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  • S-MAX
  • 2019年01月20日 11:25

総務省と通信業界の仁義なき戦い?大手通信キャリアへの総務省の提言から業界に横たわる問題点と消費者のメリット・デメリットを考える

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通信業界が抱える問題点をおさらいしてみた!

16日にNTTドコモが、いわゆる「2年縛り」などの定期契約を解約した際に違約金の発生しない月数を2ヶ月間から3ヶ月間へと変更するプレスリリースを発表したのを皮切りに、KDDIやソフトバンク(サブブランドのワイモバイル含む)も17日付で同様の変更を発表しました。

2年定期契約などの解約金がかからない期間を延長(NTTドコモ・報道資料)
auの「2年契約」などにおける更新期間の拡大について(KDDI・ニュースリリース)
2年契約の更新期間拡大について(ソフトバンク・プレスリリース)

それぞれの変更の適用は、NTTドコモが2019年3月に定期契約が満了を迎えるお客様から、KDDIが2019年3月より条件を満たすお客様から、ソフトバンクが2019年3月1日より変更となっており、変更期日や適用対象者に細かな差異はあるものの、ほぼ横並びでの改善となりました。

今回の変更は2018年6月に総務省が取りまとめた報告書「モバイル市場の公正競争促進に関する大手携帯電話事業者への指導等」に基づいて行われたものですが、2019年はこういった2018年までに取りまとめられた総務省の指導や要請を基にした料金施策や販売方式の改善や変更が多く見られそうです。

感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する「Arcaic Singularity」。今回はこれらの総務省による指導や要請、通信キャリアが抱える問題点などをおさらいしつつ、ユーザーにどのようなメリットやデメリットがあるのかを考察します。

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通信キャリアが打ち出す料金施策や販売戦略はどのように決定されていくのか

■問題山積の「異例」なインフラ業界

通信は今や電気や水道と並ぶ重要な生活インフラですが、これほどまでに総務省から業務上の改善や販売方式の是正などを求められ続けるインフラ業界はほぼありません。過去20年以上にわたる商慣習も含め、歪んだビジネスモデルを引きずったまま現在に至った「ツケ」とも言えます。
前述した2018年6月の総務省による指導の主な項目は以下の通りです。
1. 携帯電話番号ポータビリティ(MNP)の円滑化
2. 加入者管理機能(HLR/HSS)連携機能の提供に係るMVNOの費用負担
3. 貴社の迷惑メールフィルタ設定
4. ネットワーク利用制限の対象端末に関する迅速かつ明確な情報公開
5. 利用者契約における利用期間拘束
6. 利用者による利用実態に合わせたサービス選択
※項目7は報告書にある各項目への対応なので除外。
詳細はこちらのPDFを参照
冒頭に書いた定期契約時の違約金が発生しない期間の延長に関連しているのは項目5です。報告書では平成31年(2019年)3月末までに対応策を講じるようにとの提言があります。
また指導ほどは厳しくないものの、改善を求める「要請」内容としては以下の5項目が挙げられています。
1. 帯域幅の柔軟な変更の可能性
2. 音声卸料金の低廉化等
3. キャリアメールの転送サービス
4. 利用者契約における利用期間拘束
5. 月途中の解約時における日割計算
※項目4についてはNTTドコモへの要請はなし
詳細はこちらのPDFを参照
昨年8月に菅官房長官が発言し波紋を呼んだ通信料金の低価格化についても、すでに6月の時点で要請として挙げられていたものでした。

これらの指導や要請項目の多くは私たち個人契約者が関連する項目が多く、現状の通信業界の商慣習やビジネスモデルが不適切であるとの見解が、少なくとも2018年時点での総務省の総括と考えられます。

そして年が明けて今月17日にも、総務省は携帯電話料金の引き下げ等を議論する有識者会議を開催し、スマートフォン(スマホ)などの端末購入代金と月額料金を完全に分離した「分離プラン」を通信事業者へ義務付ける緊急提言も取りまとめています。

厳しい表現が並ぶ報告書に目を通していると少々行き過ぎた指導や提言なのではないかと感じてしまう部分もありますが、一旦業界の外側に目を向けてみれば、これほどまでに行政からの指導や要請、さらには業務改善命令までチラつかせた緊急提言を受けるような業界は、先にも述べたように異例中の異例です。

通信という莫大な費用がかかるインフラ事業においては、各通信キャリアの言い分やビジネス戦略にも理解できる部分は多くあります。日々その取材を通して通信事業の運営の難しさや安全への取り組み、次世代技術への投資の重要性などを見聞きしている筆者としては、総務省と通信キャリアのどちらが間違っているとかではなく、恐らくどちらにも主張の根拠はあるのだろうというのが素直な感想です。

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総務省による指導が絶対ではないにしろ、事業としての歪みがないのであればそもそも指導が入ることはないはずだ

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