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韓国軍レーダー照射「反論ビデオ」の噴飯

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韓国側は、防衛省への反論のなかで「レーダー波のデータを見せろ」と主張しているが、これには国際的な問題が生じる可能性があり、簡単に応じることはできない。クァンゲト・デワンが搭載する火器管制レーダーは、ギリシャ海軍やインドネシア海軍など複数の国の艦艇で採用されており、データの公開は他国の安全保障リスクへと発展しかねない。防衛省は、レーダー周波数だけでなくレーダー波の成分、つまりそこに隠れている火器管制用の暗号コードまで含めて情報を握っている可能性が高いのだ。

ちなみに、今回の件で防衛省は、重要な情報をすべて米軍と共有しており、同時に事態の発生から時を置かずして、米軍に対して日韓の緊張を解くべく仲介の依頼を行っているはずだ。大きな目で見れば東アジアの安全保障にとって、日米韓の準軍事同盟的な枠組みは非常に重要であるし、アメリカも日韓のきしみを歓迎できる立場にはない。しかし韓国側が、日本による情報公開が困難であることを盾にレーダー情報の公開を執拗に迫るようだと、問題は深刻化し、やがて日韓のみならず米韓同盟にもヒビを入れかねない。

■北朝鮮の違法行為をアシストしていた?

今回のレーダー照射案件を別の視点から眺めてみると、興味深い疑問点がいくつか浮かんでくる。まず、発端となった北朝鮮漁船の「救助」に、なぜ韓国の海軍の駆逐艦と海洋警察の大型艦が合わせて駆けつけたのか。

クァンゲト・デワンが国籍を示す旗を艦首にも艦尾にも、そしてマストにも掲揚せず、自分たちが何者であるのかの主張をしていなかったのはなぜか。公海上とは言え、わが国の排他的経済水域(EEZ)内、しかも日本の領海の近傍で活動するならば、国籍や船籍を示すのがマナーというものだろう。これで海自機の問いかけに応答もしないのでは、ただの謎の国籍不明艦である。さらに謎なのは、救助されたはずの北朝鮮漁船に関わる情報がまったく出てこないことだ。

筆者は、これをひもとく鍵を北朝鮮に求める。2017年11月29日の北朝鮮による大陸間弾道ミサイル発射に対して採択された国連決議2397号の制裁措置によって、現在、北朝鮮の経済状態はかなり悪化しているとされる。その結果、多数の北朝鮮漁船が日本海へと乗り出し、日本のEEZ内でも不法操業を行っている。さらに瀬取りによる制裁決議違反も繰り返されており、各国が監視体制を強めているという状態だ。

これはあくまでも推測であるが、従北姿勢を強める文在寅政権は、裏の国策として北朝鮮による国連制裁違反を恒常的にアシストしているのではないだろうか。

そもそも現場は日本のEEZ内であり、北朝鮮漁船はもちろん韓国漁船の操業も許されていない場所だ。そこに国籍を示す旗を掲げない軍艦と、5000tという大型の警備艦が出張って来ていること自体がおかしい。ところが、これを北朝鮮漁船の安全を間接的に確保するという点、そして北朝鮮船による瀬取りに対して見張りを立てるという点から考えると、彼らの動きが説得力を持つ。そして海自機に対する振る舞いも、「見られては困るものを見つけられた時の動き」と考えればつじつまが合うのだ。

日本側に証拠はいくらでもある

韓国軍の主張に対し、防衛省側は第2弾、第3弾と尽きぬ反論の証拠を持っているだろう。レーダー波のデータ公開がゴールラインだとしても、それまでに事案の発生した場所の正確な緯度・経度の数値、フライトレコーダーに記録された飛行データ、哨戒機の機首下に装備された赤外線前方監視装置の映像(これまで公開された手持ちのビデオカメラによる動画とは比較にならないほど高精度だ)などいくらでもある。

前回の原稿では、「韓国は、日本に対して何をしてもいいと思っている」と書いたが、今回はそれに「韓国は、日本を永遠に格下と思っている」と付け加えておこう。日本に謝罪することは彼らのプライドをズタズタに破壊するし、そんな日本から幾度となく経済援助を受けている事実も、むしろ恥をかかされたと恨みを買う材料になっている。日本に対するそうした精神的マウンティングが、本来対等の立場で行われるべき国家同士の対話をもゆがめてしまっている。

今回の件でも、日本が音を上げて諦めるまで反論を続けたいのが韓国側の本音だろうが、対する日本側は感情的にならず、努めて冷静に、粛々と誠実かつ紳士的に反証を重ねていく姿勢が必要だ。

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芦川 淳(あしかわ・じゅん)
防衛ジャーナリスト
1967年生まれ。拓殖大学卒。雑誌編集者を経て、1995年より自衛隊を専門に追う防衛ジャーナリストとして活動。旧防衛庁のPR誌セキュリタリアンの専属ライターを務めたほか、多くの軍事誌や一般誌に記事を執筆。自衛隊をテーマにしたムック本制作にも携わる。部隊訓練など現場に密着した取材スタイルを好み、北は稚内から南は石垣島まで、これまでに訪れた自衛隊施設は200カ所を突破、海外の訓練にも足を伸ばす。著書に『自衛隊と戦争 変わる日本の防衛組織』(宝島社新書)『陸上自衛隊員になる本』(講談社)など。

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(防衛ジャーナリスト 芦川 淳 写真=AP/アフロ)

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