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「科学立国の危機ー失速する日本の研究力」ウラ話の1

ほんとうに久しぶりのブログ更新です。ブログの書き方も少々忘れてしまいました。

平成31年のお正月、三重県亀山市は平穏でした。僕はと言えば、とってもしんどい思いをしましたが、ようやく「科学立国の危機ー失速する日本の研究力」の最終校正を東洋経済新報社に送りました。すでにアマゾンや楽天ブックスで予約販売が受け付けられているようです。

 平成27年(2015年)5月に、国立大学協会のウェブサイトに「運営費交付金削減による国立大学への 影響・評価に関する研究 ~国際学術論文データベースによる 論文数分析を中心として~」という報告書を掲載しましたが、本書はその発展版です。

実は東洋経済新報社から単行本執筆の依頼が来た時に、学長の仕事が忙しいこと、そしてそれまでに単行本執筆で3回も挫折していることがあり、申し出をお断りをしようとしたのですが、それならライターさんに書いてもらうから、ということになり、結局承諾することになりました。
1回ほどインタビューがあって、しばらくすると、インタビューとそれまで僕が書いたブログを基にして書かれた原稿が送られてきました。それを校正して送り返せば、単行本が出来上がるはずだったのですが、校正を始めてみると、ところどころに、ライターさんのするどい書き込みがあるのです。
たとえば、上記の僕の報告書の中に論文数とGDPとが相関するというデータがあるのですが、「果たして論文数が原因でGDPが結果と言えるのか?」とか、「イノベーション実現割合は、いったい何社くらいのデータに基づいているのか?」等々。

このライターさんの書き込みに答えるためには、一つ一つデータ分析を根本的にやり直さなければなりませんでした。そして、それを繰り返していくうちに、膨大なデータ量となって、ページ数も当初の予定の200ページよりも大幅に増えて400ページとなり、そして、ライターさんの元の文章は、ほとんどなくなってしまうことになりました。

この間、学長としての仕事に手を抜くことはできませんので、とにかくちょっとした時間を惜しんでパソコンの前に向かい、睡眠時間を削り、ブログやSNSもやめ、余暇も縮小し、家族とのコミュニケーションも減らし、周りに多大の迷惑をおかけすることになりました。そして、やっと発刊にこぎつけることができたのですが、文献のサーベイも不十分であり、やや荒削りの本になってしまったことは否めません。本書では、かなり思い切った主張をたくさんしていますが、これらの主張について、ぜひとも多くの方々による検証をお願いしたいと思っています。

どんな思い切った主張をしたのか、このブログでも追々ご紹介したいと思います。

今日のところは、日本の公的な研究従事者数や公的研究資金が、人口当りで計算すると、先進国(韓国やドイツなど)に1.5~2倍以上の差をつけられているということをあげておきましょう。これは、12月13日に放映された、テレ朝の羽鳥慎一モーニングショーで、僕がデータをお示ししましたね。ところが、日本政府は、先進国に比較して「遜色ない」と判断しているのです。この最も基本的なデータの認識がまるで違うことが大きな問題です。

日本の学術論文数は低迷しているのですが、「遜色ない」という判断の場合は、生産性の低下が原因ということになり、研究従事者数や研究資金は増やす必要はなく、大学に対してもっと厳しく評価をして交付金に差をつけ、鞭を打つかのようにして、生産性を上げるべきである、という政策になってしまいます。僕の主張はもちろん、研究従事者と研究資金を1.5~2倍に増やさないことには、先進諸国に追いつけない、ということです。

最近、エビデンスに基づいた政策立案(EBPM)の重要性が強調されるようになっていますが、データを見る時には細心の注意が必要です。政策決定者が、こうしたい、ということが先にあって、それに都合の良いデータを探し出して提示していると思わざるをえない事例にしばしば遭遇します。政府文書にデータが出てきた場合は、その出典元の文献を自分の目で確認することが大切です。それだけで、提示されたデータが不適切であることにずいぶんと気づかされます。

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