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お年玉で子どもに「大人買い」を経験させよう!使い道1位の『貯金』が残念なワケ - 高井浩章

平成最後の年の暮れとなりました。

さて、お正月と言えば、子どもにとって最大のイベントはお年玉。子ども達が普段手にすることのない大金を手にするこの機会は、親子でお金について考える絶好のチャンスでもあります。

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そこで、こんな提案をしたいと思います。

「お年玉は、できるだけ早く、まとまった出費に使ってしまうよう、子どもに促す」

ムチャなアイデアに聞こえるかもしれませんが、以下、ご説明します。

お年玉は普段のお小遣いの約10倍?

唐突ですが、ポンと30万円渡されて、「何を買ってもいいよ」と言われたら、あなたはどんな使い道が浮かびますか。

今、私がパッと思いつくのは、買うか迷っている新型タブレットPC、豪華温泉旅行などなど…夢が膨らみます。新生銀行の調べ※1では、「既婚・子あり・共働き」家庭のサラリーマンのお小遣いの月額は平均3万円強。30万円はほぼその10倍の金額です。

実は、お年玉というのは、子どもにとって、この「普段のお小遣いの約10倍」ぐらいのインパクトがある臨時収入なのです。金融広報中央委員会によると※2、お小遣いの平均は小学5,6年生で月1200円、中学生で月2500円、高校生で6300円ほど。一方、バンダイの調べ※3では、お年玉の平均は小学生が約2万1400円、中学生が3万円強だそうです。

ご自分の子ども時代を思い出しても、このお年玉の「あぶく銭」感は、肌感覚に近いのではないでしょうか

BLOGOS編集部

お年玉の使い道「4割が貯金」の主犯は親

同じくバンダイの調べによると、この「あぶく銭」の使い道、第1位は「貯金」で4割弱を占めます。貯金は「使い道」とは言えないのでは、とも思うわけですが、ここにはカラクリがあります。もらったお年玉のうち、自分が自由に使える金額が「半分未満」という子どもが4割以上を占め、1割強に至っては「0円」だというのです。親がお年玉を預かって、その大半が貯金に回っているわけです。

自分が小さかった頃、「貯金しておいてやる」と親に騙されてお年玉を巻き上げられていた恨みを横においても、「これはいただけないな」というのが私の印象です。

「お小遣いの10倍」というインパクトは、子どもだからこそ感じることができるものです。大人になれば、あるいは大学生になってバイトでも始めれば、2~3万円というお金が持つ価値は「ちょっとした余裕資金」ぐらいに大きく下がってしまう。

それなら、貯金などせず、普段なら手が届かないものや、お小遣いではチマチマとしか集められない本、ゲームなどのアイテムの大量購入など、いわゆる「大人買い」のような使い方を子ども達に経験させてみてはどうでしょうか。好きなアーティストのライブの最前席のチケットを買ったっていい。とにかく、派手に使う。

巨額投資は子どもの記憶に刻まれる

旅行や運動会などの非日常的な経験は、長く記憶に残りますが、お金に関してはそうした機会がなかなかない。だから、お年玉は「いつもと違うお金の使い方」をするチャンスとすべきです。

私自身の話をすると、「米プロバスケNBAの贔屓チームのスタジャン」という例があります。高校生の時、上京する機会があった兄に頼んで、デトロイト・ピストンズのジャンパーを買ってきてもらいました。袖が革製の上等な品で、お値段5万6000円なり。当時、名古屋ではそうしたグッズは入手不可能だったので、自慢の「勝負服」になりました。正確にはお年玉で全額を賄ったわけではないですが、この巨額投資は、悩みに悩んだプロセスや、「アホだな、お前」と兄に呆れられたことも含めて、記憶に刻まれています。

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「お年玉・大人買いプロジェクト」に賛同いただくとして、注意点を挙げておきます。

それは、お年玉はあくまで「子どものお金」であって、親の管理下に置くべきではないという点。中高生なら「現ナマ」の管理も自分でやらせた方が良い。手元に大金を置くことから来る、ある種の余裕や緊張感を味わう良い機会です。

