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米国の目を通して見える世界、見えない世界

The Puddingは、New York Timesの741,682本の見出しを分析し、1900年から2018年にかけて毎月最も言及されている国を抽出し、The World through the Eyes of the USにおいて可視化した。20世紀以降、米国が世界をどのように見ていたかがよく分かる可視化になっており、大変興味深い。

縦軸が年、横軸が月になっていて、その月に最も言及された国の国旗が表示されている。ただ、惜しむらくは国旗は一覧時の判読性が低く、全体を俯瞰するのも難しい。そこでTableauで作り直したのが次のVizである。ただし、複数国が挙げられている月については、Viz作成の都合上、1国のみの表示となっている。
右部にある凡例をクリックするとその国だけハイライトされるので、その国がいつ米国に注目されていたかを簡単に知ることができる。凡例は登場数の降順に並んでおり、上位国については別色を割り当てている。参考までに日本語版Wikipedia(たとえば1900年 - Wikipedia)より各年月の出来事を引用し、マウスポイント時に表示するようにしてある。あくまで参考なので、米国が最も注目していた国に関する記述があるとは限らない。知りたい場合には、元記事を参照いただきたい。

それでは主要国について見ていくことにしよう。

ロシア


20世紀の米国にとって最も気になる相手はソ連そしてロシアであった。20世紀初頭、日露戦争で注目を集めた以降、第二次大戦後まではロシアに関する優先度は下がる。しかし、第二次大戦後の冷戦時において、米国な主な関心は常にソ連にあったと言える。1991年12月にソ連が崩壊した後は関心度が低下するものの、ユーゴスラビア紛争(1991-1999)、クリミア侵攻(2014)などに注目が集まっている。

イギリス


20世紀前半の平時に米国の関心を集めたのはイギリスであった。第一次大戦、第二次大戦中は枢軸国に関心が奪われるが、その期間以外は米国の関心は依然宗主国にあった。軍事や外交におけるパートナーとして、激動の時代を進むのにイギリスは無視できない存在であったのだろう。しかし、第二次大戦後は米国にとってイギリスは第一優先では無くなる。イギリスの国力の低下に呼応するように関心は薄れ、フォークランド紛争時や911前後、EU離脱国民投票などが散発的に関心を集めた程度である。

ドイツ


第一次世界大戦中(1914-1918)はドイツ一色である。第二次大戦時(1939-1945)にもドイツへの関心は見られるが、第一次世界大戦ほどの集中は見られない。それ以降ドイツが登場することは稀であり、1989年のベルリンの壁崩壊時ぐらいである。経済力の大きさに比較してドイツへの関心が低い印象は否めないが、EUの中に埋没しているのだろうか。

イスラエル


第二次大戦後、米国にとっての悩みのタネの一つがイスラエルであったことは確かだ。複数次に渡る中東戦争を始めとして、断続的に周辺国と武力衝突を起こしており、そのたびに米国は振り回される構図だ。21世紀においてもそれは変わっておらず、今後共繰り返されるのだろう。

ベトナム


1965年にベトナム戦争に参戦してから1973年に撤退するまで、米国の関心は常にベトナムにあった。泥沼化する戦況が米国民の興味を掴んで離さなかったと言える。ベトナム戦争時以外にはベトナムが登場することはない。

イラク


1990年のイラクのクウェート侵攻、翌91年の湾岸戦争はイラクに関心が集まった。連合国の圧勝に終わった湾岸戦争への関心は急速に薄れるが、2000年台に入り、泥沼化するイラク戦争が常に関心を集めることになる。ベトナム戦争と同じ構図と言える。

北朝鮮


北朝鮮の登場回数はわずかに一回、北朝鮮が6度目の核実験を行った2017年9月である。米国本土に到達する能力があるかもしれない核兵器よりも、他に優先すべきことは数多くあるのだ。

日本


そして日本だが、意外なことに高度経済成長期において登場は皆無である。米国の関心を集めたのはバブル崩壊後の失われた10年であり、1995年の地下鉄サリン事件、2011年の東日本大震災などの災害時が目立つ(阪神淡路大震災が発生した1995年1月はロシア)。2002年は地球シミュレータが米国製のコンピュータを抜いてトップとなるなど、日本への関心が高かった年であった。今後は国力の低下に伴い、米国の関心を集めることも少なくなっていくだろう。

中国


今や米国の関心を掴んで離さないのは中国である。20世紀においては天安門事件(1989)などが散発的に関心を集めるに過ぎなかったが、特に2010年台以降は中国の独壇場と言って良い。21世紀において米国に比肩しうる超大国となった中国は否応なく米国の関心を集め続けることになるだろう。

まとめ

米国の関心は世界中に分散している。仮に同じ調査を日本の新聞でやるとほとんどが米国で占められてしまうだろう。ただし、分散はしていても決して公平ではない。米国にとっての利害、影響の大きさによって優先度は決まる。その国の人にとってどれだけ重要なことでも、米国にとっても同じとは限らない。

これから国力を落としていく日本は、今後どれだけ米国の関心を繋ぎ留めることができるだろうか。

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