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「野田政権の存在意義」、「ジョンとポール」??〜耐えられない野田総理の言葉の軽さ

「ここで決断し、政治を前進させることができなかったら野田内閣の存在意義はない。政治生命をかけて、命をかけて今国会中に成立させる意気込みだ」

野田総理は24日、都内で講演し消費増税関連法案の今国会中の成立について、改めて「不退転の決意」で「政治生命をかけて」臨む決意を示した。

野田総理は自分自身の発言に酔っているようであるが、映画化された小説の名前に準えると、「耐えられない軽さ」といったところ。聞かされる国民は、悪酔いしてしまいそうである。

多くの人々に希望と感動を与えたと言われている、選抜高校野球の開会式での石巻工安部翔人「主将」の選手宣誓(正直筆者は必ずも同意出来ていないが)に対して、日本の「首相」の言葉は、国民感情を逆撫でするもののオンパレードである。

野田総理は、内閣支持率が30%前後の「危険水準」で、「総理にふさわしい政治家」でも5.3%しか支持されず、多くの国民が辞めてくれと思っている自らの「政治生命」を高く見積もり過ぎているようだ。

日本国民にとっては、野田総理の「政治生命」など、ギリシャ国債と並んで価値のないものの代表格。野田総理が「消費増税関連法案」を自らの「政治生命」を賭けるに値するものだといくら力説しても、野田総理の「政治生命」を「殆ど無価値」だとみなしている国民の耳には、「消費増税関連法案」は価値のないものと響くだけのはずである。

野田総理の「政治生命」と引き換えに「消費増税関連法案」を成立させられるとしたら、黒幕とも言われている財務省にとっては、「海老で鯛を釣る」どころか、「ゴキブリで鯛を釣る」ような有難い話しである。

「経済音痴総理」の発言に呼応するかのように、「原理主義者」岡田副総理も24日、小田原市での講演で消費増税について「景気が良くなれば増税すべきだというのは、増税を先送りするための論理に使われてきた」と指摘した。その上で「金利が上がり、国債の利払いも増える。景気回復は必要だが魔法のつえではない」と語った。

こうした理屈は「財政再建原理主義者」の決まり文句であるが、これは「屁理屈」でしかない。

まず、「景気が良くなれば増税すべきだというのは、増税を先送りするための論理に使われてきた」という部分。これは、完全なペテンである。

「財政再建(消費増税)原理主義者」が、今国会での「消費増税関連法案」成立の論理的根拠として挙げている「附則104条」には下記のように記されている。

平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする」

「附則104条」を根拠として「消費増税関連法案」の今国会中の成立を目指す「財政再建原理主義者」。彼らが金科玉条のごとく掲げる「附則104条」には、「経済状況を好転させることを前提として」と明記されている。要するに、「景気が良くなってから増税すべき」と明記されている「附則104条」を根拠に、今国会中の「消費増税関連法案成立」を主張する「財政再建原理主義者」が、「景気が良くなれば増税すべきだというのは、増税を先送りするための論理」と批判するのは、「附則104条」を否定する「自己否定」に過ぎない。

さらに、「金利が上がり、国債の利払いも増える。景気回復は必要だが魔法のつえではない」という部分。ここでは「経済音痴ぶり」と「論理矛盾」を露呈している。

「(長期金利を中心とした市場)金利上昇」には、幾つかのパターンがある。そのうち、財政再建という議論をする際に考えておく必要があるパターンは、岡田副総理が懸念する「景気回復に伴う金利上昇=良い金利上昇」と、「景気悪化に伴う財政懸念に伴う金利上昇=悪い金利上昇」である。

「経済音痴総理」と「原理主義副総理」が「増税を中心とした緊縮財政」による財政再建に猛進しているのは、「日本のギリシャ化」を防ぐ、つまり「悪い金利上昇」を避けるためである。もし「悪い金利上昇」が起きてしまったら、「金利が上がり、国債の利払いも増え、税収も減る」という悪循環に陥り、「魔法の杖」をもってしても日本経済を立て直すことが出来ないことは、直近の南欧のソブリン危機で立証済みである。

現在のGDPの2倍を超える公的債務残高を直ちに解消出来るか、という点においては、「景気回復が『魔法の杖』」ではないことはご指摘の通りである。しかし、景気回復を伴う「良い金利上昇」の副作用が「国債の利払いの増加(と税収増加)」なのに対して、「悪い金利上昇」の副作用は「国債の利払いの増加と税収減少」である。こうしたことを比較すれば、同じ「金利上昇」のリスクをとるのであれば、「景気回復に伴う良い金利上昇」を選択するのが「リスク管理上」からも当然の選択のはずである。

問題は「景気回復の原資」をどこに求めるか、という点。民主党が政権交代直後に目指した「無駄遣い」を原資に充てる目論みは、「素人国会議員の政治パフォーマンス」に利用されただけで全く成果を上げることが出来なかった。民主党の一部「財政再建原理主義者」が「消費増税を中心とした緊縮財政」で財政再建を目指して暴走しているのは、「無駄遣い撲滅作戦」が頓挫したツケでもある。

