- 2019年01月04日 11:15
「1日5回」部下を褒めると劇的に伸びる
1/2最後に部下を褒めたのはいつか、思い出せるだろうか。もし、すぐ思い出せなかったとすれば、あなたはリーダーとして大きく損をしているかもしれない。スポーツメンタルコーチの鈴木颯人氏は、「叱られたときよりも褒められたほうがやる気や成果を出しやすいことは、証明されている。今日からすぐ、1日5回は部下を褒めるべき」と説く――。
※本稿は、鈴木颯人『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』(KADOKAWA)を再編集したものです。
褒めないのはもったいない
もし、最後に部下を褒めたのが何カ月も前の方や、最後に褒めたのがいつか思い出せすらしない、という方がいたら、リーダーとして大変もったいないことをしています。
いつの世にも「部下を褒めるのは、部下に媚びるようで気が進まない」というリーダーがいるものですが、その認識はすぐにでも改め、褒める練習を始めたほうがいいでしょう。

国や世界の頂点を目指すアスリートを支援するスポーツメンタルコーチの世界では、「相手を褒められないコーチ」というのは絶対にありえません。「褒める」ことは、それだけ重要なのです。それに褒めるのは部下のためならず、確実にリーダー自身のためになります。
褒められた人が一番伸びる
そのことを証明する実験があります。1925年にアメリカの心理学者エリザベス・ハーロック博士が行なった実験です。この実験では、「人は叱られたときよりも褒められたほうがやる気や成果を出しやすい」ことが証明されています。実験内容は次のとおりです。
1.子どもたちを3つのグループに分け、算数のテストを受けさせる
2.テストの結果について、グループごとに対応を変える
・Bグループ「成績に関係なく叱る」
・Cグループ「褒めたり叱ったりせず、放任する」
3.テストを数回くり返した後の結果を比較する
実験の結果はどんなものだったでしょうか。成績に関係なく褒められたAグループは、なんと71%も成績がアップしました。これに対し、成績に関係なく叱られたBグループは19%の成績アップ、放任されたCグループは5%アップにとどまったそうです。
さらにこの実験を5日間通して行なった結果、成績に関係なく叱られたBグループは、最初の3日間は成績がアップしましたが、以降は失速。褒めも叱られもせず放任されたCグループは、最初こそ多少は成績がアップしたものの、その後、大きな変化は見られませんでした。では残ったグループ、成績に関係なく褒められた子どもたちはというと、なんと5日間続けて成績がアップしたのです。褒めることがどれだけモチベーションに影響を及ぼすか、理解してもらえたのではないでしょうか。
自分が言われてうれしい褒め方をしているか
「しかし、子どもの算数ならともかく、一体、(仕事のできない)部下のどこを、何を、褒めればいいのか?」と思った人もいるかもしれません。そこで、ちょっと考えてみてください。あなたは次のどちらの言葉のほうが、言われてうれしく感じますか? いずれも、尊敬するリーダーからの言葉だと考えてください。
1.「新規契約を3つも取ってくるなんて、すばらしい!」
2.「新規契約を3つも取ったのか! みんなが見ていないところでたくさんの努力をしたんだね。すばらしい!」
いかがでしょう? おそらく、多くの人が2を選んだのではないでしょうか。
1は「結果」に対して賞賛の言葉を贈っていますが、2は「努力」「プロセス」を賞賛しています。実際、努力の過程を褒めることで、より相手のモチベーションを引き出すことができるといわれています。
コロンビア大学で1990年代に行なわれた、褒め方についての有名な実験をご紹介しましょう。この実験では、小学生400人を対象に簡単なIQテストを行ない、その結果の伝え方を3パターンに分けました。
1.「80点も取れたなんて、頭が良いね!」(結果や知能を褒める)
2.「80点でした」(褒め言葉は特になし)
3.「80点も取れたのは、頑張ったからだね」(頑張りを褒める)
その後、2回目のテストで難易度が「A:1回目より難しい問題」と「B:1回目と同じくらい簡単な問題」の好きなほうを選ばせたところ、「頭がいい」と褒められた1のグループの約65%、特に褒められなかった2のグループの約45%がBの「簡単な問題」のほうを選びました。そして頑張りを褒められた3のグループは、実に約90%がAの「難しい問題」のほうを選んだのです。
結果を褒められると失敗が怖くなる
この実験を行なったクラウディア・ミューラー氏とキャロル・デュエック氏は、「結果や知能を褒められると気分が良くなる反面、失敗を恐れる気持ちが生まれるのだ」と指摘しています。チャレンジする気持ちが生まれにくくなるとも言えるでしょう。
一方、努力やプロセスを褒められると、行動したことそのものを肯定されたような気がして、失敗を恐れずに挑戦できるようになります。仮に失敗したとしても、単に努力が足りなかっただけだと理解し、また努力することができるのです。
つまり、部下を褒める際には、必ずしもその部下が「結果を出している」必要はない、ということです。
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