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皇室ジャーナリスト対談「“皇室からの発信”が重要な転機に」


天皇皇后両陛下(昭和の皇太子殿下と正田美智子さん)が結婚されたのは、’59年4月10日。“民間からの初のお輿入れ”は、大きな注目を集め、日本中に「ミッチー・ブーム」が巻き起こる。’58年創刊『女性自身』でも、多くの読者の要望に応える形で皇室記事が増えていった。

あれから60年。両陛下と共に歩んだ本誌が伝えてきた“変わりゆく皇室”とは何だったのか。そして未来は--。元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司さん(62)と本誌皇室担当、近重幸哉記者(57)が語り合った。

近重「’89年1月7日、昭和天皇が崩御されたとき、山下さんは宮内庁の報道担当。昭和から平成へのお代替わりは、どのようなものだったのでしょうか」

山下「1年間は昭和天皇の喪中ですから、おめでたいという雰囲気はありません。1月7日の『皇位継承の儀式』も喪装で執り行われました。’19年5月1日は、男性は燕尾服の正装ですかね。とくに忙しかったのは、新天皇が内外に即位を宣明される『即位礼正殿の儀』などが行われた’90年11月。ほかに『祝賀御列の儀』(オープンカーでのパレード)、『饗宴の儀』(「即位礼正殿の儀」に参列した各国の賓客などを招いた祝宴)が4日間で7回、一般参賀、園遊会、そして、同じ月に『大嘗祭』『大饗の儀』まで。宮内庁で勤務した23年間の中でもっとも忙しい期間でした」

「大嘗祭」とは、天皇が即位の礼後に初めて行う、一世一度の新嘗祭(収穫祭)のこと。11月、秋篠宮さまがお誕生日に際しての記者会見で、大嘗祭について《宗教色が強いものについて、それを国費で賄うことが適当かどうか》と発言された。

近重「戦後の憲法下でのお代替わりですから『政教分離原則』については、再び注目されるでしょう」

山下「はい。国事行為か皇室行事かなどの線引きが難しいですね」

近重「秋篠宮さまのご意見は、大嘗祭は宗教色の強い行事なので、両陛下、皇太子ご一家の私的な予算である『内廷会計』から支出するべきだというものでした」

山下「新天皇が即位当日に行う『剣璽等承継の儀』という国事行為がありますが、実はこれは平成へのお代替わりのときに“新たに作った”名称です。本来は『剣璽渡御の儀』(剣と璽が新帝の下に自らお渡りになるという意味)です。宗教色を排除するために本来の儀式の名称を変えたらしいのですが、国事行為ではなく皇室行事にしておけば、変更しなくてもよかったのに、残念です」

近重「あまり“建て前”にこだわるのはどうかということですね」

山下「たとえば元号。元号は政令ですから閣議で決めます。国民に知らされるまでの流れを見ると、天皇が初めて新元号を目にするのは閣議で決定した元号の政令書に署名されるときです。天皇と元号の関係から考えれば、これはあまりにも失礼なことです」

近重「皇室の伝統行事は、陛下の“お気持ち”を忖度しながら進めるべき--秋篠宮さまは、そこを含ませて発言されていたと思います。皇族減少問題をずっと先送りにしている政府ですから、不信感をお持ちなのでしょうか」

山下「それはわかりませんが、皇位継承や女性宮家の議論が表立って始まったのは’05年、小泉内閣のときです。それから14年経過しますが、何も変わっていません。今のままですと将来、皇室は悠仁親王殿下のご家族だけになります」

近重「ただ残念なことに、眞子さまと小室圭さんの“結婚延期”の影響か、世論調査では女性宮家設立の『賛成票』は減り始めています。やはり、伊勢神宮の祭主となった黒田清子さんのように、一度皇籍を離れた方たちにも協力してもらうことも考えなければ」

山下「女性皇族が結婚後も皇室にとどまるとなった場合、結婚は今のように私的ではなく、国が関与する公的な扱いになるでしょう。高円宮家の三女で10月に結婚された守谷絢子さんは、皇族として務めていた名誉総裁職を結婚後も続けるというご意向です。皇室で生まれ育った方は一般国民になっても特別な目で見られますので、そのまま続けられても違和感はないでしょう。『皇室の公務』と位置付けたほうがいいと思いますが」

近重「そうして『皇族の存在意義』は少しずつ変化していくわけですが、最も重要なのは、次の御代に新天皇と新皇后がどのようなスタイルを築かれるのかということ」

山下「皇室には千年以上続く儀式や伝統もあります。それらを大切にしつつも、時代に合わせた活動もしていただきたいですね」

近重「特例法につながった陛下のお言葉、秋篠宮さまのご発言など、今後は“皇室からの発信”が重要な転機になっていくと思います。これまで美智子さまが話されたお言葉も、非常に影響力がありましたが、雅子さまの『世界に対する発信力』にも期待したい。国際親善の舞台では独特の“存在感”をお持ちの方ですから」

山下「宮内庁がホームページで情報を発信するようになって約20年です。将来、天皇皇后両陛下や皇族殿下方が自らSNSなどを使って、お言葉や情報を発信されるようになるかもしれませんね」

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