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「パンケーキ食べたい♪蒲田はジゴク」おもしろ荘芸人・夢屋まさるの中毒性

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サンミュージック オフィシャルウェブサイト

パンケーキ食べたくないのに、「♪パンケーキ食べたい」と口ずさんでしまっている。自分自身、まあまあかぶれやすく、にわか体質だとは思うが、五十歳を過ぎたオッサンが「♪パンケーキ食べたい」と口ずさみ続けているのはどうしてかと言えば、仕方ない、脳が勝手に覚えてしまったのだ。

おもしろ荘で注目の芸人「夢屋まさる」

年末年始に増水するバラエティ番組に溺れて陸に這い上がると、腰の網カゴにいつの間にか入っていたのが「♪パンケーキ食べたい」だった。そんな感じ。発信源はピン芸人の夢屋まさる。年始のマスト番組「ぐるナイおもしろ荘 日本で一番早いネタ祭!誰か売れて頂戴!」に出演した、サンミュージック所属、芸歴3年目、1998年生まれの二十歳だ。

元旦放送の「ぐるナイおもしろ荘」は、無名な若手芸人がメジャーブレイクへのキッカケをつかむ、注目の番組だ。近年では、日本エレキテル連合(2014)、おかずクラブ(2015)、8.6秒バズーカ(2015)、ブルゾンちえみwithB(2017)、ひょっこりはん、完熟フレッシュ(2018)などが輩出された。

その影響力は、「M-1グランプリ>>>おもしろ荘>>>キングオブコント>>>>>>R-1ぐらんぷり>>>>>>>>>THE W」ぐらいか。ネタを競うなら「M-1」「キングオブコント」「R-1」、キャラを競うなら「おもしろ荘」だ。

今年元旦の「おもしろ荘」で優勝を飾ったのは漫才コンビの「ぺこぱ」だった。彼らを2015年に放送された「爆笑ファクトリーハウス笑けずり」(NHKBSプレミアム)で初めて見ていたが、その時よりもあからさまに成長していた。キザキャラの松陰寺太勇が笑いのフォーマットを深め、相方のボケをツッコミそうでツッコまずに全肯定で受け入れる、ツッコまないツッコミ――「全肯定ツッコミ」を確立し、笑いを着実に増していた。

この全肯定ツッコミがネタ内だけでなく、バラエティのスタジオで自在に出せたら、心無いワード渦巻く時代のカウンターフォーマットとして、大きな跳躍が待っているだろう。ヨイショ(前時代的幇間)が下からの肯定なら、ぺこぱ松陰寺は上からの肯定、新時代の幇間持ちだ。

パンケーキ食べたい 蒲田はジゴク

で、話戻って「♪パンケーキ食べたい」の夢屋まさるだ。そのネタは以下――
< 夢屋まさるネタ 2019年1月1日放送「ぐるないおもしろ荘」(日本テレビ)より >

※(BGM~IN)

きゃー、 三度のごはんより竹下通り~
ジェンダーレス男子のゆめちゃんで-す!
ゆめちゃんはカワイくって、インスタ映えするものだけが、好きなんですねえ~
ってか聞いて、ゆめちゃんみんなに存在自体がキモいって言われるの~
もう知らんプリズム!
マジマジ、マジタクスゼイアンって感じー
じゃあ、ゆめちゃんの悪口を言うみんなに、今からちょっといい話~

※(肩掛けのバッグからスケッチブックを取り出す。大きく「人」と書かれてある)

人という字は人と人が・・・ 

※(BGM~FO オーバーオールのポケットから黒マジックを取り出して上描きする)

ええ~、待って~

※(犬の顔を描き上げて)

あー見て、犬になったー、カワイイ~、・・・・・・

※(曲調変わってM~IN TikTokの「だれでもダンス」の振り付けで踊りながら)

♪パンケーキ食べたい パンケーキ食べたい パンケーキ食べたい 新宿はキタナイ
パンケーキ食べたい パンケーキ食べたい パンケーキ食べたい 押上もキタナイ
パンケーキ食べたい パンケーキ食べたい パンケーキ食べたい 蒲田はジゴク
パンケーキ食べたい パンケーキ食べたい パンケーキ食べた~い

※(M~UP)(後略)
「知らんプリズム」に「マジタクスゼイアン」などの聞き慣れない造語、かと思えば古い時代からある字遊びによる犬のイラストに心揺さぶられるフックは無い。ここで描かれた犬はカワイイと言うほどカワイくもなく、むしろ雑。この、ネタ前半部に関して言えば、二十歳のジェンダーレス男子が幼児退行して、「カワイイ」という自己主張を並べ、共感も無く、単にイタい、ので、見る側はサーっと引き潮にさらわれ「・・・・・・」となっていく。

と、この引き潮状態が実は前フリで、「・・・・・・」にぶつけて始まるのが「♪パンケーキ食べたい」だ。

唐突に発せられる「♪パンケーキ食べたい」の連呼。音楽に乗っているが歌ってはいない。リズムを刻んでいるがラップには満たない。未就学児童が欲求を駄々漏れさせるような連呼だ。

この「♪パンケーキ食べたい」を三回繰り返したあとに、これまた唐突に「新宿はキタナイ」「押上もキタナイ」「蒲田はジゴク」と限定地域をいきなりディスる。

カワイイ「パンケーキ」アゲから、カワイクない「新宿・押上・蒲田」サゲ。このアゲサゲ落差で笑いを起こす。原宿竹下通りを愛すると前フリしていたので、地域ディスりは原宿目線からの睥睨らしい。

ここで確かに笑いを起こすのだが、今の時代、この手の発言が笑いとして受け入れられるか、暴言としてクレームを受けるか、そんな懸念も少なからず同時進行だ。

今はまだ、マイナー芸人の戯言として見向きもされないだろうが、今後、夢屋まさるが知名度を上げていけば、限定地域を「キタナイ」とか「ジゴク」とか言う「ジェンダーレス男子ゆめちゃん」というキャラ設定の前に、世間の不寛容が立ちはだかることも想定される。

新宿はメガ過ぎるからスルーだろうが、押上なら東武グループ、蒲田なら東急と京急。地域のイメージは経済活動に関わるわけで、夢屋の影響力拡散に比例して圧をかけてくるかもしれない。その際に、夢屋側にパンケーキ業界が味方に付いたとしても、ふんわりふわふわなパンケーキは楯に向かない・・・。

そんな、パンケーキと地域ディスりの、甘口と辛口の無邪気な落差が夢屋まさるであり、この危うい不発弾を抱えたフレーズを、音楽とダンスでポップなパフォーマンスにしたのが夢屋まさるだ。

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