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郵政民営化の大幅後退が決まる:有権者との約束はどうなるのか?

これほどがっかりしたことは久しぶりだ。

 今日夕方に開催された自民党郵政事業に関するプロジェクトチームで、郵貯、簡保2社の株式を日本郵政が保有し続けることが可能になる法律案が承認されてしまった。

 会議には多数の議員が出席。私も「平場の議論は2回しか行われていない。ユニバーサルサービスの在り方や郵政事業の経営形態の在り方について、十分な議論の時間を持つべきだ」と主張させてもらったが、残念なことに、過半数の議員が民営化路線見直しに賛同しており、法律案は了承されてしまった。

 私は、現時点で郵政民営化の中身について見直す必要は全くないと考えている。

 見直し派の議員は、民営化で過疎地のサービスが不便になった、などと主張しているが、過疎地を多数抱える私の選挙区で、深刻な不便さを有権者から訴えられたことはほとんどない。全国的にみても郵便局や郵便ポストの数は民営化後逆に増えているし、閉鎖になった簡易郵便局も跡継ぎが居なくて閉鎖になったり、窓口委託していた農協等が撤退したことが原因で、民営化と直接の関係はない。

 電子メール等の普及に押されて縮小していく郵便事業の赤字を国債運用を中心とする郵貯、簡保の利益で補填していく構造は持続不可能である。郵貯、簡保の国債中心の運用もいつまでも利益が出続けるわけではない。国債金利が少しでも上昇したら、一気に崩壊してしまう。

 2005年に国民的大議論を経て決定された郵政民営化の本質は、郵便事業と郵貯、簡保をそれぞれ独立させ、民間経営によって抜本的に改革し自立させていくという点である。2005年7月の参議院郵政民営化特別委員会での私の質問に対し、当時の郵政公社生田総裁が「このままでは近い将来郵政事業は立ちゆかなくなる。民営化による抜本改革が必要だ」と答弁したことが強く印象に残っている。今の見直し路線でいけば、結局郵便事業の金融2事業への依存体質は変わらず、3事業が共倒れになる可能性が高く、その際は税金による救済ということになるであろう。

 多くの議員の賛成で郵政民営化が見直されようとしている。しかし国民は2005年に自民党が郵政民営化を約束して選挙を行って大勝したことを忘れてはいない。今日の会議の中で「国民は民営化の中身なんて分かっていない。金融2社への持株が残ったって国民には分からない」という趣旨の発言をした議員がいたが、これはあまりにも国民を愚弄した発言だ。

 国民のことを甘く見て、選挙の公約を守らず、目の前の政局や選挙事情を優先して民営化路線を見直せば、自民党は手痛いしっぺ返しを食うことになるであろう。

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