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学校教育の中での体罰の根絶のために

 先般、東京都町田市の都立高校で授業の時間帯の中で、廊下で教師が生徒に体罰を加えている映像とともに体罰事件としてニュースで報じられていました。
 かなり衝撃的な内容です。

 教育委員会は体罰はあってはらないことと謝罪の会見です。この教師にも懲戒処分が下されることになろうかと思いますし、刑事告訴されれば刑事罰も免れないでしょう。
 それは、理由はともかく体罰はあってはならないこと、ましてや今回の体罰はわかりやすい有形力の行使(暴行)だからです。

 とはいえ、この動画を見ていて釈然としないものもありました。生徒は執拗に教師に暴言を向けています。普通の高校1年生の態度ではありません。30年以上も前の校内暴力全盛の時代だったら珍しくはありませんが、正直なところ、この生徒の姿勢には疑問に思いました。

 NHKの報道では以前からこの両者の関係はよくなかったとありましたが、別の報道では何ら問題のある関係ではなかったというものもありました。どちらが正しいのでしょうか。

 問題の発端は、この生徒が学校にピアスをしてきたことに対する指導というです。ピアスの禁止が良いのかどうかはここでは問題にはなり得ません。この生徒が表現の自由と生徒の自由への制約がどこまで許されるのかということが争点というわけではなく、このやり取りを見る限りは、生徒側がピアスをしているのは単なる反抗的姿勢、挑発的姿勢にしかなっていないからです。

子どもの髪型の問題
(理詰めで生徒が抗議していた場合であれば、動画で映っているような暴言にはなりません。私自身は高校でのピアスの禁止は相当と考えます。学校内でピアスを許容しなければならないようものではなく、またその生徒の個性と評価するようなものでもないこと、ピアスが主にはパーマネントと同じように反抗的意味合いとして行われており、社会一般にピアスが当然という社会的合意もないことなどが根拠です。教員側は、何故、ピアス禁止の校則があるのか、理詰めで説明できたのでしょうか。禁止されているからダメでは、ダメなんですよ。)

 いずれにせよ、生活指導の中で、このような問題が発生したとき、教師の側こそ冷静にならなければならないのは当然です。生徒から外に出ようなどと言われてもそれに従うのはダメです。
 生徒が食って掛かってきた場合、その内容にもっともだと思うものであれば、教師であってもそれは受け入れなければなりません。「あ~、そうだな。私が間違っていた。」と。

 しかし、他方で、正しい内容であったとしても「食って掛かる」姿勢は教育指導の対象です。正しい内容であればあるほど、それは理詰めで話すべきことです。力で威圧する態度があってはならないのは当然のことで、それにも関わらず、指導を聞かないということであれば学校全体で対応しなければならない問題となります。

 体罰はダメ!

体罰は当然に禁止



というだけでなく、こうした問題が発生したときに学校全体でどのように対処すべきなのかということこそ大事なことで、冷静さを失って体罰を振るようではダメなのですが、他方で体罰を根絶させるためにというのであれば、その場での対応の仕方、その後の複数の教師で指導にあたる、など個々の教員を学校全体が支えるということがなければ教員の身が持ちません。

 今や教員は、ただでさえ、クレームがあったらどうしようという状況に置かれてしまっており、相当に神経をすり減らしています。
 この映像も最初は私は防犯カメラのものかと思ってしまいましたが、どうやら生徒が撮影したんですね。こうした常に監視されたような状態にも置かれてしまっているとも言えます。

 教員は、長時間労働も強いられており、教員志望者は減少しています。魅力的な職業としては見られなくなってしまったということでもあります。
 この動画を見て、「この暴力教師」と言っているだけでは、これからの青少年にとって教員志望を遠ざけかねません。
 根源的なところにまで原因分析を行ってもらいたいと思います。

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