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辞める“元気”がない人の代わりに動く「退職代行サービス」

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未だ輝く「黒歴史」と日本の根深い「風習」


この代行サービスはまさに「間に入るサービス」であり、本人にも会社にも関係ない他人が対応するというのがさらに良い。

私も新卒で入った会社が若干ブラック気味でメンをヘラッてしまい、会社を辞めることにはしたのだが、それを自分で会社に伝えることができなかった。

そこでどうしたかというと禁じ手「お母さん」である。さすがにお母さんだけを行かせたわけではなく、「お母さんと診断書と私」という鉄壁の布陣で上司に辞意を伝えたのだ。

しかし、私の3億個ある黒歴史の中でも、この「お母さん同伴退職劇」は未だ輝きを失っていない。二十歳の時のこととはいえ、今でも思い出して顔真っ赤になる。あの時にこの退職代行サービスがあれば、もう少し傷が浅かったはずだし、お母さんにもあんなキツイ仕事をさせずに済んだ。

本人だって、自分で辞意を伝えられず、他人にやってもらうというのは少なからず恥ずかしいと思っているものだ。それを赤の他人に相応の対価を払ってやってもらえるとなれば、少なくとも身内を立てるよりずっと気が楽であり、次へも進みやすい。

このように、とにかく会社の人間と顔を合わせることなく一瞬で会社を辞めたい時、この退職代行サービスは実に有用である。しかし、「辞めるだけでは済まない」時には注意が必要だ。

退職代行サービスはあくまで間に入って退職手続きをするだけなので、弁護士のように「退職交渉」はできない。つまり、サビ残の補填など給料に関する要求や、退職理由を「会社都合」にしてくれといった交渉はサービスの範囲外になる。

というのも、退職代行サービス業者の中には、それらの交渉をして良い資格を持っていないところもあり、対応すると違法になってしまうのだ。現時点でも、この退職代行サービスはグレーだという指摘もある。

追いつめられている時は、とにかく会社を辞められればそれで良いと考えがちだ。だが、それだと自分が不利な形で辞めさせられ、受けられるはずの権利を失うかもしれない。そのため、はっきり白黒つけたいことがある、場合によっては訴訟も辞さないという場合は、弁護士などしかるべき資格を持った者を間に入れる必要がある。

もちろん退職代行サービスより費用も時間もかかるので、ギリギリどころか地球のみんなが死ぬぐらいの元気を集めないと、なかなかそこまで踏み切れないとは思う。とはいえ、職を失った上に泣き寝入りも良くないだろう。

しかし、日本には「退職=会社や周りに迷惑をかけること」と思わせる風潮がある。普通の退職でさえ、「そういえば全然使ってない有給はどうなったんだろう」と思ってはいても、辞める身ではそこまで言い出せず、「夜空に消えたんだな」と飲み込んで、そのまま退職してしまうケースも少なくない。

だいぶ変わってきたとはいえ、日本人には「自分の権利主張するのヘタクソか」という面がある。ただ、もちろんヘタクソにしたのは、権利を主張しにくい環境を作った社会だ。真面目な人ほど辞める時もキレイに辞めたいと思いがちだが、そうしている内に取り返しがつかないほど病んでしまうこともある。

大体、キレイな退職などない。結婚や出産などの慶事で辞めた人間でさえ、「この忙しい時に」と1回は陰口を言われているものである。しかし、もう辞めているんだから、その陰口が本人の耳に入ることはない。つまり、辞めたあと自分が何を言われるかなど考えなくていいのだ。

誰もが、辞表を社長の眉間めがけて矢文で飛ばせる人間というわけではない。いざという時、第三者に頼るのを恥とは思わず、この「退職代行サービス」のことを胸に置いておくといいだろう。

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