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先進国では 汗をかかずに暮らす人が増えている

Federal Reserve の資料を見ていたら、興味深いグラフを見つけた。

2009年以降(以下のグラフの黄色い部分)アメリカでは、全体所得のうち労働所得の占める割合が激減し、配当所得が急増している。

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過去30年(1980年以降)のスパンで見ても、同じ傾向が窺われる。

以下のグラフは OECD の資料から拝借したものだが、アメリカ以外の先進国でも、大体1980年を境に、全体所得のうち労働所得の割合が減少している。

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なぜ先進国で労働所得の割合が減少しているのか、その原因を三つ挙げると:

(1) グローバル化と貿易の自由化により、労働集約型産業が先進国から発展途上国に移動し、先進国で資本集約型産業(投資所得)の割合が増えた。
 
(2) グローバル化と労働市場の自由化により、先進国で労働組合の交渉力が弱くなった。

(3) ICT(情報通信技術)の進歩により、比較的少ない労働力で生産性を上げることが可能になった。

◆ ◆ ◆
私はアメリカとカナダで暮らしたことがあるが、日本と一番違うと感じたのは、働かずに快適な生活を送っている人々がやたらに多いことだった。

所属していたゴルフ・クラブでも、働かずに平日から午前中はゴルフ、昼食後はクラブハウスでポーカーやジンラミーに興じて、夕方になると家に帰っていく奴らがたくさんいた。

不思議に思ってある時、ゴルフ仲間の一人に聞いてみた。

すると彼は「移民を受け入れず、白人社会を維持して我々自身が汗をかいて働くか、ハングリー精神に満ちた発展途上国からの移民を受け入れ、彼らに汗をかかせて我々は働かずに暮らすか、この二つの選択肢のうち、我々は後者を選んだんだよ」と答えた。


北米の不労所得者のなかで最も多いのが、住宅や株の値上がりで生活している人々だ。

第2次世界大戦以降、北米の住宅価格は毎年平均で約10%(名目:non inflation adjusted)上がってきたといわれている。

手元にリンクできるソースはないが、私自身の体験によれば、この仮定はリーズナブルといえるだろう。

注)サブプライム危機で住宅価格が下落したといわれているが、それは住宅を買うほどの収入がないのにローン審査を誤魔化し、無理やり購入した低所得者層の居住地域で、高級住宅地は海外からの富裕層バイヤー需要で値上がりし続けている。


では北米の住宅価格は、なぜ上がってきたのだろうか?

需要が供給を上回れば価格は上昇するのだから、住宅着工件数を上回る数の新たな住宅購入者が現れれば、住宅価格は上がるはずである。

すなわち、高い出生率 and/or 移民の受け入れが必要になる。

日本でも出生率が突然急上昇すれば、30年後くらいには住宅価格が上昇し始めるだろう。

しかし出生率が急上昇する可能性はゼロに近いし、30年後なんて気の遠くなる話しだ。

もう一つの選択肢、移民受け入れの話しを日本人にすると、反対意見でコメント欄が炎上するのは経験済みなので多くを語るつもりはないが、以下が選択肢だということだけは理解しておくべきだ。

(1) 移民受け入れを拒否すれば、持ち家(or マンション)の価値が下がる。 今世紀中頃までに人口が4000万人減るのだから、かなりのペースで下がるだろう。

(2) 正しいタイプの移民(富裕層と優秀な若者)を受け入れれば、持ち家の価値は上がる。 不労所得と消費の相関関係は、労働所得と消費の相関関係よりはるかに大きいので、持ち家の価値が上がればデフレも解消するだろう。 また住宅の値上がりで、働かなくても食っていけるという選択肢が生まれる。 

移民を受け入れるか否かで、これだけ明暗が分かれても、日本人の多くは「移民を受け入れるくらいなら、俺は汗水たらして働く」と言うのだろう。

しかしこれからは、医療・介護(看護師・介護士等)や ICT(プログラマー・ゲームクリエイター等)など需要が大きい分野以外では、働きたくても働けない時代がやってくる。

上記のグラフが示す、労働集約型企業が先進国から発展途上国に移動する現象、つまり発展途上国に移転できる企業は海外移転し、国内では空洞化が起こる。 

移民を受け入れるくらいなら汗水たらして働きたい、でも働き口がない、となるとどうすればよいのだろうか?

人口減少で日本の住宅や株が値上がりしないのなら、人口が増え経済が成長する国で、住宅や株に投資すればよいのだ。

一番上のグラフで配当所得が増加しているのは、アメリカ人が自国の株式に加えて、新興国のADR銘柄にも積極的に投資しているからだ。

私はこれまで香港市場を通じて、中国の経済成長にコバンザメしてきたが、最近ミャンマーに注目している。 もしミャンマーで外国人が不動産や株を売買できるようになれば、真っ先に投資するつもりだ。(著名投資家のジム・ロジャースも、同じ考えのようだ

海外投資のさらなる魅力は、人口減少と経済衰退による長期的円安トレンドだ。(短期的にどちらに動くのかは分からない)

円安になれば、海外の不動産や株の価値がさらに上がる。

ウォーレン・バフェット曰く、「アメリカはドルの価値を過去100年間で92%安くして、繁栄し続けてきた」

北米人は移民を受け入れ、持ち家の価値を上げると共に、新興国に積極的に投資して、そのリターンとドル安で、汗をかかずに豊かに暮らしているのだ。

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