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日本の商業捕鯨再開を反捕鯨国と捕鯨国はどう見たか 日本は「文化論争」ではなく「科学論争」を怠るな

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写真AC

日本が被る商業捕鯨再開の大きな代償

[ロンドン発]日本は国際捕鯨委員会(IWC)から脱退し、今年7月から領海と排他的経済水域(EEZ)内で31年ぶりに商業捕鯨を再開する。しかし、その代償は大きい。日本は調査捕鯨という既得権ばかりか、将来、南極海で商業捕鯨を再開する可能性まで自ら放棄し、国際機関からの脱退で欧米諸国の厳しい批判を招いた。

菅義偉官房長官は「わが国は古来、捕鯨に携わることによってそれぞれの地域が支えられ、鯨を利用する文化や生活を築いてきた」「科学的根拠に基づき水産資源を持続的に利用する考え方が各国に共有され、次世代に継承されていくことを期待する」と商業捕鯨再開の抱負を語った。

IWCの枠組みの中で行われてきた調査捕鯨で日本は2018年度、北西太平洋でミンククジラ170頭、イワシクジラ134頭を捕獲した。南極海ではクロミンククジラ333頭を捕獲する計画だ。調査捕鯨で捕獲されたクジラの肉は日本国内での消費に向けられてきた。


鯨肉は戦後の食糧不足を補う貴重なタンパク源で、クジラのベーコンや竜田揚げが学校給食の定番だった。現在では国内で消費される肉類620万3000トン(2016年時点)の主流は豚肉、鶏肉、牛肉で、鯨肉はわずか3000トンに過ぎない。鯨肉は今や高級料理で、1人当たりの消費量はなきに等しい。

クジラの乱獲により資源量が激減したことから、1982年にIWCは商業捕鯨モラトリアム(一時停止)を採択し、日本は1988年から商業捕鯨を中断した。その代り1987年から商業捕鯨の再開に向け科学的データを収集するためとして、IWCの枠組み内で北西太平洋や南極海で調査捕鯨を続けてきた。

しかし、その調査捕鯨も過激な行動で知られる反捕鯨団体シー・シェパードの執拗な嫌がらせを受け、オーストラリアが「日本の調査捕鯨は非合法」と国際司法裁判所に提訴する事態に追い込まれた。調査捕鯨という外堀が埋められつつある中、捕鯨の拠点となってきた和歌山県太地町や北海道釧路市では商業捕鯨の再開を求める声が強まっていた。

反捕鯨強硬派の米国やオーストラリアは日本へ牛肉を輸出

反捕鯨国の英国や米国、そしてIWCに留まりながら商業捕鯨を続ける捕鯨国のノルウェーやアイスランドは日本の決断をどう受け止めたのか。

反捕鯨国が捕鯨に反対する理由は、2018年9月ブラジル・フロリアノポリスで開かれたIWC総会で議長を務めた森下丈二・東京海洋大学教授によると、次のように分類される。

1クジラは絶滅に瀕している(科学)
2クジラは特別な動物だ(感情・価値観)
3商業捕鯨は禁止されている(法律)
4捕鯨は倫理・道徳に反する(倫理)
5世界の世論は反捕鯨(政治)
6捕鯨は必要ない(経済)
7捕鯨は日本の文化ではない(文化)

日本の捕鯨に強硬に反対しているオーストラリア、米国、ニュージーランドは日本に牛肉を輸出している国だということにも留意が必要だ。

反捕鯨国の英国はマイケル・ゴーブ環境相が「英国は商業捕鯨に強く反対する。壮大なほ乳類を保護するための戦いを継続する」と日本の商業捕鯨再開の方針を批判した。南極海の調査捕鯨を妨害するシー・シェパードに喝采を送ったことがある最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首も即座に決定を撤回するよう求めた。

一番、手厳しいコラムを掲載したのは日経新聞に買収された英紙フィナンシャル・タイムズだ。フィリップ・スティーブンズ論説委員長は大型コラムでこう指摘した。

「安倍晋三首相は間違ったターゲットにモリを放った。彼が求めるのはアラカルト(良いとこ取り)の多国間主義だ」「モリは今年G20(20カ国・地域)の議長国を務める安倍首相の信頼を損なった」

欧州連合(EU)離脱交渉でEUから「単一市場や関税同盟の良いとこ取りはできない」と批判され続けてきた英国が、日本のIWC脱退を機にそのフラストレーションを晴らした格好だ。

「合意なき離脱もやむなし」と息巻いてきた強硬離脱派ボリス・ジョンソン前外相は英紙デーリー・テレグラフで「どうして日本の野蛮人のような捕鯨という習慣に怒りを爆発させないのか?」というコラムを寄稿した。

イスラムの衣装ブルカを「銀行強盗の覆面」にたとえ、目の部分だけ四角く空いたブルカを着た女性を「レターボックス」に見えると自分が発言した時には11日間も批判し続けた英BBC放送ラジオ4の早朝番組「トゥデイ」がこの問題をほとんど取り上げないことに不満を唱えた。

ジョンソン前外相は日本を批判する前に、「合意なき離脱」が英国に進出している日系企業だけでなく、世界経済に与える影響を少しは考えた方が良い。

米紙ニューヨーク・タイムズ紙も社説で「日本はクジラの屠殺はやめよ」と訴えた。「日本は多くの点で模範的なグローバル市民だ。ただ多くの国が残虐かつ不必要で、偉大な海のほ乳類の生存を危険にさらすとして廃止した産業の捕鯨に関しては長きにわたって例外であり続けている」

そしてドナルド・トランプ大統領が国際的な地球温暖化対策の新しい枠組みである「パリ協定」や環太平洋経済連携協定(TPP)、イラン核合意、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国連人権理事会、米ソ冷戦終結の象徴だった中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱したことについて、「こうした振る舞いは日本が張り合うべき模範ではない」と釘を刺した。

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