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バノン復活、トランプを救う? ~2019年を占う~【アメリカ】

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スティーブ・バノン元首席戦略官兼大統領上級顧問(2017年2月23日 CPAC)
出典)flikr : Michael Vadon

岩田太郎(在米ジャーナリスト)

【まとめ】

・策士バノン氏政権復帰で落ち目トランプ大統領を救うと予測。

・市場に安心感回帰も、米中貿易戦争、対日圧力、反移民策強化。

・在韓米軍撤収約束、朝鮮半島「非核化」功績を喧伝する可能性。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトでお読みください。】

2019年は、

暴走するトランプ米大統領が世界にもたらす政治的・経済的・軍事的リスクが顕著に意識され

②中国と北朝鮮および韓国の東アジアにおける地政学的な「運命共同体」が明確になり、

欧州ではマクロン仏政権やメルケル独政権が弱体化する一方、英国の欧州連合(EU)離脱が硬着陸(ハードブレグジット)となり、欧州の一体感がさらに失われる

と予想する。

グローバル化された世界はいったん国家主義に基づくバラバラの国民国家に「回帰」してゆく。そうした中で2019年には、世界各国が欧米発祥の「現代的」「グローバル」なつながり方から、東アジアの中朝韓の関係に見られるような「歴史的」「前近代的」国家間のつながりへと再編されてゆく萌芽が各地で見られるようになる。

こうした中、世界の大激変の中心となる米国の政治が2019年にどのように展開するか、大胆予想を試みる。

写真)クリスマスに際し、世界各地の駐留米軍部隊をビデオ会議で労うトランプ米大統領(2018年12月25日 ホワイトハウス)
出典)flicr : The White House (public domain)

■ トランプ大暴れ、裸の王様化

2019年の世界政治の台風の目は何といってもトランプ大統領だ。2018年暮れの株・債券・コモディティのトリプル安の直接的・間接的引き金となった政治リスクを作り出した張本人である。

2018年11月の中間選挙で下院を民主党に奪われ、閣僚らは次々と政権を去り、元側近たちは大統領のロシア内通を捜査する検察に寝返り、モラー特別検察官の大統領に対する包囲網は狭まる。絶好調であったはずのトランプ氏は、いつの間にか追い詰められてきた。

ご自慢であったトランプ相場も化けの皮が剥がれて来る。米市場は乱高下を繰り返しながらじわじわと値を削っており、2019年には米経済の景気後退の到来を予想するエコノミストも多い。

株価を自身の政権運営の通知表のように考えるトランプ大統領の性格からして、こうした市場や経済の変調に関しては、引き続き米連邦準備制度理事会(FRB)やムニューシン財務長官、はたまた貿易相手国の中国などの責任に転嫁してゆくだろう。

だが、真の政治リスクはトランプ大統領自身であるため、他者を非難することは本当の解決にはならず、かえって投資家の不安や怖れがこじれて増幅されてゆく。イケイケであった2017年と2018年のトランプ相場の大功労者であったトランプ氏は、2019年には一転して市場心理や景況感を悪化させる「A級戦犯」の地位に落ちてゆく。

また、持論である米墨国境の壁建設についてさらに意固地になり、大統領に譲歩するつもりがない民主党との対立は激化してゆく。マティス前国防長官やケリー前大統領首席補佐官など、大統領の暴走を止められる力量のある閣僚もいなくなった。

イエスマンに囲まれ「裸の王様」と化したトランプ氏は、支持者からの人気を保つために連邦政府機関の一部閉鎖を長引かせ、「外交のできる大統領」を演じるべく独断で行動する可能性がある。

米国を「世界の警察官」の役割から解放しようとしているトランプ大統領は、マティス前国防長官の反対を押し切って即興でシリアからの撤退を決断しており、市場から「地政学的リスク」と見做される恐れがある。

■ 策士バノンが復活か

こうして予測不可能なトランプ大統領は、身内の共和党を含むあらゆる国内外の勢力に対する孤立の度合いを深めてゆく。2019年には、トランプリスクで米国政治が危機的な状況に陥る可能性は高いと見る。支持率も急落するだろう。

だが、そうした大統領を「救済」して制御できる人物がただ一人、存在する。大統領の政治思想に大きな影響を与え、「陰の大統領」とまで呼ばれたスティーブ・バノン元首席戦略官兼大統領上級顧問である。「バノンがいなければ、トランプは大統領にはなれなかった」とも評されている。

写真)トランプ政権発足当時のスティーブ・バノン首席戦略官兼大統領上級顧問(2017年1月25日)写真中央
出典)White House facebook

2017年8月にケンカ別れし、トランプ氏が「もう何の関係もない」とする元部下だ。筆者はこの「バノン復帰」というトランプゲームのワイルドカードで政権が息を吹き返す可能性があると見る。

そもそもバノン氏がトランプ大統領に解任された表面的な理由は、北朝鮮に対する攻撃を排除しなかった当時の大統領の方針と相反して、「米国の軍事的攻撃による解決策はない」「在韓米軍は撤収すべきだ」と主張したからである。

ところが、その後トランプ大統領はバノン氏の方針に沿った政策の転換を行い、2018年6月に北朝鮮の金正恩委員長と会談して、さらに在韓米軍の撤退をほのめかした。すでにケンカ別れの原因が、大統領の変化により解消されている。

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