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毎月勤労統計の不適切調査問題で、日本の統計への信頼が揺らぐ事態に

厚生労働省が賃金や労働時間を示す毎月勤労統計調査で不適切な調査を続けていたことが発覚した(16日付日経新聞)。

 厚生労働省の毎月勤労統計調査で賃金上昇率が高めに出ている問題はすでに昨年夏あたりにエコノミストなどから指摘されていた。

 9月29日付けの西日本新聞によると、

「1月に統計の作成手法を変更した影響で数値が高めに出ていることや、公式統計値より実勢に近い「参考値」を十分に周知できていない現状を踏まえ、公表資料の拡充や発表手法の改善を検討する。公式統計値の補整はしない方向。有識者らが公的統計の在り方を検討する政府の統計委員会(委員長・西村清彦政策研究大学院大学特別教授)に同日報告、了承された」
とある。

 ところが、その後も同統計の正確性を疑問視する声が根強かったため、総務省は独自の分析作業を継続。調査対象としている事業所の従業員規模ごとの数値を精査したところ、500人以上の大規模な事業所群で不自然な数値の上振れが見つかり、同12月10日に厚労省側に照会した。厚労省側は同13日、統計委の西村清彦委員長も交えた非公式会合で、東京都の500人以上の事業所で抽出調査をしていたと「告白」した(1月15日付西日本新聞)。

 毎月勤労統計調査では、500人未満の事業所については対象事業所を厚生労働省がサンプリング(抽出)して実施しているが、500人以上の事業所は「全数」調査することになっている。しかし「実は、全数調査じゃない」ことが判明したのである。

「東京都で調査対象となる約1400のうち、3分の1しか調べていなかった。中小企業に比べれば賃金の高い大企業が抜けていたため、2004~2017年は実際よりも統計結果の賃金が低くなっていた(日経新聞)」

 厚労省が本来の調査方法に近づけるための数値補正を昨年1月に始め、事業所数が少ない前年の数値とそのまま比較した同月以降の賃金上昇率が過大になっていたと考えられる(西日本新聞)。

 つまり、2018年分から本来の結果に近づける加工を施したことになる。これは国が発表する統計への信頼が揺らぐ事態といえよう。さらにこの統計は雇用保険や労災保険の給付額計算の根拠となっていたことから、雇用保険などの差額をさかのぼって支給することによる追加の支給額に加え、その事務にかかる費用なども含め全体の費用は合わせて795億円に上るとされている。また、GDP統計などにも影響が及ぶ可能性がある。

 これは氷山の一角なのか。「実は、全数調査じゃない」との厚生労働省からの説明を受けて、元日銀副総裁でもある西村清彦教授が「重大なルール違反だ」と批判したことが、今回の問題発覚に至ったとされている。日本の統計の信頼が大きく揺らぐ前に、西村教授が進めている抜本的な公的統計改革を行う必要があろう。

 西村教授は今回の件に関するNHKのインタビューで、「政府の統計調査全体に対する信頼が落ちることを最も心配している。統計調査は政策の基本だから、きちんとした調査をしないかぎり、きちんとした政策はできない」と指摘している。

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