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韓国「駆逐艦」に「北朝鮮英雄名」の「皮肉」 - 関裕二

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防衛省が公開した韓国海軍「クァンゲト・デワン」級駆逐艦の映像(防衛省HPより)

 平成30(2018)年12月20日、能登半島沖のEEZ(排他的経済水域)で、韓国海軍の駆逐艦から海上自衛隊のP-1哨戒機に向けて、火器管制レーダーが照射され、両国の間で非難の応酬が続いている(12月31日現在)。

 韓国側は、遭難した北朝鮮の漁船をレーダーで探索していたと主張しているが、何やら怪しい。少なくとも今回の事案で、海上自衛隊の哨戒機側に、非はなさそうだ。韓国側の二転三転する苦し紛れの言い訳が、今後どうなっていくか、楽しみではある(意地の悪い見方だが)。

北朝鮮の英雄という不可解

 それよりも、古代史の視点で驚かされたのは、駆逐艦の名前だ。それが「クァンゲトデワン(広開土大王=こうかいどだいおう=)」で、クァンゲト・デワン(広開土大王)級駆逐艦(KDX-1)の一番艦だ。

 クァンゲト・デワン級の駆逐艦は3隻建造されていて、今から約20年前に、就役している。

 二番艦の船名は乙支文徳(ウルチムンドク、いつしぶんとく)、三番艦は楊万春(ヤン・マンチュン、ようばんしゅん)で、これら3隻の駆逐艦は、古代高句麗の王や将軍たちの名にちなむ。

 高句麗は紀元前1世紀~7世紀にかけて朝鮮半島北部に存在したが、それは、現在の北朝鮮の領域だから、どうにも不可解だ。なぜ韓国軍の軍艦に、北朝鮮の英雄の名があてがわれているのだろう。しかもクァンゲトデワン(広開土大王)は、倭国(古代の日本)の軍勢と戦い、朝鮮半島南部まで押し寄せてきた人物だ。

 そこで、高句麗の3人の英雄の業績を追ってみよう。

 高句麗は騎馬民族(扶余族)の国だ。戦後すぐ江上波夫が騎馬民族日本征服説を唱えたが、まさにそこで推定された征服者が、高句麗の騎馬民族だった。

 彼らは中国歴代王朝ともしばしば対立したものだ。中国の王朝にとって、北東アジアの騎馬民族や遊牧民は、手強い相手だった。たとえば隋王朝(581~618)は高句麗遠征にしくじり、短命で終わっている。

 騎馬民族が中国王朝にとって脅威になった明確な理由がある。金属文明が早く起こった中国では、あっという間に樹木を燃料に使い果たしてしまい、これが、防衛上大問題となった。

 樹木に隠れるゲリラ戦も展開できず、比較的起伏に乏しい土地だったことから、ひとたび騎馬軍団に攻め寄せられると、実に脆弱だった。だから、万里の長城を築いたが、焼け石に水で、しばしば北方から侵略を受けた。

 3世紀後半に晋(しん)は中国を統一したが(その直前が、魏、呉、蜀の『三国志』の時代)、4世紀に一気に衰退する。すると、遊牧民が万里の長城を越えて侵入し、五胡十六国時代が到来した。晋は316年に滅び、晋が半島支配の拠点にしていた楽浪郡と帯方郡を高句麗が奪った。ただし、半島の付け根には、鮮卑族(騎馬民族)の建てた国・前燕(ぜんえん)が進出して高句麗を圧迫し、戦いになった。結果、高句麗は敗れ、前燕に臣従する。これが、西暦342年のことだ。

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