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星野源とRADWIMPSが対峙してきた「邪悪」について

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久々のブログ更新。いろいろと〆切を抱えててこっちに書く時間がなかなかとれないんだけど、これはちょっと記録しておかざるを得ないよね。

だって、11月から12月にかけての1ヶ月のうちに僕の観測範囲の中心である日本の音楽シーンから、素晴らしいアルバムがどんどんリリースされているわけだから。ちゃんと自分なりにそれをどう受け止めたかを書き記しておかないと、流れていってしまう。

そういうことのために僕のブログはあるのでね。

まずはなんと言っても、星野源『POP VIRUS』。まあ年間ベスト級の一枚であることは間違いないでしょう。

POP VIRUS (CD+Blu-ray+特製ブックレット)(初回限定盤A)(特典なし)
アーティスト: 星野源
出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
発売日: 2018/12/19
メディア: CD
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三浦大知『球体』と新曲の「Blizzard」を聴いたときにも思ったけれど、なんだかんだ言って、メインストリームのど真ん中にいる人が挑戦的なことをやっているのがポップ・ミュージックの一番面白いところなんだよね、と痛感する。

三浦大知 (Daichi Miura) / Blizzard (映画『ドラゴンボール超 ブロリー』主題歌)

ただし「海外のトレンドにいち早く反応したほうが勝ち」みたいなゲームをやってるわけじゃない。ここ、すごく大事。別に先鋭的なことをやってるから格好いいわけじゃなくて。

ポップ・ミュージックは日々更新され続ける今の時代感の表現である。で、その背景には歴史の積み重ねたるルーツがある。当然のことだけど、完全にオリジナルな表現なんて世の中にはほとんどなくて、カルチャーとはいわば河川のようにいろんな源流が合わさって形作られる潮流である。

なので、現在の時代へのアンテナと、過去の蓄積への探究心と、声を使った身体表現としての「歌」としての美しさがあいまって、強度を持ったものになる。星野源の新作はそういうことを感じさせてくれるアルバムだった。いろんな聴き所があるけれど、やっぱり僕としてはSnail's Houseを起用した「サピエンス」に一番ビビったかな。

で、RADWIMPSの『ANTI ANTI GENERATION』も、確実に同じ問題設定を踏まえた上でその先に突き抜けていこうという意識を感じるアルバムだった。

ANTI ANTI GENERATION(初回限定盤)(DVD付)
アーティスト: RADWIMPS
出版社/メーカー: Universal Music =music=
発売日: 2018/12/12
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つまりは「すさまじい速度で更新されつつあるポップ・ミュージック・カルチャーの変化」にどう応えるか。具体的に言うならば、英語圏ではラップミュージックやベースミュージックが潮流を握ったことによって、リズムのあり方、垣根の溶けた歌とラップのフロウのあり方と言葉のデリバリー、そしてサウンドメイキングにおいて抜本的に革新が起こっている。それに「日本のロックバンド」はどう向き合うの?という問題意識だ。

それが端的にあらわれているのが「カタルシス」であり「PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~」だと思う。


PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~ RADWIMPS MV

ここにあるのは「前前前世」の「みんなが知ってるキラキラとして情熱的なギターロックバンド」のRADWIMPSではなく、トラップ以降のグルーヴとフロウの関係性の変化、低域の鳴らし方の変化に意欲的に向き合っているRADWIMPSだ。

で、そういう問題意識は当然他のミュージシャンも共有しているもので、特に12月はそういうテーマを持った作品が次々とリリースされた。

たとえば、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの『ホームタウン』は、まさに「ベースミュージックの影響で低域が強くなっているのが前提のグローバルな潮流に対して中域が強すぎるJ-POPや日本のロックバンドのサウンドメイキング」という問題系に真っ向から向き合いつつ「パワーポップをやる」という、いわば針の穴を通すようなコンセプトを形にしている。

ホームタウン(初回生産限定盤)(DVD付)(特典なし)
アーティスト: ASIAN KUNG-FU GENERATION
出版社/メーカー: KMU
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SKY-HIの『JAPRISON』はラッパーという立場だから、もっとグローバルな潮流の変化にダイレクトにアクセスしようとしてる。端的に言うと、「日本」という枠組みで考えるとどうしてもぶち当たってしまう壁を「アジア」という枠組みに自分を位置づけることで突破しようとしている感がある。「JAPRISON」というタイトルに「JAPAN PRISON」「JAPANESE RAP IS ON」というダブルミーニングを込めていることからも、それが伝わってくる。

JAPRISON(CD+Blu-ray Disc)(LIVE盤)
アーティスト: SKY-HI
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発売日: 2018/12/12
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ぼくのりりっくのぼうよみのラストアルバム『没落』もすごくよかった。ツイッターの炎上騒ぎばっかり見てる人には何にも伝わってないし、最近でもYouTuberに就職して2日で辞職したりして「何がやりたいのかわからない」とか言われて本人にマジレスされたりしてるけど。

【Amazon.co.jp限定】没落(CD+DVD)(初回限定盤)(特典D ツアー「僕はもう・・・・・」よりライブ音源1曲収録CD付)
アーティスト: ぼくのりりっくのぼうよみ
出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
発売日: 2018/12/12
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ちゃんと彼のアルバムを聴いてる人はそこに封入されている「遺書」を読んだだろうし、いろんな表現が“自死”をモチーフにしていることが伝わってくると思う。『没落』の中では「曙光」が一番好きだけど、XXX TentacionやLil PeepやMac Miller やJUICE WRLDや、Lil Uzi Vert や、Fueled By Ramen所属だからワンオクともレーベルメイトになるnothing, nowhereあたりなど、北米のエモ・ラップやサッド・ラップと言われてるムーブメントと呼応しているテイストを感じる。

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