- 2019年01月10日 14:17
韓国レーダー照射問題 20年前の外交の失敗が遠因 ~日本海の波高し~その1
1/2岩田太郎(在米ジャーナリスト)
【まとめ】
・レーダー照射を日本への中朝韓連携の揺さぶりとして考えると辻褄が合う。
・日本のEEZ内だが、治外法権状態が許された暫定水域で発生。
・これが20年前の金大中氏の「未来志向的な関係の発展」の帰結。
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韓国海軍の最新鋭駆逐艦「広開土大王」が2018年12月20日、海上自衛隊のP1哨戒機に対して敵対的な火器管制レーダーを照射したとされる問題は、互いに「自国が被害者」とする日韓の言い分が噛み合わず、紛糾している。
実務レベルでうやむやな形に落とし込んで解決する兆しも見られるが、日本側からこの事件を見た場合、この問題の全体像をつかむには大きく分けて次の3つの背景を理解する必要がある。
①事件が起こった大和堆(やまとたい)の排他的経済水域(EEZ)の地位が最終確定できない原因である竹島領有権問題と、韓国を信頼して日本EEZ内に日韓共同管理海域を設けた20年前の失敗。
②日本のEEZ内であるはずの大和堆海域における韓国海洋警察や韓国海軍の「主権実力行使」の増加による、将来的かつ継続的な日韓衝突の可能性。
③この事件や慰安婦問題、徴用工賠償命令、竹島問題など一連の韓国側の挑発で日本の世論が冷静を失って嫌韓論や断交論が高まることで、韓国が日米韓同盟を放棄する大義が立ち、中国を宗主国と仰ぐ北朝鮮主導の半島統一が達成しやすくなり、日本の目前である玄界灘に統一朝鮮との軍事境界線が迫る危険性。
これらは相互に密接に関連した事象である。以上を踏まえると、レーダー照射問題を「日本に対する中朝韓連携の揺さぶりの一環」として考えると、多くの点で辻褄が合うのだ。連載3回にわたり、背景と解決策に迫る。
■ 日本EEZに韓国海警と海軍がいたわけ
ここで、一般メディアであまり考察されない基本的事実から考えてみよう。防衛省の発表によれば、神奈川県の海上自衛隊厚木基地所属のP1哨戒機が12月20日午後3時ごろ、「石川県の能登半島沖にある我が国のEEZ内の大和堆上空」で韓国海軍の「広開土大王」から危険な火器管制レーダーの照射を受けた。
一方、韓国の国防部はレーダー照射を否定し、逆に海自機が威嚇的な飛行を行ったと主張、事件が「竹島から100キロメートルの韓日EEZ中間水域」で起こったとしている。日韓両国とも、事件現場の正確な緯度経度は発表していない。そこには、日韓のEEZが、数百キロメートル南西に位置する竹島の領有権争いのために広大な部分で重複し、現在に至るまで最終的に定まっていないという事情がある。
まず、日本政府はなぜ「能登半島沖のEEZ内の大和堆」などという、あいまいな表現を使うのか。水深が浅く、イカやズワイガニの絶好の漁場である大和堆の大部分は、韓国が竹島領有を認められたとしても基点から200海里(約370km)以遠の、純粋に争いのない日本のEEZ内にある。(ごく一部は竹島領有を根拠に韓国がEEZを一方的に設定し、日本のEEZと重複する区域内にある)。
今回の事件では、韓国政府が「事件は韓国のEEZ内で発生した」とは一言も主張しておらず、「竹島から100キロメートル」地点(その海域は大和堆には含まれず、かつ韓国の主張する韓国EEZ内であるため、故意の誤りだろう)だとしている。
このことから、事件海域が法的地位に争いのない、日本のEEZ内であったことが示唆されている。ではなぜ、日本のEEZ内でありながら現場に「救助を待つ」北朝鮮漁船と、「救助中」の韓国海警、さらには韓国の軍艦までが航海していたのか。
それは、当該海域が、①韓国漁船に操業が許可され、②韓国海警が自国漁船への主権行使行為である取り締まりを行えるという、一種の治外法権状態が許された、いわゆる「暫定(ざんてい)水域」であるからだ。
日韓両政府が、暫定海域で日本側が被る不条理や不平等性について、それぞれの事情で日韓国民に知らせたくないため、両国のメディアの報道だけでは全体像がつかめないのである。
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