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「安倍1強」に終止符を打つ方法はあるか

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前代未聞の国会運営に、衆院議長も異例の談話

今年こそ、「安倍1強」に終止符を打とうではないか――。元日の朝、東京・代々木の明治神宮を参拝して祈願した内容である。

昨年の政治はひどかった。年末の臨時国会では安倍晋三首相と与党自民党が短い審議時間で強引に外国人労働者を拡大する改正入管法を成立させた。野党だけではなく、マスコミの大半もこの改正案に強く反対していた。にもかかわらず安倍首相は迷うことなく、数の力で押し切った。反対する声に全く耳を傾けず、議論を尽くそうとはしなかった。前代未聞の国会運営である。

2019年1月4日、年頭の記者会見をする安倍晋三首相。(撮影=時事通信)

昨年7月には、大島理森(ただもり)衆院議長が「民主主義の根幹を揺るがす問題だ。国民の負託に十分に応える立法・行政監視活動を行ってきただろうか」との談話を発表した。

森友学園問題で財務省が決裁文書の改竄という大きな“罪”を犯した。大島氏は政府に猛省を促すとともに、国会の与野党議員にも自覚させようと試みたのである。確か通常国会の終了後のことだった。この大島談話も異例だった。

「安倍1強」が国会の空洞化を生んでいる

森友問題が発覚したのは一昨年2月。一年後の昨年3月には、安倍首相と昭恵夫人の名前の記された部分などが削除された文書に対し、財務省が改竄を認めた。

驚くのはその1年もの間、国会が改竄文書をもとに審議を行っていたことである。改竄を認めた後も、財務省トップの麻生太郎氏が責任を取ることなく財務相の地位に甘んじていた。安倍首相に至っては「私と妻は関わっていない」と主張し続けた。

財務省が改竄を調査してその結果を報告した。国会でその報告について野党が追及した。だが、結局のところ改竄の理由や森友学園側に渡った土地の値引きがどうして行われたのかという疑問は残ったままである。

「もり・かけ疑惑」と揶揄され、森友学園問題と並んで追及されてきた加計学園問題。これも疑惑にまみれたままなのに、いくつもの疑問が解明されていない。

政府も国会も、国民を愚弄している。大島氏が怒るのも無理はない。前代未聞の異例な事態、そして驚愕すべき状況。これらはすべて安倍政権の負の落とし子であり、政権の「安倍1強」が国会の空洞化を生んでいる。

国防の強化しか念頭にないのではないか

本来、立法・行政・司法が相互に抑制し合うことで国家権力のバランスが保たれなければならない。それが三権分立だ。三権分立によって国民の権利と自由が保障される。

だが、首相官邸に権力が集中する「安倍1強」体制が続き、自民・公明の数の論理で国会が軽視されてきた。安倍首相は憲法に「国会が国権の最高機関」と明記されていることをご存じないのだろうか。国防の強化しか念頭にないのではないか。これで憲法改正だというのだから開いた口がふさがらない。

昨年9月の自民党総裁選で安倍首相は3選を果たした。だからといって私たち国民が「安倍1強」を認めたわけではない。政治は安倍首相のためにあるのでない。政治は国民のために存在する。国民が少しでも暮らしやすい世の中を築くのが、政治家の仕事だ。

「安倍1強」に終止符を打つには、野党の力では無理だ。野党にその力がないからだ。安倍首相が国民のことを思うのなら、安倍首相自身が「1強」の驕りを自覚し、謙虚になる必要がある。それには新聞をはじめ、メデイアが安倍首相や安倍政権を正しく批判し、世論を動かすことである。

私たち国民も「安倍1強」のもたらす弊害を認識してきちんと意見を述べるべきだ。いまはだれもがフェイスブックやツイッターで発信ができる。SNSを使わない手はない。お正月の料理を映像にしたり、愚痴を掲載したりするだけがSNS活用ではない。

「官邸の下請け機関化、翼賛化、空洞化」

さてこんなことを思いながら新聞各紙の2019年元日付社説に目を通した。元日の新聞にはその新聞のカラーがにじみ出る。とくにスタンスを明確にして論じる社説がおもしろくなる。

朝日社説は「政治改革30年の先に」「権力のありかを問い直す」との見出しを掲げ、中盤で「弱い国会を強くせよ」(小見出し)と主張している。

「官邸の下請け機関化、翼賛化、空洞化――。昨今の国会の惨状を形容する言葉の数々だ」

「ここに、政治改革を通じた権力集中の負の側面が如実にあらわれている」

こう指摘したうえで主張する。

「どの機関にどんな権力、権限を配分するのが適正か。改革の手直しを試みる際、最も大切な視点である」

「国会を強くする必要がある」

安倍政権を嫌う朝日社説だけに国会の空洞化を問題にして健全な国会運営を訴えている。沙鴎一歩の主張と似ている。

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