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そこで働いているスタッフ全員が自分の職場に誇りを持てるようにすること。そこで私が目指したのは、心臓血管外科の手術実績で安定した数字を叩き出すことでした。- 「賢人論。」第79回天野篤氏(後編)

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病院のスタッフが「ここで手術を受けたい」と答えるなら、そこはきっと良い病院

みんなの介護 人生100年時代を迎えた今、私たちは自分の心臓とこれまで以上に上手に付き合っていかなくてはいけません。今後、心臓血管外科を受診するとして、自分の命を縣ける病院をどうやって見分ければ良いのでしょうか。

天野 ここまでお話してきた通り、心臓血管外科は技術職であり、医師の技術格差は無視できません。自分の命を守るためには、腕の良い医師や技術力の高い病院を選ぶべきです。

その際、ひとつの目安になるのが、年間の手術症例数です。手術数が多いほど手術に熟達しており、腕も確かだと考えられます。私自身は年間250例以上をノルマにしていますが、残念ながら、これだけの数をクリアしている医師は日本に15名ほどしかいません。

そこで少しだけハードルを下げて、年間100例以上の手術実績がある病院を選べば良いのではないかと思います。それぞれの病院のホームページを見ると、昨年・一昨年の手術数の実績が掲載されているので、簡単にチェックできます。逆に、ホームページに実績を載せていない病院は、避けたほうが良いかもしれません。

もし、その病院まで直接足を運べるのであれば、そこが良い病院かどうか、もっと簡単にチェックする方法があります。

そこで働いているスタッフの人に、「あなたに心臓の手術が必要になったとき、この病院で手術を受けますか?」と聞いてみれば良いのです。

ポイントは、医療関係者でなくてもいいから、清掃や売店のおばさんなど、勤続年数が長いスタッフに質問すること。「ここはいろいろな意味で地域で一番の病院だから、迷わずここで手術してもらいます」なんて答えが返ってきたら、その病院はきっと良い病院です。

患者さんと正面から向き合えば、どんな状態でもきっと良くすることができるはずです

みんなの介護 心臓外科のプロとして、天野さんが最も大切にしているのはどんなことですか?

天野 相撲で言う「四つに組むこと」です。どんな患者さんでも、どんな病状でも、逃げたり引いたりするのではなく、常に真正面からがっぷり四つに組む。

とにかく、中途半端な気持ちで患者さんに接することがあってはならない。一旦治療を引き受けた以上、チーム一丸となって、結果を出すために全力を尽くします。逆に言えば、患者さんとしっかり四つに組むことができれば、どんなに病状が悪くても、「きっと何とかなる」と信じることができます。

先ほど、外科医としての「理想の手術」は居合抜きである、というお話をしましたが、私にとっての「最高の手術」は、少し定義が違ってきます。

私が考える最高の手術とは、「手術を受けた患者さん本人が、手術を受けたこと自体すっかり忘れてしまうような手術」。

手術によって病的な要素が完全に取り除かれ、合併症も後遺症もなく、傷跡さえほとんど見分けがつかない。その結果、手術を受けたことも、手術を受けなければならなかった病気のこともすっかり忘れてしまった…。そんな手術ができれば、外科医として最高に嬉しいですね。

私は現在63歳ですが、脳外科では75歳になっても年間500例以上手術する福島孝徳先生がいます。先生に倣い、体が動く限り、これからも患者さんと四つに組み続ける覚悟です。

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