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【返品】、IT武装するウォルマートでは返品も異次元!異例の記事で書けなかったコト?

UCLAの学生街にあるアマゾン・ピックアップ拠点で、ペットを連れて返品する女性。コールズやアマゾン・フレッシュ・ピックアップなどのピックアップ拠点での返品は送料無料。アマゾンではスマートスピーカーのエコーによる音声注文で購入した商品の返品でも郵送コストを無料にしている。

■貨物運送大手のUPSは12月19日だけで150万個の商品が返品されたことを発表した。クリスマス前にも関わらず返品がピークになったという。UPSによると返品がピークとなるのは通常、年明けとなる1月3日だ。

返品ピークがクリスマス前になったのは、感謝祭やブラックフライデーのセールで購入したのはクリスマス用のプレゼントではなく自分の買い物をする人が多かったことや返品の手間が簡単になっていることを挙げている。

アメリカでは購入した商品もお店やオンラインストアに返品できることが常識となっている。一部に例外もあるが、レシートがあり一定の期間内であればどんなに消費しても使っていても返品して100%の返金が可能なのだ。

クリスマスプレゼントや誕生日プレゼントなど人様からもらったものでも返品する。ギフトレシート(Gift Receipt)を添えて贈ることで、サイズや色が合わなかったり、商品自体を気に入らないとき、購入先で交換もしくは返金できるのだ。

ギフトレシートは通常のレシートとは異なり金額の記載はなく、店名と商品名、購入日、価格情報が入ったバーコードなどが表示されている。

プレゼントでも返品できるから、返品が日常茶飯事で生活の一部になっているともいえる。全米小売業協会(NRF)によると今年の返品額は720億ドル(約8兆円)との推定だ。昨年より返品条件が若干厳格化していることで小売総額の10%となっている(2017年は11%)。

NRFでは今年、クリスマスプレゼントで貰った商品も気に入らなければ、過半数となる58%が返品や交換するとの調査結果も発表している。

 返品条件は店やオンラインストアによってまちまちだが、中には返品制度を変更したり、異常な返品制度を掲げているところもある。

ホームファーニッシング最大手のベッドバス&ビヨンドではアマゾンなどのオンラインストアに押され低迷していることで返品制度を厳しくしている。これまで無期限となっていた返品期間を1年に短縮した。

興味深いことにベッドバス&ビヨンドではプライベートブランド(PB)商品について返品できる期間を5年としている。ターゲットもPB商品の返品期間は1年と長くなっている。

アウトドア&アパレル用品メーカーで18州に約50店舗を展開するLLビーンは今年2月、返品制度の条件を変更した。LLビーンは以前、購入した商品がどんなに古くても、レシートがなくても、100%の返金に応じていた。が、新しい返品制度では「購入から1年間」と期限を設定したのだ。

LLビーンの競合となるREIでも2013年から無期限から「購入から1年間」の条件に変更している。

2018年は記録的なホリデーシーズンになったと発表したアマゾンでは今年、スマートスピーカーのエコーを使った音声注文が昨年に比べて3倍増加したとしている。音声注文の激増には、アマゾンがアレクサ経由で購入した商品の返品で郵送コストを無料にしていることが要因にある。アレクサ注文の販促に送料無料返品を使っているのだ。

ITを使った返品で凄いのはウォルマートだ。食料品や洗剤などの日用品、化粧品など一部商品を対象にお店に返品しなくても返金するサービス「イージーリターン」を行っている。ウォルマート・アプリにあるeレシートから返品したい商品を選択すると消耗品などは「返品する必要はありません(No need to return it)」と表示され、同時に返金もされるのだ。

ウォルマートの店内で購入直後にこの返品手続きを行えば、実質的に0円で商品を持ち帰れることになる。

 アメリカの返品制度は日本人にとっては奇妙だが、IT武装がすすんでいる店では異次元になっているのだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。「デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital transformation)」とは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念です。DXは大手チェーンストアがIT化を加速していることで、売り場にもどんどん入ってきています。アメリカ小売業はITを活用することによって、新たな価値を生み出しているのです。ただ日本人で米国流通のDX事例を知る専門家は、後藤以外にいません。

後藤は商業界10月号の巻頭特集「スマホと商売」に4ページの記事を書きました。大手チェーンストアの7つのキラーアプリを紹介した内容です。が、他の専門家が書いた巻頭記事に比べて別次元の内容になっていました。レジなしコンビニエンスストアのアマゾンゴーのオープンで「もはやアメリカの小売業に学ぶべきことはない」といっていた方々がびっくり仰天したのです。IT化事例を扱った後藤の記事を読んで、さらに青ざめることになったのです。

⇒後藤はダイヤモンド・リテイルメディアの別冊流通テクノロジー12月号「特集ウォルマート」で、IT武装するウォルマートについて8ページ分(約13,000字)を書きました。長文且つカラー写真満載のコンテンツで、IT化を扱ったアメリカ小売業の記事では前代未聞です。それでもすべては書ききれていないのです。例えばウォルマートのオートメーション化したカーブサイド・ピックアップや傘下のサムズクラブの新フォーマットのサムズクラブ・ナウ、ストアモードに実装された商品比較のARスキャナーも書いていません。ごく最近では大手メーカーが協賛したAR事例もあります。

エントリー記事にあるウォルマートの新返品システム、イージーリターンもあります。ウォルマートに限ってもDX事例は山のようにあります。では、なぜアメリカ流通業のDX専門家に後藤しかいないのかといえば、ITで買い物実践しているからです。他の方は売り場だけ見て回るだけなので、逆立ちしてもデジタルトランスフォーメーションは見えてこないのです。
 「もはやアメリカの小売業に学ぶべきことはない」と言っていた方は、そろそろ目を覚ますべきでしょうね。

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