- 2019年01月09日 12:02
不安(不穏)な年明け - 鈴木耕
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明けましておめでとう…と言いたいところだけれど、ぼくにとっては3年続きの「喪中欠礼」。新年を迎えても、めでたいようなめでたくないような…。
まあ、一茶風に〈めでたさも 中くらいなり おらが春〉といったところか。
ところで2019年、いったいどんな年になるのだろう? 個人的には、なんだか大荒れの年になりそうな予感がしている。だって、新年早々、ろくなことがないのだから。
元旦未明の暴走車
東京の大繁華街、新年を祝う若者たちでごった返す原宿竹下通りに暴走車が突っ込み、8人が重軽傷。いったい何が起こったか。
若い容疑者(21歳)は「オウム事件の大量死刑に反感」「死刑制度に反対」などと供述しているとのことだから、組織的ではないにしろ、ある意味では政治目的を持ったテロとの疑いもある。
だがその後の報道を見ていると、政府も警察当局も、そしてマスメディアさえも、なぜか「テロ」という言葉をほとんど使っていない。
今年はラグビーW杯が日本で開催される。来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックの大規模な演習という意味合いもある。大勢の観客などが集まるソフト・ターゲットとしては、テロリストにとってかっこうの舞台と言えるだろう。しかも、今回の暴走車はレンタカーだった。あの大勢の死傷者を出した秋葉原事件(2008年)と同じだ。
アメリカのような銃社会ではない日本でも、レンタカーを借りさえすれば、大勢の人を巻き込む惨事が簡単に起こせるということだ。だからこの原宿での事件は、オリンピックを控えた政府や警備当局にとってはショックだったに違いない。
警察はよく「テロ容疑者逮捕の訓練」をマスメディアに公開するけれど、それはほとんどナイフを持った不審な男を、警官隊がサスマタなどの器具を使って取り押さえる、といったもの。今回のように、人混みに車で突っ込む、などということはそれこそ想定外だ。いや、防ぎようがない、というのが本音だろう。
オリンピック成功を引退の花道にしたい安倍首相にしてみれば、原宿事件がテロだなどとは、国際的には絶対に認めたくない。そのためには「テロ」という言葉を使わない…。
これも“安倍忖度”のひとつなのかもしれない。いまや治安の良さくらいしか日本が世界にアピールできることはないのだから。
熊本で震度6弱の地震
不穏な出来事は続く。新年3日、またも大きな地震。
幸運なことに、あまり深刻な被害は出なかったようで、なんとか胸をなでおろしたが、それでも、この国が災害列島であることを思い起こさせるには十分だった。テレビでは、すぐに「この地震による玄海原発と伊方原発への影響はなく、現在も支障なく運転を続けています」などと報じた。
昨年は、ほんとうに災害の多い年だった。地震、台風、大雨や暴風の被害、火山活動の活発化…。
ことに、北海道の大地震では、なんと「全道ブラックアウト」で数日間の大停電。巨大発電所への一極集中が完全に裏目に出た。
「だから、泊原発を再稼働しておけばよかったんだ」などと知ったかぶりの連中もいたけれど、もし泊原発が稼働中で、そこに電力需要が集中していたら同じことが起きたはずだ。また稼動中の泊原発の近辺であの大地震が起きていたら、原発過酷事故(福島の二の舞)につながりかねなかった。そんな当たり前のことも考えられないほどの想像力の決定的な不足。
原発というものの危険性を報道機関だって知っているからこそ、少し大きな地震があれば必ず「〇〇原発への影響はなく、付近のモニタリングポストでも放射性物質の検出は観測されておりません」などと言い訳がましいコメントを付け加えるのだ。
今年も我々は、地震や暴風雨のたびに、原発の心配をしなければならないという不安から解放されることはない。
いったい、こんな国が世界にあるだろうか…?