そして、最終的な使い道が親の目から見て「アホだなぁ」「もったいないなぁ」というものでも、止めるなどもってのほか。むしろ、一緒になって「あれも買える」「こんなこともやれる」とアドバイスしたり、情報提供したり、親子で盛り上がればそれでOKというスタンスで臨みたいものです。子どもが無駄遣いしたら、後悔したころに良い会話のネタになるでしょう。もしかすると、親には言いにくいものを買いたいかもしれないので、深入りは禁物です。

使い道は子どもに主導権を握らせたうえで、親として伝えると良いのは、「お金の出自」と金額のスケール感でしょう。

オススメなのは、「誰からいくらもらったか」をリストアップすること。私自身、子どものころ何年かやっていたのですが、これは次の年のお年玉総額を予測するための記録という実用的(?)な意図からでした。

そういうセコいことではなく、きちんと誰からいくらもらったか記録しながら、中高生相手なら、ついでに年金支給額やサラリーマンの平均給与などを挙げて、「もらったお金の重み」を知るのは、大人の世界をリアリティをもって垣間見る好機です。

また、「大人買い」の案件が決まったら、お年玉をくれた人たちに報告するというのも一興かもしれません。使い道の筋が良ければ、翌年の支給額アップが期待できるかもしれない(笑)。

貯金は「死蔵」、投資家デビューも視野に

「大人買い」が一番のオススメですが、中には「ほしいモノが特にない」という子どももいるでしょう。あるいは、一年分のお年玉では欲しいものに足りないから貯める、というケースもありそうです。

そんな場合でも、単純な「貯金」という選択肢はもったいない。ご存知の通り、銀行預金の金利はほぼゼロです。ろくに増えないことが問題ではありません。つまり、預金すると、お金は使われるその日まで眠ってしまうのです。当然、子どもの関心も薄れます。

そんな「死蔵」の道を選ぶくらいなら、子どもに投資家デビューを提案してみてはどうでしょうか。投資信託ならごく少額で、株式や外貨資産にも投資できます。子どもの口座で、となると準備が大変なので、親の口座を通じた間接投資で一口乗る、というのが手軽かもしれません。

小なりといえど投資家となれば、自分のお金が運用成績で増減することに興味を持つに違いありません。日本株ファンドなら投資先企業に、外債ファンドなら組み入れられている国について知ろうとするきっかけにもなります。投信は、手数料体系はややこしいですが、商品設計自体はシンプルなので、小学校の高学年でも理解可能です。損をしても大した額ではないでしょうし、利益が出れば貴重な成功体験になります。ファンド選びを一緒にやれば、親にとっても良い勉強になるのでは。

さらに一歩進んで、「資本市場に参加することの意義」「投資でお金を増やすのと、働いてお給料をもらうことの違いは何か」といったことを親子で話し合えれば、金融リテラシーにも大いにプラスになるでしょう。

「金融関係は苦手だからそこまでは…」という親御さんには、手前味噌で恐縮ですが、拙著『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』が参考になるのでは、と思います。

この本は中学生2人に元金融マンが経済とお金のカラクリを講義するうちにアレコレとドラマが起きるという、ちょっと変わった青春小説でして、もともと自分の娘向けに家庭内連載していた小説を書籍化したものです。専門用語抜きで、物語を楽しんでいると市場経済の仕組みがストンと腹に落ちるという読み物です。

「金は天下の回り物」という名文句があります。使ってこそ、あるいは投資してこそ、お金自身、世の中、使った本人も生きるのが、お金です。子どもが大金を手にする年に一度のイベント、お年玉を親子で「使い倒して」みてはどうでしょうか。

それでは、みなさま、良いお年を!

※1:新生銀行「2018年サラリーマンのお小遣い調査」結果(PDF)
※2:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」
※3:株式会社バンダイ「小中学生のお年玉に関する意識調査」 結果(PDF)

プロフィール


高井浩章:1972年生まれ、愛知県出身。経済記者・デスクとして20年超の経験がある。2016年春から2年、ロンドンに駐在。現在は都内在住。三姉妹の父親で、デビュー作「おカネの教室」は、娘に向けて7年にわたって家庭内連載した小説を改稿したもの。趣味はLEGOとビリヤード。noteで「おカネの教室」の創作秘話や新潮社フォーサイトのマンガコラム連載を無料公開中。

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