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「生活保護のしおり」問題と全国的な改善運動ー生活保護に対する誤解を減らすためにー

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埼玉県内の福祉事務所から届いた「生活保護のしおり」

「生活保護のしおり」とは

皆さんは「生活保護のしおり」をご存じだろうか。

「生活保護のしおり」とは、主に生活困窮者や生活保護受給者へ配布され、生活保護法やその運用について説明をする冊子のことである。

この冊子は各自治体の福祉事務所ごとに作成されており、それぞれが生活保護制度について情報を伝えるツールとなっている。

生活保護制度はまだまだ一般的には正確に知られていない制度と言える。いざ受給するときになって初めて出会う制度といってもいいだろう。

だから、市民の生活保護に対する差別意識や制度への無知は未だに続いている。

わたしは過去にも生活保護制度をめぐる誤解や偏見を払しょくすることを試みて、Yahoo!記事でも配信を続けてきた。

「生活保護のしおり」とは、このような社会状況において、初めて生活保護制度を知りたい人に、お住まいの福祉事務所が公式見解として情報を伝える重要な資料だと言える。皆さんもお住まいの役所の福祉課へ寄った際は「生活保護のしおり」を遠慮なくもらってみてほしい。

しかし、その内容は福祉事務所への気軽な相談を促すようにイラストも使用して分かりやすいものもあれば、小さい文字が羅列しているだけで非常に不親切なものまで様々である。

生活保護を必要としている方のなかには、認知症を有する方、障害を有する方、外国籍の方など多様な人々を含んでいる。

言語能力や認知能力に制限がある方への情報提供も欠かせないわけだが、不十分な自治体が多く見受けられている。

また、「生活保護のしおり」がインターネットで見られる自治体もあれば、そうでない自治体もある。

このような貴重な資料は、インターネット上にも公開し、市民が自主的に見れるようにするのが当然であろう。

皆さんの住まいの「生活保護のしおり」はどうだろうか。

例えば、神奈川県小田原市は、非常に分かりやすい「生活保護のしおり」を作成している自治体のひとつである。当然ながら、インターネット上で誰でも閲覧することができる。

小田原市と言えば、「HOGO NAMENNA」(保護なめんな)というジャンパーを福祉事務所職員が着用して、家庭訪問などを繰り返していたことで有名になった。いわゆる「小田原ジャンパー事件」があった福祉事務所である。

現在は「生活保護のしおり」も見直し、福祉事務所業務の体制刷新を印象付けている。もちろん、この「生活保護のしおり」が完璧だというつもりはないが、生活保護制度について十分に理解ができる内容といえるだろう。

ぜひ小田原市福祉事務所の「生活保護のしおり」と皆さんの自治体の「生活保護のしおり」を比較してみてほしい。

「生活保護のしおり」に生活保護への誤解が広がる記述が散見

現在、この「生活保護のしおり」をめぐって、全国で問題が顕在化している。

問題とは「生活保護のしおり」が分かりにくいだけでなく、その記述内容に誤りがあったり、誤解を招く表現があるというものだ。

例えば、生活保護しおりに「働ける人は働いて」 滋賀県が2市に指導(京都新聞)では以下のような出来事が報道されている。

生活保護を申請する人に渡す冊子「保護のしおり」に申請をためらわせかねない記載があったとして、滋賀県が大津市と守山市を指導していたことが2日分かった。指導を受け、両市は内容の見直しを進めている。

 両市は、申請手続きなどを紹介するしおりやホームページに「生活保護を受ける前にしていただくこと」として、「働ける人は能力に応じて働いて」「預貯金や不動産などは活用して」「家族から援助を受けられるように努力してください」と記していた。

 これらの記述について、県は「法的には問題ないが、保護を受けるには、これらの要件を満たさないといけないと誤信させる恐れがある」として、4月に両市に指導したという。

 大津市は「分かりやすいように追記や書き換えを検討している」、守山市は「県のしおりを参考に内容の見直しを進めている」としている。

出典:京都新聞

要するに、生活困窮者が生活保護申請することをためらわせるような記述が「生活保護のしおり」に含まれている

生活保護制度に対する正確な知識を有していなければ、「生活保護のしおり」を見て、生活保護を受ける前に「〇〇をしなければならない」「〇〇しなければ申請してはいけない」と誤解されることもあるだろう。

実は、過去にも生活保護を必要な人々が生活保護申請に至らず、餓死や凍死してしまう事件が相次いでいる。

「生活保護のしおり」に誤解を招くような表現があれば、人々の生死を左右しかねないというのは、何も大げさな言い方ではないだろう。

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