲ったBは、握手会で一度に30万から50万も使っていたとNGTの関係者が話している。

しかし、ここ1年半ほど前から握手会に顔を見せなくなったとそうだ。E子というメンバーをプライベートで自宅に泊めるほど親密な関係になったのが理由だと、Z軍団の知人が語っている。

そうしたつながりから、今度は山口を軍団の女にしようと考えたのではないのか。

これだけ見ても、AKBを始めとした多くのグループが、相当危うい環境で働かされていることが分かろうというものである。

彼女たちは研究生を含めて現在42名いるそうだが、「スタッフは支配人以下十名前後という体制で、連日公演を行っていました」(地元担当記者)。警備体制などなかったに等しいのだろう。

2014年には、岩手県で開催されたAKB48の握手会で、のこぎりを持った男が切りつけ、メンバー2人とスタッフを負傷させるという痛ましい事件が起きている。

FLASH(1/10号)によると、昨夏には、NGTの荻野由佳(19)が、レッスンの帰りに襲われ、クルマに連れ込まれそうになったことがあったという。彼女たちをカネ儲けの手段としか考えていないといわれても致し方ないのではないか。

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