多くの国民にとっては悪い冗談にしか聞こえないが、財務省はHP上の「税制について考えてみよう」というコーナーの中で次のように主張している。

「税は、私たちみんなが、社会の構成員として広く公平に分かち合っていかなければなりません。『公平・透明・納得』という基本的な視点で税制を考えていく必要があります」

多くの国民が消費増税自体は仕方がないと感じつつも賛成しないのは、財務省が主張する「公平・透明・納得」感が欠けているうえ、「詭弁総理」が「丁寧に説明する」としながら、「日本の財政待ったなし」などという無意味なキャッチフレーズを繰り返すだけで、全く納得のいく説明をしようとしないからである。

政府は、「消費税の持つ逆進性」が、国民の間に「不公平感」を生んでいる要因であるかのような理屈を無理矢理作り上げているが、こうしたやり方は、消費増税を既成事実化し、反対論を全て「条件闘争化」してしまおうとする「財政再建原理主義者」の策略でしかない。

「社会保険料は年間でおよそ10兆円の徴収漏れがあり、保険料率と上限の不公平でもそれぞれ2兆円ある。合わせて14兆円にもなる」

国民が漠然と感じている「不公平感」は、こうしたみんなの党の指摘に代表されるように、「感情的、感覚的」なものであり、「消費税の持つ逆進性」などという「経済理論」ではない。

多くの国民が理解し難い「経済理論」の用語を振り回すことで国民を思考停止、反論不能状況に陥れ、増税で持続可能な社会保障が出来るかのような錯覚を与え、国民の財産を吸い上げるという構図は、AIJ投資顧問が多くの年金基金が理解できない「デリバティブ取引」を掲げて、さも安定運用が可能なように装って資金を集め続けた構図と同種のもの。

年金基金が、さしたるチェックを行わずにAIJに多額の資金を預けてしまった構図は、低成長、低金利の中で安全確実な方法では「不足金解消」が不可能であるという現実を突き付けられ、社保庁OB間で話題となっていた、ありもしない「魔法の杖」に手を染めてしまった、というものである。

国民は今、「高齢化に伴う社会保障費と財政赤字の拡大」という難題に直面し、「国家破綻」の危機にあるかのような洗脳報道を浴び続けている。それと同時に、政府やメディアは、連日「消費増税こそが国家破綻を防ぐ『魔法の杖』」であるかのように囁き続けている。このままでは、国民は「公平・透明・納得」の一つの果実も得ることなく増税を押し付けられてしまうのも時間の問題である。

AIJ問題の教訓は「早く損を取り戻そうと焦ってはいけない」ということである。まずは「良い金利上昇」と「悪い金利上昇」の副作用を客観的に比較検討し、どちらを選択するかを冷静に判断し、そのうえで「不公平」を是正し、それを財源に一歩ずつ景気回復を図るべきである。まさに「隗より始めよ」である。

「日本がポール・マッカートニーなら米国はジョン・レノンだ。ポールのいないビートルズはありえない。この2人がきちんとハーモニーしなければいけない」

TPP参加にも強い意欲を示す野田総理は、同じ講演で、このような耳を疑うような発言もしたと報じられている。

野田総理は、ジョン・レノンである米国が、日本をポール・マッカートニーと見てくれていると本当に信じているのだろうか。もしそうだとしたら、ソウルで26日から開かれる第2回核安全保障サミットに出席するため韓国訪問中のオバマ大統領との首脳会談が設定されるのが自然のはずである。しかし、現在のところ日米首脳会談が設定されたという報道はなく、ハーモニーを奏でる機会が設定されるか疑わしい状況である。

ビートルズのデビュー前の1957年から、解散する1970年までの長期間よきパートナーであったジョンとポール。これに対して、昨年8月に首相に就任してから野田総理は、オバマ大統領と殆ど信頼関係を築けていないどころか、伝わってくるのは「不協和音」ばかりである。

ビートルズ解散の原因の一つは、ジョン・レノンとポール・マッカートニーの不仲であるといわれているが、野田総理とオバマ大統領の関係は、ビートルズ解散直前のジョンとポールの関係のようである。おそらく今後もオバマ・ジョンは、野田・ポールとハーモニーを奏でるつもりはないのだろう。

こうした総理の軽い発言は、国民感情を逆撫でするだけでなく、各国首脳の感情をも逆撫ですることになりかねない。軽い総理の「口害」で「国益」を失ってはならない。「野田内閣の存在意義」が失われるまでのタイムリミットが迫って来ているが、「決断する政治」を標榜する野田総理は、国のリスクを考え、総理を続けるために発言を控えるか、発言を続けるために総理を辞するか、どちらかを選択すべきである。

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