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大手マスコミに代わって危険な戦地へ向かうフリーランス 安田純平さん拘束から見えるいびつな構造

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戦争の現場から伝えるため 国家のコントロールには従わない

野中章弘氏

野中章弘(アジアプレス):1953年生まれ。フリーのフォトジャーナリストとして活動を始め、インドシナ難民やアフガニスタン難民、東ティモール独立闘争など数多くの国際問題を取材。大学などでのジャーナリスト養成教育にも力を入れている。

自己責任論という批判について話したい。一つは政府の避難勧告をなぜ無視したのか、政府の方針に従うべきという話。これは、ジャーナリストの仕事を全く理解していない人にはわからない感想です。戦争地に入るときはたいがい隣の国から入るのですが、入国管理法というのは完全に無視します。2012年に安田さんが入った時もレバノンから入って、レバノンに戻れなくなって、トルコの入管に出頭して釈放された。ほとんどが、隣の国から不法出入国するわけです。入管法を守るということはありません。

法は法だという考え方もありますが、ナンセンスです。国家が隠したいことを暴いていくのが、ジャーナリストの役割です。中国とか朝鮮民主主義人民共和国とか、メディアコントロールの強い国もありますが、多くの国は強権的な独裁国家であったりするわけです。法律そのものが国民にモノを知らせない。独裁的な強権的な支配を支えるための法律があったりします。ジャーナリストはそれをかいくぐる仕事です。国家を監視するのがジャーナリストの仕事ですから、国家のコントロールに従うということはありません。

戦争は最大の不条理 社会を良くするための価値ある取材対象

二つ目は安全を確保してから取材をするべきというもの。安全な戦争取材なんてないんです。安全な戦争取材だったら誰でも行きます。世界で最高の戦場カメラマンと言われたロバート・キャパは1954年にベトナムで地雷を踏んで死にました。日本で最高の戦場カメラマンと言われた沢田教一さんは1970年にカンボジアのプノンペン郊外で殺害されました。どちらも明らかにミスがあったのです。ジャーナリストが死ぬときは必ずミスがある。しかし、戦場でのミスというのはリスクをゼロにすることはできないんです。大方は、後で「冷や汗かいた」で終わるんですが、戦場の恐ろしさはそれが死につながることがあることです。

戦争というのは我々の社会で起きているもっとも大きな不条理です。たくさんの命が失われ、我々の生活そのものを破壊する。ジャーナリストが、社会が少しでも良くなってほしいと思って取材する限り、戦争は最大の価値のある取材対象であることは間違いない。私もいろんな戦争地を取材したが、援助関係者も同じスピリットだ。17年だけで援助関係者、つまり国連関係者、国際NGOの人だけで179人が殺害されている。この人たちがリスクをかけて戦地で救援活動を行うからこそ、たくさんの人の命が救われたんです。

フリージャーナリストの支援態勢という課題が浮き彫りに

さらに、フリーは金のために戦争取材をやっているとの指摘。もちろん、まったく金にならないことに行くことはないかもしれませんが、フリーランスの名誉のために言っておきますが、僕の周りには少なくとも戦争カメラマン、戦場ジャーナリストといって気取っている人は一人もいない。みんなそこに最大の矛盾があるから行っているんです。戦場取材をしても売れないことが多いし、儲からないです。

最後にこういうことが起きた時に、我々の側に問題がなかったと言ったら、そうではない。バックアップ態勢がほとんどとれていなかった。特にフリーランスの場合、支援するような組織は日本にはほとんどないんですね。戦争の保険も、誘拐の保険もかけていないんです。そこにかけるお金があれば、取材にかけるといって。我々の側にもいくつもの課題が残った。

メディアとフリーが支え合える体制を構築したい

南彰氏

南彰(新聞労連委員長):1979年生まれ。2002年朝日新聞社に入社し、政治取材を担当。昨年9月から新聞労連委員長。政治家らの発言のファクトチェックに取り組んでいる。

政府があまり知られたくない、見せたくないという状況がある中で、ジャーナリストが「これは知るべきで、国民に知ってもらったほうがいい」と行動して、危害を受けたり、安田さんの場合は拘束されて命のリスクにおかれた。そういう時にしっかりネットワークとして支えていこうというのが新聞労連の取り組みです。

メディアの人間として、大手メディア、組織ジャーナリズムのほうが、戦場取材など厳しい取材を自分たちがやらないことによって、フリーの方に支えられて甘えている構造がある。そこの部分を含めて、どう支え合うかの部分をもう一度構築しないとならないと考えている。

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