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モンスター親をふるい落とす名門校の質問

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■問われているのは「モンスター化するか」

「将来、学校と家庭との方針が食い違ったらどうするか」といった、より答えにくい質問をする学校もある。

また「子どもがいじめられていると相談してきたらどうするか」「お子さんが自分のものでない筆箱を持っていたらどうするか」といった類いの問いには、何と答えれば正解なのだろうか。とっさに浮かびそうなのは「加害者のお子さんと話し合わせます」「相手の親御さんとよく話します」「担任の先生に相談します」あたりだが、ジャック幼児教育研究所の渋谷教室・教室長の玉谷美鈴氏によると、「いずれもNG」とのこと。

「1番目の答えは、すでに相手の子を『加害者』扱いしており、最初から話を大きくしています。また、2番目のように、相手の親と話をすれば事態はこじれるだけ。3番目は問題があれば学校が何とかすべきと丸投げ宣言しているようなもの。実はどれもがモンスターペアレント予備軍の答えなんです」

では正解は何か。まずは子どもの言葉を鵜呑みにせず、よく状況を聞き出し、「明日はお友達にこう言ってみようよ」など家庭内で解決する姿勢を見せること。「それでだめなら、担任の先生にご相談申し上げます」という順序が妥当だという。

このような質問をする背景には、私立だからこそ慎重にその家庭の本質を見極めたい事情がある。

「私立は公立とは異なり、学校と家庭との付き合いが非常に長い。小学校から高校までなら12年間、幼稚園から大学までエスカレーター式なら19年間、その家庭と付き合うことになります。学校を真に理解し、近しい価値観を共有できない家庭の子どもを合格させてしまえば、後々大きな齟齬を生みかねません」(大岡氏)

両親への難問も多いが、子ども向けの質問も難問ばかりだ。

「お父様の尊敬できるところはどこですか」(早稲田実業、洗足)という質問では、「尊敬」の言葉の意味がわからない場合に面接官へ質問できるかも問われている。また、「あなたがブランコに乗ったばかりのときにお友達が代わってと言いました。どうしますか」(聖心)、「二番目になりたいものは何ですか?」(暁星)など、予期せぬ質問も多い。答えに詰まったとき、どうすればいいのか。

「その場で考えて自分の言葉で話せるかというのをチェックされているため、どんな質問にも答えを出す練習が必要です。ただ、子どもが答えられなければ、面接官は言い方を変えたりと工夫してくれます。一番いけないのは、心配した親が助け舟を出すこと。過保護な印象を与えてしまいます」(大岡氏)

工夫を凝らした質問の数々が面接の場では飛び出すが、結局必要とされているのは「聞く力」や「相手の立場や心を察する力」「自らの思いを相手に伝えられるコミュニケーション能力」ということになりそうだ。

大岡氏は、「小学校受験は『聞き取り』に始まり、『聞き取り』に終わる」と表現する。そのなかには、「子どもが親や先生の言葉を聞き取る力」に加えて、「親が子どもの言うことや学校の理念を聞き取る力」も含まれているのだろう。

▼あなたは、この難問に答えられるか
両親向け
・お父様のご趣味は何ですか
・お子様がいじめられていると相談してきたらどうしますか
・なぜキリスト教系の女子校を希望されたのですか
子ども向け
・お父様の尊敬できるところはどこですか
・あなたがブランコに乗ったばかりのときにお友達が代わってと言いました。どうしますか
・二番目になりたいものは何ですか

▼服装のポイント 目立つべきか、定番お受験服にするか

■学校への賢いアピール方法

面接時に親子は何を着ていくべきか、伸芽会教育研究所もジャック幼児教育研究所も「学校側は服装で落とそうなどとは考えていない」と口を揃える。実際に過去に親子でお揃いの茶のワンピースで臨み、合格した親子もいるという。それでも毎年似たような紺の“入試服”で多くの家庭が臨むのは、子どもが1人目立つ服装をすれば、自然と周囲の子どもから注目され、余計な緊張感で泣き出してしまう子もいるからだ。

23年にわたりお受験用品専門店「マムエモア」を営む郷司泰子氏に選んでいただいた服装を見ていこう。スタッフみなが子どもの小学校受験の経験者であるうえ、入学準備のために合格者も来店するため、最新の入試情報に合わせて細やかなアドバイスができるのだという。受験にはどんな服装がよいのか。

「『きちんと見えて動きやすいもの』、これが大前提です。基本的に受験会場に行った服装で運動考査が課されますので、服装が鍵になります。女子校はジャンパースカートが、早稲田、青学、成蹊、成城などの共学校の女子はキュロットスタイルが主流です。男の子と一緒に雑巾がけやドミノゲームをするための配慮です」(郷司氏)

着替えのある学校ならスムーズに着替えられる前開きのファスナーの服、楽に脱ぎ履きできる靴を選ぶなど、子どもの立場に立った選び方が大切だ。

受験する学校へのアピールとして、学校カラーを取り入れるのもよいという。例えば慶應受験なら、学校カラーの赤と紺のラインが入った体操着にするのもいい。

親の服装で気を付ける点はどこか。

「とにかく“控えめな服”に尽きますね。お母様はリボンなどの装飾性は一切排し、立ち姿がエレガントで、座ったときに膝が見えないAラインの紺色の服。靴やバッグ、傘もノーブランドの黒で、校庭にザクザク穴を開けるピンヒールや、折り畳み室内履きもNGです。お父様は紺の無地のごくオーソドックスなスーツとネクタイと、先が丸いストレートチップの黒の紐靴がベストです」(同)

「外見は好印象を与える大切な要素」と語る郷司氏だが、「同時に日常でやるべきこともある」と言葉を添える。

「横浜雙葉などの試験では、お弁当を食べる時間もあり、食べ方の癖も出ます。そもそも体形から日頃の食生活もわかってしまう。基本的な食育やマナー、お子さんの心身の健康面への配慮なども大切です。結局は至極まっとうなことをしているご家庭が合格するのがお受験なんです」(同)

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