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ユニクロの就職事情、その問題点

・「今までの日本は高校野球。今後はメジャーリーグで活躍する人が必要。」(ユニクロ柳井会長)
・ユニクロの学生の就職ランキングは下降している。中途退職率も高いという。(日経MJ3/23)

企業が優秀な人材を求める傾向が強くなっている背景には、市場のグローバル化がある、と言われる。

雇用する側にとっては、国内市場が縮小していく状況で、海外で活躍できる人材が欲しい、ということで、順位をつけると、A海外市場仕様の人材>B国内市場仕様の人材、となる。
タイプAは希少なので、当然人材の奪い合いになる。

人事部的にはタイプAを大量に採用できれば労働市場の勝者、ということになるが、これにはウソがある。

ウソ(1) 日本市場と海外市場で求められる労働の質(言語、サービスの内容)が異なる。

日本市場で活躍できたから海外市場で活躍できるわけではないのと同様、海外市場で活躍できたから日本市場で活躍できるとは限らない。

日本市場仕様の能力と海外市場仕様の能力に質的な違いがあるとすれば、ユニクロがメジャーリーガーばかり集めるのはリスクが高い選択といえる。

なぜなら、日本仕様の能力レベルの高い人材の中には、メジャーリーグ入りを心理的に回避しようとする傾向が生じるからで、これがユニクロの就職ランクの低さに関係しているとみられる。

ウソ(2) 日本市場はあらゆる分野で縮小しているわけではない。

人口構造の変化から日本国内市場の購買力のボリュームゾーンは、若年層から老年層へと移行しつつある。老年層は貧富の格差が大きいので、ターゲットを絞れば市場をつくることができる。

ユニクロが国内市場を捨て、ほとんどの収益を海外市場で稼ぐつもりなら、少数のメジャーリーガーの獲得に集中するのは理にかなっているが、国内市場を安定基盤に新しい市場の可能性を追求する計画があるのなら、多数派の国内市場仕様から優秀な人材をリクルートする環境も整える必要がある。

(ユニクロは地域限定の準社員という枠をつくっているが、賃金やキャリアといった条件面に問題があるため、優秀な国内仕様人材を集めるのは難しい。)


(1)、(2)の条件があからさまに表れているのが医療・介護の分野で、

具体的な例では、拡大する市場=老人の介護問題に従事する看護師不足の問題が挙げられる。

これは日本だけではなく先進国共通の問題である。

先進国各国は(フランスとアメリカを除き)日本と同じような人口構造になっているので、世界市場では圧倒的に看護師が不足しており、この職種のダイナミックな人口移動が起こっている。

中南米→北米、南アフリカ→英国、フィリピン→中東といったろころが太い流れだが、日本の場合は、言語、サービスの質や規制の問題から看護師の移動はほとんど起こっていない。

大手病院チェーンでは中国などから優秀な学生を独自にリクルートしてきて、日本の看護師試験を受けさせているところもあるが、ボリュームは厚くない。

特に条件が特殊な日本の場合、多数派の国内市場仕様求職者の要求にこたえる市場を拡大していくことが、雇用側、被雇用側双方の利益につながるが、そのための方法は二つしかない。

1.老人の需要にこたえる市場の拡大。
2.海外からの移民の流入による市場の拡大。

ユニクロの柳井会長は「この国は下手したら3年で破たんする。そしてどの国からも相手にされなくなる。」と言っているが、そう悲観する前にどうやって国内市場を広げるかを真剣に考えた方がいいのではないか。

日本に来て市場を広げている外資だってあるのだから。

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