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世の変化を読み取るために”自分の頭”で素早く判断しなければついていけないのがこの時代です - 「賢人論。」第78回三浦瑠麗氏(前編)

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言論の場を揺さぶるその発言が常に注目を集める国際政治学者の三浦瑠麗さん。「朝まで生テレビ!」や「ワイドナショー」など、多くのメディアで活躍している気鋭の論客である。前編は彼女が国際政治学と出会ったきっかけから、立場を異にする相手との向き合い方などについて話を聞いてみた。

取材・文/ボブ内藤 撮影/公家勇人

これからは世界に対して自分なりの“べき論”を持つことが必要

みんなの介護 今では国際政治学者として多くの人に認知されている三浦さんですが、東京大学は理系の農学部での入学だったそうですね。どんないきさつで国際政治学に出会ったのですか?

三浦 もともと私は、小説はもちろん、「源氏物語」といった古典を読んだりする文学少女で、学校でも国語が得意科目だったんです。ただ、高校生になると、数学とか物理のような、論理で問題を解いていく科目の面白さに惹かれるようになって、理系で受験をすることに決めたんですね。

でも、そうやって勢いで大学に入ってしまったので、ほとんどの授業に興味を持つことができませんでした。その挙げ句、「もう一年、留年しよう」と決めた年にイラク戦争が起こったんです。

みんなの介護 2003年3月17日、ブッシュ大統領がテレビ演説を行って以降、アメリカ軍がイラクの街を空爆する映像が連日のように報道されましたね。

三浦 実家で暮らしていた頃は、家の教育方針でテレビをほとんど観ていなかったんですが、少し前に東京で一人暮らしを始め、開戦当時はちょうど夫と入籍した頃だったんです。テレビに釘付けになりました。当時、夫は外務省に勤務していて、北朝鮮の不審船の引き揚げ(九州南西海域工作船事件)の処理に新人として駆り出されたりしていた頃だったので、テレビのなかで起こっていることを詳しく解説してくれました。

ですから、イラク戦争が起こったとき、たまたまテレビを観る環境にいたこと、結婚したばかりの夫が世界情勢に詳しい人だったこと、その2つの偶然が重なり合って、私を国際政治の世界に招いてくれたわけです。

みんなの介護 もうひとつの偶然は、国際政治学に出会ったのが2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件で世界情勢が目まぐるしく変化し始めた時代だったことでしょうね?

三浦 それは間違いないですね。アメリカとソ連の冷戦下のように膠着化した時代だったら、私は国際政治を学ぼうとしなかったと思います。

世の中の変化が激しくなると、過去の出来事を歴史から紐解いて、そこに何らかの傾向や構造を見出すことで現在と未来の行動に生かそうとすると思うんですが、今起こっている変化に対して「おかしいぞ」という疑問を持ったり、自分なりの哲学や理想に照らしあわせて「こうあるべきだ」と考えて世の中をみなければ、変化に対して納得のいく判断ができないケースがありますよね。

でも、よく知っている過去に引きずられすぎるのも、直感だけに頼るのもとても危険なことなんです。

なぜなら、人は長い歴史全体よりも直近の過去に引きずられがちだし、直感だけではその判断が正しいのか、それとも間違っているかどうかを検証することができないから。だけど、そうした即座の判断が求められるようになってきているのが今の時代だと思うんです。

だから、歴史(タテ)と各国(ヨコ)の比較と直感を織り交ぜて現実に即して考えていかなければならない。

みんなの介護 三浦さんの最初の単著『シビリアンの戦争』(岩波書店)に書かれていることは、そんな時代だからこそ生まれた研究だと言えそうですね。

三浦 私がここで「シビリアン(文民)の戦争」と定義したのは、戦争に消極的な軍をシビリアンが攻撃的な戦争に追い込むという現象です。

軍は暴走し、ときに戦争へと国を引きずっていく。だから、民主主義においてシビリアンが軍を抑えておかなければいけない──というのが世界の民主主義国家が持つ政軍関係の基本的な命題でした。

ところがイラク戦争は、シビリアンであるブッシュ大統領やチェイニー副大統領らが攻撃的な政策をとる、開戦に反対する軍に無理やり戦争を遂行させた戦争でした。民主主義のもとで、これまで信じられてきた命題の逆転現象が起こったのです。

なぜ、イラク戦争という「シビリアンの戦争」は起こったのか?この疑問が研究の出発点でした。

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