- 2019年01月07日 13:48
辞める“元気”がない人の代わりに動く「退職代行サービス」
1/2去年、本人に代わって会社退職手続きをしてくれる「退職代行サービス」が話題になった。
このサービスのメリットは、「人生で勇気のいることベスト3」に入るであろう、憂鬱で仕方がない「会社への辞意の連絡」を代わりにやってくれるところにある。その後の退職手続きもすべて間に入ってくれるため、「会社と直接関わらなくて済む」という。
会社で辛い状況にある人間にとって、これは福音とも言えるサービスである。「いざとなったらここに依頼しよう」と思うだけで、かなり気が楽になるのではないだろうか。
このように「良いサービスだ」と評価する声もあるが、「退職手続きぐらい自分でしろ」「非常識」という批判の声もある。しかし、「なぜ自分で言えないのか」と言うのは、性犯罪の被害者に「抵抗すれば防げたはずだ、お前が悪い」と言っているようなものなのだ。
大体、上司などに直接「辞めます」と言うには、元気玉級の元気がいる。それもみんなの元気をちょっとずつ集めたやつではない。みんなからギリギリまで搾り取り、魔人ブウを倒したやつに相当する。
そんな元気、ブラック企業で疲弊している人間にあるはずがない。ましてパワハラやセクハラの被害者は恐怖で支配されている可能性が高いので、もはや面と向かって相手と話すことさえ難しいだろう。
そういう人間に対して「辞表くらい自分で出せばいいのに」などと言うと、本人は「直接言えない自分が悪いのだ」とさらに自分を責めてしまい、ある日、本人の代わりに病院の診断書が出勤してくるか、最悪の場合「退職日と命日の日付が同じ」という事態になりかねない。
疲れ果てている人に「自分で何とかしろ」と言っても、そんなガッツが残っているはずがない。こういう問題は、とにかく間に誰か入ることが重要なのだ。
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