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韓国レーダー照射問題 20年前の外交の失敗が遠因 ~日本海の波高し~その1

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■ 現実化した20年前の懸念

なぜ純粋に日本のEEZである海域で、そのような変則的な国際漁業秩序が生まれたのか。そこには安易な政治的妥協で、韓国の漁船操業と海警による主権行使を認めてしまった、日本版の「太陽政策」の失敗が隠れている。

さらに、その妥協の背景にある日韓漁業問題は、1952年1月18日に「大韓民国隣接海洋の主権に対する大統領の宣言」により一方的に設定した韓国と周辺国との間の水域区分と資源と主権の保護のために引いた海洋境界線「李承晩ライン」をめぐる争いに端を発し、今日に至るまで常に係争がある歴史的な因縁に根差している。

こうした不正常な事態を、金大中元大統領が1998年10月に国賓として来日して、「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」の構築を打ち出す前に急いで解決しようと、当時の小渕恵三政権が日本の漁業関係者に意見も求めず、勝手に暫定水域の設定で「解決」したことが、今回の事件の遠因である。

歴史的な日韓漁業問題で日本に人的・物的損害を与え続けていた韓国を信頼し、資源豊かな大和堆の45%の区域の排他的権利を事実上、半分分け与えたために、韓国が日本の排他的EEZを自国の排他的EEZのように看做すようになった。事実、韓国漁船は日本EEZ内でほぼ自由に操業して乱獲を行い、韓国海洋警察だけでなく韓国海軍までがわがもの顔で主権を行使するようになった。

画像)絶好の漁場である大和堆や新隠岐堆は、日韓暫定水域に組み込まれている。
出典) 日韓暫定水域におけるベニズワイガニ資源配分

係争中の竹島を暫定水域に組み込んだこの合意は、不平等な取引であった。韓国側が竹島について「妥協」をして(そもそも竹島は日本領なので、実は言いがかり)、日本漁船の操業を「許可」した暫定水域では、日本側が事実上締め出されている。

日本は「名」を取って実を失い、絶好の漁場である大和堆や新隠岐堆での漁業と日本EEZにおける自国船への主権行使を獲得した韓国は「実」を取った形だ。そうした日本外交の大失敗によるさらなる問題の悪化に蓋をするため、現在の安倍晋三政権は事件現場の位置を正確に国民に知らせず、「能登半島沖のEEZ内の大和堆」などと呼んで、ごまかしているのだ。

■ 問題先送りの「知恵」がもたらす危機

暫定水域設定の事後承認のような形で行われた1998年11月の国会審議では、日本海を漁場とする船団を抱える地元県の与野党の議員らから政府批判が相次いだ。

福井県の故・辻一彦元衆議院議員(民主党)は、「金大中韓国大統領が訪日されるということで、非常に慌ただしく合意をした。(中略)国内漁業者の意見を十分聞くことなしに妥結をした、交渉をやった。(中略)譲り過ぎである。(中略)もっと時間をかけてやれば暫定水域をあれだけ拡大しなくても済むのではないか、こういう感じが非常に強くする」と指摘した。

そして辻氏は、核心に斬り込んでゆく。

「竹島という、領土問題を避けるための両国の絞った知恵であったと思いますが、暫定水域を大和堆まで拡大して取り込む必要がなぜあったのか」。

これに対して交渉責任者の高村正彦外務大臣は、真実の答弁を行った。

「日本側として、これの必要性があったわけではもちろんないわけであります」。

南北朝鮮の和合という「太陽政策」を掲げ、北朝鮮の金正日朝鮮労働党中央委員会総書記に5億ドルという大金を貢ぎ、現在の北朝鮮核武装の礎を築いた金大中大統領への妥協や暫定水域という「おみやげ」はまったく必要なかった。

それは「知恵」ではなく、金大中氏とその直系の弟子である故・盧武鉉元韓国大統領や文在寅現韓国大統領に脈々と受け継がれる、北朝鮮との統一および覇権国家中国との冊封関係の復活を側面から支援し、日本に軍事的・政治的な厄災をもたし続ける「危機の種」を蒔いた決断であったのだ。

事実、暫定水域では日本が韓国漁船の漁獲量の規制を行えず乱獲が横行し、韓国ばかりでなく北朝鮮漁船までそれに加わり、それを「保護」「救助」する韓国海警や韓国海軍など南北の「半島勢力」の海賊的な活動が活発化する一方だ。

そうした文脈において、韓国軍による自衛隊への軍事的敵対行為は起こるべくして起こった。これが、20年前に金大中氏が唱えた「未来志向的な関係の発展」の帰結である。

連載2回目の次回は、暫定水域における南北「半島勢力」の活動の軍事化・政治化の実態に迫る。

(その2に続く。全3回)

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