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韓国レーダー照射問題 EEZで既成事実化 ~日本海の波高し~その2

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トップ写真)韓国駆逐艦DDH 973
出典)Frickr;Marion Doss

岩田太郎(在米ジャーナリスト)

【まとめ】

日本のEEZが侵食され、それが既成事実化。

EEZ内での韓国・北朝鮮の接触から目をそらすカモフラージュの可能性

レーダー照射事件の本質はEEZにおける韓国海警や韓国海軍による「主権行使」。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトでお読みください。】

韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」が2018年12月20日、海上自衛隊のP1哨戒機に対して敵対的な火器管制レーダーを照射したとされる問題には、東アジアにおける地政学的な転換点(ターニングポイント)の意味がある

韓国が北朝鮮や中国との戦略的連携を深める中で、日本海における日本の排他的経済水域(EEZ)が侵食され、それが既成事実化しつつある。韓国レーダー照射問題は、北朝鮮の核武装、中国の西太平洋地域における東進、米国の韓国に対するコミットメントの低下などの重大な地政学的イベントがなければ、起こり得なかったことだ。

さらに、アラブ世界が資本主義と社会主義などの近代的な「イデオロギー対立」から前近代的な「宗派や民族のアイデンティティ」による再編の只中にあるように、朝鮮半島もイデオロギー対立から「血を分けた民族による統一」へと政治の前提条件が大激変している。今回の事件も、そうした大局から捉えるとわかりやすい。

■日本のEEZで希薄化された日本の主権

そもそも、今回の事件が起きた漁業資源豊富な大和堆(やまとたい)の「暫定水域」は、大部分において韓国が一方的に主張するEEZにさえ入らず、法的地位に争いのない日本のEEZだ。だが、「しなくてもよかった1998年9月の政治的妥協」によって、歴史的に漁業で我が国に人的・物的損害を与え続けていた韓国に対し、資源豊かな45%の区域の排他的権利を事実上、半分分け与えた

大和堆と暫定水域の位置関係。(出典: 鳥取県農林水産部水産振興局水産課

1998年11月の国会では、自由民主党の山中燁子(あきこ)元衆議院議員によって、次のような政府追及が行われていた。

「基本合意は、本来我が国の排他的水域である大和堆の大半等を暫定水域として韓国に譲歩している。日本海に旗国主義(注: 日本は日本の漁船しか取り締まれず、日本EEZ内の韓国漁船は韓国のみが取り締まれる仕組み)をとる広大な暫定水域を設けることは、長年に亘る韓国漁船の不法・無謀操業を容認したことであり、現在の『乱獲の海』を一層拡大することにつながる」。

この懸念は的中し、大和堆では現在も日本が韓国漁船の漁獲量の規制を行えず乱獲が横行している。また、漁業の権利がない北朝鮮、そして中国漁船までが密漁で乱獲に加わっている。だが乱獲は「症状」に過ぎず、本質は、暫定水域設定による日本の主権の希薄化なのだ。

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