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日露平和条約締結交渉の背後にある問題

 14日、モスクワで日露外相会談が行われる。2ヶ月前に、安倍首相とプーチン大統領が、1956年の日ソ共同宣言に基づいて、問題解決のための交渉を加速させることで合意したことを受けての動きである。

 日ソ共同宣言を基礎にすれば、平和条約締結後に歯舞・色丹二島が日本に引き渡される。その後、国後・択捉については協議を進め、共同で開発を進めたり、日本人の自由往来を可能にする措置をとったりするというのが、「二島プラスα」論である。

 安倍首相は、四島が交渉の対象であり、日露首脳会談の中身について、「領土問題を解決して平和条約を結ぶという従来の方針と矛盾しない」と強調している。

 交渉がどのように進むのか、実は背後に幾つかの問題点がある。

 第一は、日露間の北方領土・平和条約交渉の影の主役はアメリカだということである。軍事戦略上重要な意味を持つ北方領土には、すでにロシア軍が展開しており、返還された歯舞・色丹に米軍基地を置くことをプーチン大統領は絶対に認めない。

「米軍の展開はない」ということを、安倍首相はロシア側に確約できるのだろうか、そしてそれをアメリカは容認するのであろうか。米露対立が深まっている中で、安倍首相がアメリカを説得できるかどうか。

 第二は、領土の持つ意味をどう考えるかということである。領土は、そこにある資源が獲得できるなどのメリットもあるが、管理にコストもかかる。プラスとマイナスを比較考量したときに、領土は広い方が良いとは単純に断言することはできない。

 帝国主義の時代と異なり、現代のIoTの時代には、領土の広さは決定的な意味を持たなくなっている。

 領土にはナショナリズムを満足させるという意味もあるが、経済のグローバル化が進む今日、それを政治シンボルとして活用する機会はあまり多くないであろう。

 第三は、「二島プラスα」論は、従来の安倍首相の支持基盤、つまり保守勢力からの強い反発が予想される政策だということである。彼らは、「四島一括返還→平和条約締結」という路線を堅持している。よほど慎重に事を運ばないと、安倍首相の支持率を下げることにつながってしまう。

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