法務省は、昨日28日、外国人労働者の受け入れを拡大する新制度の政省令案を公表しました。そのポイントは、
○受け入れ先が外国人と結ぶ契約基準
・報酬額は日本人と同等以上
・一時帰国を希望した場合の休暇の取得
・帰国旅費の負担
○受け入れ先の基準
・欠格事由(暴力団関係、前科など)に該当しない
・悪質なブローカーの排除
・報酬は預貯金口座に振り込む等
というものです。
新しい在留資格「特定技能」の外国人を受け入れる企業が、日本人と同等以上の報酬を支払っていることをチェックするため、給与の支払い状況などを3ヶ月ごとに届け出ることを義務付け、違反すれば5年間受け入れができなくなる規定を明記しています。
また、日本語習得、住宅の確保、生活ガイダンスなど企業が実施しなければならない支援計画の内容も示している、ということです。こうした基準や支援計画が実行されているかは、新設される出入国在留管理庁でチェックします。
政省令案については、来年1月26日まで、パブリックコメントを募っていて、法務省のホームページを通じて意見を書きこむことができます。法務省は、国会の閉会中審査の議論も踏まえて、3月に公示する方針、と報じられています。
再三指摘しているように、過酷な労働を強いられているケースがある技能実習生など外国人労働の実態を明らかにし、検証する必要があります。
労働力ではなく労働者、人が入ってくるのですから必要な暮らしやすいように共生する政策が、国会審議には間に合わず、今月になって、予算総額224億円で、多言語化など126の支援策が示されましたが、羅列するだけでなく、実効性のあるものになるのか心配です。日本語を教える人材の数や質が確保できるのかも不透明です。
これまで政府は、労働法令に違反する行為があっても、その多くを見逃してきた、と指摘されています。新設される出入国在留管理庁が、どれだけの人員が確保されチェックができる体制になるのかも、はっきりしません。
危惧することが多い中で、無理やり法案を通した感が否めません。それを反映しているともいえる国民の受け止めが、朝日新聞の世論調査(郵送)でわかりました。
外国人労働者の受け入れ態勢について86%が「整っていない」と答えています。外国人労働者の受け入れ拡大については、賛成44%、反対46%と割れていて、40代以下は賛成の方が多かったそうです。
受け入れ拡大に賛成の人の7割以上が、永住にも賛成でしたが、全体では家族の永住を今より広げていくことは、賛成40%、反対47%でした。
法律は、生煮えといわれながら通ってしまったのですから、日本で働きたい外国人が、喜んで来られるよう態勢を整えてほしいと思います。私たちも、外国から来た人と共生できるよう、意識を持って接していきたいと思います。
記事
- 2018年12月29日 22:24